LIVE REPORT
SATANIC CARNIVAL'15
2015.06.20 @幕張メッセ 国際展示場 9~11ホール
PIZZA OF DEATH RECORDS主催イベント"SATANIC CARNIVAL'15"が幕張メッセ 国際展示場9-11ホールにて開催された。日本のラウド/パンク文化を切り拓いてきたバンドから期待の新鋭まで、あらゆる世代の計23組が集ったこの日。SATAN STAGE、EVIL STAGEの2ステージで展開されたフェスの模様をレポート!
Crystal Lake / EVIL STAGE
福岡の4ピース、SHIMAによるオープニング・アクトを経て、EVIL STAGEに現れたのはCrystal Lakeだ。"行こうぜ幕張ー!"と「Matrix」を投下。"EVIL"の形に配置された照明が点滅を繰り返し光るなか、4人が重厚なサウンドを繰り出せば、オーディエンスは高くジャンプし、ツー・ステップを踏み、床が大きく揺れる。メンバーも大きく動き回りフロアをさらに煽りながら"みんなが笑顔になれる遊び方を見つけよう""思いやりがあるヤツが1番カッケーから支えてやれよ!"と呼びかけた。そしてステージにストリート・ダンサーが呼び込まれた「Rollin'」ではNUMBのSENTA(Vo)も登場。互いに容赦なくぶつかり合い、そして高め合うようなRyo(Vo) とSENTAのバトルの如き歌唱は、会場の興奮度をもう一段階押し上げた。そしてマイナー調の「Beloved」で空気を一転させたあと、「The Fire Inside」でフィニッシュ。"つまんねぇことや悩みなんて忘れちまおうぜ!"。Ryoがそう叫ぶと、特大のシンガロングがステージの方へ集まったのだった。(蜂須賀 ちなみ)
ROTTENGRAFFTY / SATAN STAGE
SATAN STAGE トップバッター、OVER ARM THROWに続いてROTTENGRAFFTYが登場。10-FEET「その向こうへ」を演奏したサウンド・チェックで場内は早くも興奮に包まれる。そして本編はNOBUYA(Vo)とN∀OKI(Vo)による掛け合いが疾走感を掻き立てる「STAY REAL」でスタート。NOBUYAは"お前らの汚ねぇ声聴かせてくれよ、汚ねぇ顔見せてくれよ、狂った姿を見せてくれ!"投げかけ大きな歓声が上げる。コール&レスポンスもあった「Bubble Bobble Bowl」などで会場を盛り上げたあと、"このステージを選んでくれたみんな本当にありがとう!でもここまでは誰でも来れます。俺たちはもっともっと上を目指してます!"と伝えた。ラストの「金色グラフティー」、ヴォーカル2人の歌に合わせてフロアから自然と大合唱が起きていく様子を見て、こういう曲こそアンセムと呼ばれるべき名曲だよなぁと思った。金色の照明の下、"俺たちは京都からやってきたROTTENGRAFFTYだー!"という堂々たる宣言がこの上なく輝いていた。(蜂須賀 ちなみ)
BUZZ THE BEARS / EVIL STAGE
ちょうどSATAN STAGEでROTTENGRAFFTYが堂々たるステージを繰り広げる中、BUZZ THE BEARSの3人が登場! 初っ端から「サンライズ」「クライマー」と畳み掛け、お祭り気分のこの日にぴったりな「シェアタイム」が続く。"みんなが楽しみにしてきたSATANIC CARNIVAL、雨なんて降るわけないんです!"という越智健太(Gt/Vo)の清々しいひと言があり、「雨」が続く。"セキュリティが暇してんぞ!"との煽りに応え、フロア前方は一層沸き立ち、狂騒的な盛り上がりを見せた。
"俺たちがやってることはサタニックがやってることと同じなんです。おもろい場所を作りたいだけなんです――こんなところやから発表させてください!"と9月にミニ・アルバム『Q』をリリースすること、それに伴うリリース・ツアーの開催を発表。そして、越智は"しんどいやつ悩んでるやつ、誰でもいいからまたライヴハウスに来いよ"と続け、フロアとの絆を確かめるように「約束」が披露された。その後、"笑って帰れよ"のひと言から、「光り」で一気にクライマックスへ。最後を飾った「全てを」でフロアの温度は最高潮に達し、熱気冷めやらぬうちにステージは終わりを迎えた。(山元 翔一)
WANIMA / EVIL STAGE
イベントも開始から早2時間が過ぎ、Scatman JohnのSEと共にWANIMAが現れた。松本 健太(Vo/Ba)の"WANIMA開催します!"と、お馴染みの"開催します!"宣言の後、「Hey lady」からスタート。待ってました!と言わんばかりのモッシュ&クラウド・サーフがフロアでは巻き起こる。MCでは、"PIZZA OF DEATH代表WANIMAです!"とその存在を誇示したり、去年はフロア側で観た、憧れのステージに立てた感謝を噛み締める一面も。そして、新曲「いいから」を披露。まるで昔からの定番曲であるかのように盛大なシンガロングが巻き起こる。WANIMAは本当に人を惹きこむのが上手い。1度聴けばすぐに口ずさめる程のキャッチーな楽曲はもちろん、リハでHi-STANDARDの「Stay Gold」を披露する自由奔放なパフォーマンスもその所以のひとつだろう。ラストは彼らの代表曲「1106」。郷愁に揺れる思いを泣きメロに乗せて、松本は声を枯らしながら全身全霊で歌い切った。彼らが国内ラウド/パンク・シーンを牽引する若手代表ということはもはや周知の事実である。そのことを再認識させられたライヴであった。(塩崎 陽矢)
KEMURI / SATAN STAGE
ハイテンポで陽気なスカ・パンクで、夏特有の浮かれ気分を一足早く味わわせてくれるのは、SATAN STAGE 3番手、結成20周年イヤーを邁進中のKEMURIである。ステージ上で大きく飛び跳ねながら演奏するメンバーたちに負けず沸騰状態のフロアを見て"すごい!嬉しいよー!"と無邪気に喜びを口にするのは伊藤ふみお(Vo)。"言いたいことはたくさんありますが、演奏したいと思います"という言葉の通り、その感情を、希望の光に満ちた楽曲たちに託していく。MCでは7月15日に発売の11thアルバムについて告知。 タイトルの『F』にはFamilly、Friend、Futureなど様々な意味を込めたのだと語ったあと、"FUN(楽しい)"という意味を込めて、そのアルバムにも収録されているという新曲を届けた。そして「I am proud」「白いばら」「PMA(Positive Mental Attitude)」と立て続けに演奏したあと、イベント・スタッフや共演者、集まった観客への感謝を述べる伊藤。この日を共に創った人々の未来を照らすように「SUNNY SIDE UP!」が高らかに鳴らされたのだった。(蜂須賀 ちなみ)
HAWAIIAN6 / EVIL STAGE
ABBAの「Dancing Queen」とともに軽やかに登場し、YUTA(Vo/Gt)が思わず"広いな幕張"と零す。HATANO(Dr)の"PIZZA OF DEATH RECORDS元所属、HAWAIIAN6です!"のひと言から「LIGHT AND SHADOW」で幕を開けた。続く「I BELIEVE」でフロアはみな拳を突き上げ、"幕張だからって気取ってないで、いつも通りやれ!"と煽り、「THE LIGHTNING」を叩きつける。「A PIECE OF STARDUST」では、バンドの鳴りの生々しさにここが幕張であることを忘れさせられた。途中、舞台照明がダウンするも、トラブルそのものを楽しむその姿に生粋のライヴ・アクトとしての本質を見たのだった。
"ダイブするな、モッシュするなと大人たちは言うなか、PIZZA OF DEATHはこんなに大きな会場を借りて、こんなにふざけたことをしています。俺たちがいたころと何も変わっていません。"とYUTAの熱いMC。その後「MAGIC」を披露。最後にYUTAが関係者や観客、会場にいるすべての人と音楽に感謝の言葉を述べ「RAINBOW,RAINBOW」へ。圧巻のステージはピースフルなままに幕を閉じた。(山元 翔一)