FEATURE
ROTTENGRAFFTY
2018.02.19UPDATE
2018年02月号掲載
昨年12月に2デイズで開催された"ポルノ超特急2017"。ヤバイTシャツ屋さん、My Hair is Bad、SUPER BEAVER、東京スカパラダイスオーケストラ、HEY-SMITHなど錚々たるメンツがしのぎを削るように熱いステージを繰り広げ、10-FEETから"京都大作戦2017"で受け取ったバトンを繋ぎ、ROTTENGRAFFTYが堂々たるステージで熱狂させた12月23日。
初出演のT.M.Revolutionからスタートし、Crossfaith、G-FREAK FACTORY、打首獄門同好会、Dragon Ash、SiM、マキシマム ザ ホルモン、NAMBA69といった猛者たちが暴れ、NOBUYA(Vo)が"みんなが上げてくれたハードル、お前らと一緒に越えたいんや!"と想いを溢れさせ、N∀OKI(Vo)が"諦めることなんて忘れてしまって、突き進んできたらここがあった!"と吠え、ROTTENGRAFFTYの5人が限界を超えた気迫でオーディエンスの感情を沸騰させた12月24日。
"ポルノ超特急2017"は、オーディエンスや関係者も含め、関わった人すべてのあらゆる想いが会場中に充満していた。1999年に始まったROTTENGRAFFTYの歴史と仲間たちとの繋がり......そのすべてが詰まっていたし、ROTTENGRAFFTYの未来を垣間見ることができた。
そんな"ポルノ超特急2017"を経て、彼らは2月28日に4年8ヶ月ぶりとなるフル・アルバム『PLAY』をリリースする。"僕は常に制作をしているので、いつもアルバムを見据えています。なので5thアルバム『Walk』(2013年リリース)を出して以来、実質的にはずっと『PLAY』に向けて制作していた。アルバムは(音として)一番バンドを表現し得るものなので"とKAZUOMI(Gt/Prog)が語るように、5thシングル&DVD『世界の終わり』(2014年リリース)、6thシングル『So...Start』(2016年リリース)、7thシングル『70cm四方の窓辺』(2017年リリース)、さらに配信でリリースした楽曲たちは、今作『PLAY』へと繋がっているのだ。
"PLAY"というタイトルが、そんな楽曲たちをひとつにしてくれた
"それまで作ってきたものを集めると、いろんな曲調があったり、いろんな詞や言葉がある。それを「PLAY」という言葉でまとめたとき、アルバムになったという実感があった。例えば、『世界の終わり』はずいぶん前に出したシングルなので作ったころの感情はもう覚えていなくて、ライヴを経て曲に対する印象が変わってきている。でも「PLAY」というタイトルが、そんな楽曲たちをひとつにしてくれた"(KAZUOMI)
ROTTENGRAFFTYの6thフル・アルバム『PLAY』、そのタイトルはかなり早い段階で決まっていたという。音楽をプレイすること、仕事、趣味、生活、人生をプレイすること。ポジティヴなことだけではなく、無意識でプレイしていること、生きていくこと......楽曲に込められた様々な感情に"PLAY"という言葉が当てはまった。
"いろんな感情が相まみえた楽曲たち。それは僕たちの人生の中で生じた感情の断片であって、人生をプレイしてきた結果に生まれたもの。そう考えると、どんな楽曲ができたとしても、「PLAY」という名前のアルバムに収まってくれると思ったんです。だから次にアルバムを出すときは「PLAY」というタイトルがいいとずっと思っていた"(KAZUOMI)
"ポルノ超特急2017"の2日間とも、ROTTENGRAFFTYはとある新曲を披露した。その曲はのちに"PLAYBACK"と名付けられ、アルバム『PLAY』の表題曲になった。畳み掛けるダイナミックな展開とヘヴィなサウンド、ROTTENGRAFFTYが得意とする伸びやかなサビ。ミクスチャー・ロックを彷彿させる同曲は、1999年に歩みをスタートさせたROTTENGRAFFTYの原点をルーツとしている。
"僕たちのデビュー当時にあったようなミクスチャーを今の時代でやりたかった。まだライヴで2回しかやっていないけれど、ROTTENGRAFFTYにとってはライヴを自分たちのものにしやすい楽曲。詞に関しては、テーマだけ渡してヴォーカルふたりのバンドにおける思想に任せた"(KAZUOMI)
"PLAYBACK"という言葉には"再生"という意味がある。それはROTTENGRAFFTYというバンドの歴史そのものを語るキーワードだ。
1999年に結成し、2003年メジャー・デビュー、3rdシングル『マンダーラ』(2006年リリース)のリリース後、所属事務所及びレーベルがない状態での4年間の沈黙期間。3rdアルバム『This World』(2010年リリース)でその沈黙を破り、バンド表記を変え、スーツを脱ぎ捨て、現在まで続く活動を重ねてバンドを成長させてきた。どんな困難にも屈せず、地道に実直に、一歩一歩を踏みしめて階段を上ってきた。その経験は、今やROTTENGRAFFTYのアイデンティティとなった。
KAZUOMIが"人生の中で生じた感情の断片"と喩えたように、アルバム『PLAY』は曲調的にも詞的にも非常にバラエティ豊かな作品となっている。N∀OKIの詞をベースにしたという「寂寞 -sekibaku-」での幕開けは、アルバム冒頭から胸をかきむしるような感覚に襲われる。"N∀OKIっぽくない詞だと思うかもしれないけれど、彼は表面的な部分とは相反する内面を持っている。いつも楽しそうに生きているように見えるけれど、儚げに自分を見ているのかもしれない。そういうところが楽曲とすごくハマった。1曲目らしからぬ楽曲だけど、この哀しげで儚げな世界観で幕を開けたかった"とKAZUOMIは言う。
今作は、ROTTENGRAFFTYフリークにとっても新鮮で衝撃的な作品として受け入れられるだろう。例えば「Just One More...」。メロディアスな音に乗ってゆったりと始まるN∀OKIとNOBUYAそれぞれのパートは、ふたりの人間性が滲み出ていて気持ちがぐっと締めつけられる。流れるようなメロディとエモーショナルなサビは、我々が今まで経験したことのない感触だ。KAZUOMIいわく"昔からWEEZERが好きで、ただただギターをかき鳴らしながら切なく歌っている感じが好きなんですよね。ROTTENGRAFFTYらしくないとは思いましたけど、実際にやってみたらすごくハマった"とのこと。
さらに「hereafter」はピアノの旋律がその心象風景を見事に描いていて、彼らが持つ"静"の側面......深い内面性を感じ取ることができるし、N∀OKIの語りのようなヴォーカルで始まる「アイオイ」は、「マンダーラ」(『マンダーラ』収録)、「I Believe」(2011年リリースの4thアルバム『FAMILIARIZE』収録)、「Walk」(『Walk』収録)というシンボリックな楽曲で表現してきたバンドの濃い精神性が受け継がれている。
哀しげで儚げな世界観の「寂寞 -sekibaku-」で始まり、「So...Start」で締めくくられる今作を繰り返し聴いていると、ROTTENGRAFFTYというバンドが追い求めている"光"の存在に気づくだろう。今までの作品もそうだったが、彼らの楽曲に共通しているのは"光"や"希望"を追い求める心の姿勢。もがきながらも自分自身を信じ、走り続ける先に彼らが見ている"光"とはなんなのか? 彼らが人生を賭けて追い求めているものはいったいなんなのか? 最後にKAZUOMIに訊いてみた。
"(ROTTENGRAFFTYは)たしかに何かの「光」を求めていますよね。でも難しいですよ、「光」や「理想」に辿り着くのは。その方法もよくわからないし、ましてや音楽を作っている段階で常に苦しんでいる。でもそういうことを、嘘をつくことなく言葉や音楽にできていたらいいのかなと思っていて。そういえば、N∀OKIが考えた「アイオイ」という曲名はすごく気に入っているんです。「愛を追う」という意味なのか造語なのかはわからないですけど......。そう考えるとROTTENGRAFFTYって、愛を追い続けている......愛に飢えているバンドなんですかね(笑)"(KAZUOMI)
人生の中で生じた感情の断片を詰め込んだアルバム『PLAY』を引っ提げ、彼らは3月24日から"PLAY ALL AROUND JAPAN TOUR 2018"をスタートさせる。彼らの進む先に輝く光を、ROTTENGRAFFTYはきっといつか自らの手で掴み取るだろう。その瞬間を、僕らは心待ちにしている。
▼リリース情報
ROTTENGRAFFTY
ニュー・アルバム
『PLAY』
2018.02.28 ON SALE!!
[Getting Better]
【初回限定盤】CD+DVD
VIZL-1323/¥3,800(税別)
amazon TOWER RECORDS HMV
【通常盤】CD
VICL-64948/¥2,800(税別)
amazon TOWER RECORDS HMV
[CD]
1. 寂寞 -sekibaku-
2. PLAYBACK
3. 世界の終わり
4. SHRED
5. Just One More...
6. hereafter
7. 「70cm四方の窓辺」
8. Rainy
9. 夏休み
10. P.I.L
11. アイオイ
12. So...Start
[DVD] ※初回限定盤のみ
「ロットンの日2017(2017/6/10 京都KBSホール)」
1. Opening
2. 切り札
3. 暴イズDE∀D
4. 8
5. 毒学PO.P革新犯
6. Asian Market Pow
7. RATMAN
8. 夕映え雨アガレ
9. 生クリーム
10. e for 20
11. 075 GRAFFITI
12. GRIND VIBES
13. ケミカル犬
14. フロンティアスカンク
15. 610行進曲
16. かくれんぼ
17. TIME IS OVER
18. 「70cm四方の窓辺」
19. 盲目の街
20. 金色グラフティー
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