MENU バンドTシャツ

激ロック | ラウドロック ポータルサイト

FEATURE

ROTTENGRAFFTY

2017.10.04UPDATE

2017年10月号掲載

"ポルノ超特急2016"での初披露以来、何度も鳴らされてきたROTTENGRAFFTYの新曲がついにリリース!!

イントロを経て、静かに始まっていく同曲。曲が進行していくに従ってヴォーカルふたりの歌は溢れ出んばかりのエモーションを帯び、冷たく激しく降る雨のようなサウンドが打ちつける。初めて聴いたために歌詞は断片的にしか認識できなかったが、"僕は殺した"、"会いたくて"などの強い言葉が深く突き刺さり、曲に込められた想いの量が凄まじいことをリアルに実感した。簡単に言うと、圧倒された。

実は前シングル表題曲「So...Start」(2016年リリース)も、音源発表前にライヴで披露されたという経緯がある。ただし「So...Start」については、"結成当時、新曲はライヴハウスで初めてお客さんに聴いてもらって体感してもらって、それを何回か繰り返して深く理解してもらって。それはお客さんだけじゃなくて演奏する僕達メンバーも同じ。それをもう一度やりたかった"とKAZUOMI(Gt/Prog)が説明したように、明確な意志のもとでまずライヴで演奏されたのだが、果たしてこの新曲が先にライヴで披露されたのも、「So...Start」と同じ理由だったのだろうか。その理由は、案外単純なものだった。

"とにかく今「いいな」と思っているものをライヴで披露してもいいんじゃないかなと。だから初披露して以降もいろんなライヴで演ってきた"というKAZUOMIの言葉どおり、"ポルノ超特急2016"2日目も含め、彼らはこの新曲をいろんなライヴで演奏してきた。おそらくこれを読んでいる中にも、どこかのライヴで同曲を聴いた人は多いだろう。そしていつのころからかタイトルが決まったようで、MCで曲名を告げられるようになった。そして同曲を聴いたときのまるで胸を打たれたような感触は、何度聴いても色褪せないのが不思議だった。むしろ聴くたびに、その感触は強くなっていった。

心象風景を切り取ったまま、答えや結論がないままに鳴らされた。それが「「70cm四方の窓辺」」で表現したい世界だった。


この新曲は「「70cm四方の窓辺」」というタイトルが付けられた。ROTTENGRAFFTYにしては珍しい曲名という印象を受けた人もおそらく多いだろう。強い意志や姿勢、メッセージなどを窺わせる"動的"なタイトルの曲が多い中、「「70cm四方の窓辺」」というタイトルからは"静的"なニュアンスを感じさせる。いったいどのようなきっかけで、とてつもなくエモーショナルな、そしてROTTENGRAFFTYらしくない響きを感じさせるタイトルの、この新曲が生まれたのだろうか。

「「70cm四方の窓辺」」が生まれたきっかけをKAZUOMIに訊いたところ、"僕はライヴ以外の時間はあまり外にも出ず、部屋でずっと楽器を持ってパソコンと向き合って曲を作っていて、そういう生活を日々送っているんですけど、そうすると深く落ち込むときがあるんですよ"と、彼は思い出すようにそのときの状況をポツリポツリと語り出した。"何も力が入らない状態。そのときに頭の中で思っていることを歌詞にしたというか。そのとき、目の前にあったのが僕の部屋の70cm四方の窓だったんです。ボケーッとして、何かを見ていたわけでもないんですけど、窓の外を見ている。そのとき、やっぱり誰か人のことを想っていた"と彼は言う。その状況は歌詞の内容そのままで、それ以上でもなく、それ以下でもなかった。そしてKAZUOMIは念を押すように"この歌詞に答えはないんです。結論があるわけじゃない"と告げた。この曲をライヴで聴くたびになぜあれほどの衝撃を受けるのか、その告白でストンと腑に落ちた。この曲には答えはない。結論があるわけじゃない。救いがないのだ。

答えを提示する楽曲が正解ではないし、結論がある歌がいい歌だとは限らない。しかし、人は少なからず音楽に何かしらの救いを求める傾向があるし、実際にROTTENGRAFFTYの楽曲に救われてきた人は数え切れないほどいるだろう。しかし、「「70cm四方の窓辺」」はとある心象風景を切り取ったまま、でき得る限りそのままの状態を音楽で表現された。心象風景を切り取ったまま、答えや結論がないままに鳴らされ、ライヴで披露されてきた。それが表現したい世界だった。

"人生を強く生きることは本当に大事だと思うんです。人前でステージに立つ人間って、そういう強さを出すことが正義というか、そういう価値観ってあると思うんですよ。でも僕は、もうちょっと人の本心に迫りたい"とKAZUOMIは続けた。"自分の本心の部分を言葉にしたい。この歌詞で書いている世界は、言ってみればなんでもないことですし、「つらい」という状態でもないと思うんですけど、多かれ少なかれ誰にでもあることだと思うんです。それを僕は今回、「それでも頑張っていこうぜ」と言いたくなかった"という彼の言葉からは、この楽曲に託した想いを窺い知ることが出来る。ライヴで同曲を聴いてきた人はすぐに気づくと思うが、音源のアレンジはライヴのそれと比べてかなり違う。叙情的であり、まるでモノクロの映像を切り取ったかのような音像。ライヴとはまた違った奥深い世界をこの音源で体感してほしい。

カップリングはTrack.2「SHRED」。「「70cm四方の窓辺」」を"静的"と例えたが、「SHRED」はその対極にある"動的"なROTTENGRAFFTY節全開の痛快な楽曲。スケートボード用語が語源の"SHRED"というタイトルどおり、ザクザクとエッジの効いたサウンド、起伏の大きな展開、疾走感のあるビートは、まさにROTTENGRAFFTYが得意としてきたところ。ふたりのヴォーカルの掛け合いが心地よく、一聴すればライヴで体験することが待ち遠しくなるだろう。

そしてTrack.3「PORNO ULTRA EXPRESS」は、1stアルバム『CL∀SSICK』(2004年リリース)に収録されていた楽曲の再録。彼らが主催するイベント"ポルノ超特急"の象徴であり、今のROTTENGRAFFTYを13年前に予言したかのような同曲は、時を経て新たな息吹を注ぎ込まれ、これからのROTTENGRAFFTYを象徴する楽曲と言っても過言ではない。同曲を何度もライヴで聴き、"ポルノ超特急"を経験してきた人はもちろんのこと、今作からROTTENGRAFFTYに触れた人、今年初めて"ポルノ超特急"に参戦する人にとっても、大切な楽曲になっていくのは間違いない。


▼リリース情報
ROTTENGRAFFTY
New Single
『70cm四方の窓辺』
70cmmado.jpg
[Getting Better]
NOW ON SALE!!

【初回限定盤】CD+DVD
VIZL-1234/¥1,800(税別)
amazon TOWER RECORDS HMV

【通常盤】CD
VICL-37319/¥1,200(税別)
amazon TOWER RECORDS HMV

[CD]
1. 「70cm四方の窓辺」
2. SHRED
3. PORNO ULTRA EXPRESS

[初回限定盤付属DVD]
「ROTTENGRAFFTY presents ポルノ超特急2016」
1. THIS WORLD
2. So...Start
3. マンダーラ
4. STAY REAL
5. D.A.N.C.E.
6. 零戦SOUNDSYSTEM
7. 金色グラフティー



  • 1