MENU バンドTシャツ

激ロック | ラウドロック ポータルサイト

INTERVIEW

GOTCHAROCKA

2025.08.07UPDATE

2025年08月号掲載

GOTCHAROCKA

Member:樹威(Vo) JUN(Gt) 十夜(Gt)

Interviewer:杉江 由紀

もはや両A面シングルというよりも、これはインタールードを含めた3曲からなる組曲のようでさえある。5月には両A面シングル『CO-ADDICTION/The Ruler's Play』を発表していたGOTCHAROCKAが、このたびまたも両A面スタイルでリリースするシングルのタイトルは、なんとも思わせぶりな"穴 / 沼"。今夏に開催する"GOTCHAROCKA 13th Anniversary Tour 「390 degrees」"を前に、彼等はまたさらに深化したようだ。

-5月には支配する者と支配される者を描いた両A面シングル『CO-ADDICTION/The Ruler's Play』を発表していたGOTCHAROCKAですが、今回のシングル『穴 / 沼』もまた両A面のスタイルにてリリースされることになりました。この2曲が生まれていく過程には、どのような背景があったのでしょうか。

JUN:曲として先にできたのは「穴」のほうで、もともとは、『MONARDA』(2024年リリースの6thミニ・アルバム)を作った時期くらいにギターのメイン・リフだけができてはいたんです。ただ、全体的にはまだ形になっていなかったし、"そのうち使えるな"と思いつつも、その時点ではそこまで気が乗らないみたいな感じもあって(笑)、しばらくは放置してたんですね。だけど、今回のシングルに向けて曲を作ろうとなったら急に"あのリフを使おう!"っていうモードになったんですよ。そこから自然と自分の中から出てきたものを繋げていったときに、思ってた以上にGOTCHAROCKAらしい曲になったから、"これは行けるな"ってなりました。

-たしかに、「穴」のほうは、GOTCHAROCKAらしいダイナミックさとグラマラスを併せ持ったロック・チューンとなっている印象です。

JUN:メロディ・ライン自体が感情的というか、ちゃんと重さもあるんで、気持ちの面でも激しい楽曲になった感じはしますね。曲を作った段階から樹威さんが歌ってる姿も見えてくるような曲になってました。

-十夜さんは「穴」に対して、まずはどのようなことを感じられたのでしょうか。

十夜:このギター・リフが耳に入ってきた瞬間、直感的にこれはすごくいいなって思いました。原曲にはまだ歌とか入ってなかったですけど、樹威さんがこれを歌ったらさらにこの曲の魅力が炸裂しそうだなっていう予感も、確実にしてましたね。あと、本人は恐らく覚えてないと思うんですけど、この曲のギター・リフは、一時期ライヴの楽屋とかでJUNがしょっちゅう弾いてたんですよ。これだけ印象深いフレーズだから僕もすぐ覚えちゃったんで、この曲を初めて聴いたときは"あぁ、あの頃よく弾いてたあのややこしいリフってこれだったんだ!"って思いました(笑)。

JUN:そういえば、ライヴハウスで何回か弾いたわ。楽屋だけじゃなくてお客さんがいるところでも弾いたことあって、こういう場所だとどういうふうに聴こえるのかなって確認したんですよね。

十夜:JUNって、普段さりげなく弾いてたフレーズをのちのち曲として出してくることが時々あるんですよ。今回も"いつか曲になるのかな"とは予想してたんですけど、またこうしていい曲を作ってきてくれました。

-ヴォーカリストである樹威さんとしては、この「穴」という曲を当初はどのように受け止められたのでしょう。

樹威:このところ『MONARDA』、『CO-ADDICTION/The Ruler's Play』と出してきて、特に後者のほうは衣装とかがポリスっぽい感じだったんで、ちょっと遊び心も活かしながらも結構激しめな感じの曲だったんですよ。その次にGOTCHAROCKAとして何をやりたいかって考えたときに、僕の中では一旦ここでフラットなところに着地したいなっていう願望が湧いてきてたんですね。そういう意味で、この「穴」はまさにそこに行けそうな曲だなってまずは感じました。ヴォーカリスト的に言うと前半のAメロやBメロはあえてちょっと力を抜きながら、サビでパン! とはじけられたらいいかなっていう感覚で捉えてましたね。

-歌詞世界やこの"穴"というタイトルは、いかにして生まれたものだったのですか。

樹威:あのギター・リフを活かした曲にしたほうがいいなというのもあったし、全体的にメロディを殺さないような言葉選びをしようってのも前提としてありましたけど、歌詞としては、"足りないものが埋まってくる"みたいなイメージを持ちながら書き出したんですよ。そこからタイトルをどうしようかな? となったときに、歌詞の中にも出てきてる単語をピックアップして"穴"に決めました。分かりやすいタイトルにしたかったんです。

-分かりやすいと同時に、この"穴"というタイトルからは、いろいろと想像力をかき立てられるところもあるように思います。穴とはいったいどこの何を指しているのだろう!? と。

樹威:それに、英語とかで変にカッコつけたタイトルを付けるよりは、"穴"っていうワンワードのほうがキャッチーさもあるかなと思うんですよね。実際、この曲はそれ自体もキャッチーなところが結構ありますし。

JUN:樹威さんと電話で話してるときに、"この曲のタイトルは「穴」にしようと思ってる"って聞いて、僕は"いいな、それ!"ってすごく思いましたもん。ちなみにデモを作る段階で僕はいつも曲に仮タイトルを一応付けるんですけど、なぜかこれに関してはそれが全く思い付かなかったんですよね。あまりにも思い付かなさすぎて、仕方なくそのときに気に入ってたポケモンの名前を仮で付けたんですけど、樹威さんから"穴"って言われたときに"あぁ、これが正解やったんや!"となったんです。

樹威:ちょうどこの曲が"穴"にハマったんだね(笑)。

JUN:シンプルで分かりやすいけど、かといって何か特定のイメージを与えるわけでもなく、まさに想像力をかき立ててくれる最高のタイトルだと思いましたよ。恐らく、この曲のタイトルはこれしかなかったんじゃないでしょうか。

樹威:ともすれば、"穴"っていう字面だけを見ちゃうと少し間抜けなイメージもあるかもしれないですけどね。そして、昔の自分だったらこれはたぶん付けてないです。

JUN:"THE HOLE"みたいになってた可能性もあるんですかね(笑)。今だからこそ、自信を持って"穴"という形で発信できるっていうところも非常にいいと思います。

-なお、先程「穴」の詞を書いていく上では、"足りないものが埋まってくる"ようなイメージがあったとのことですが、そこから物語として完成させていく際に心掛けられたのはどのようなことでしたか。

樹威:さっきも言ったんですが、僕としては"一旦ここでフラットなところに着地したい"思いがあったので、この詞はかなり素直な姿勢で書いていったんですよ。そうしたら、方向性としては前向きな歌とは逆な内容になりましたね。未来を見るのではなく過去を引き摺ってるんですけど、いろいろ振り返ることで、今の自分はどこに立っているのかというところを引き出したいなと思ったんです。

-詞の最後は"季節はまた巡る"というフレーズにて締めくくられておりますが、この言葉からは傍観者としての視点も感じます。

樹威:冒頭で主人公は、過去に浸っている状態を気持ちいいと感じてるんですよね。つまり、それは思い出したくない過去っていうよりは、"やっと思い出せるようになった"状態なんですよ。これは過去を昇華できるようになった上での物語なんです。そこもだから、これは今の自分だから書ける詞なんでしょうね。20歳ぐらいの頃だったら、僕にはまだ過去は振り返れてなかったと思うんで。あと、詞の内容は音ともリンクさせているところがあります。この曲のリズムからいっても、あまり重すぎる言葉はマッチしないだろうなと感じてたんです。

-では、「穴」を歌っていくときに樹威さんが意識されたのはどのようなことですか。

樹威:歌もフラットにリズムに乗って歌いたいって思ってましたね。あんまり感情を込めすぎちゃうと、悪い意味で浮いちゃうような気がしてたんですよ。まぁ、とは言っても歌っているうちに自然と力が入ってしまったところも出てきたんで、それはそれで良しとしました。全体的には上手くバランスが取れたと思います。

-コンポーザーであるJUNさんから、歌い手に対してのオーダーというのは何かあったのでしょうか。

JUN:気持ち良く歌ってもらうことが一番ですが、唯一やりたかったのはBメロをウィスパーにすることですね。前々からウィスパーを使うアプローチはやってみたかったんですよ。っていうのも、最近は音楽をイヤホンやヘッドホンで聴く人も多いし、ウィスパーになるとみんなきっとそこで集中するじゃないですか。

-実生活でも、小声で話し掛けられたほうが注意を引かれることは多いですものね。

JUN:そうなんですよ。あの部分はイヤホンやヘッドホンで聴くと、真横で樹威さんが囁いてくれてる感じで聴こえるようになってるので、ぜひ堪能してください(笑)。僕としてもあの場面はお気に入りで、そこからよりドラマチックにサビへと繋がっているところもおすすめなんです。

-十夜さんが「穴」のレコーディングで大切にされたのはどのようなことでしたか。

十夜:ギター的には16分のカッティング・フレーズが多いので、リズムには結構シビアになる必要がありましたね。でも、サビ手前のあたりは歌も含めて盛り上がっていく場面だから、そこはやっぱり弾いてても気持ちがつい高まっていきがちなんですよ。そこに関しては、あんまり行きすぎるとアンサンブルのバランスが崩れちゃいそうだったので、高まりつつも高ぶりすぎないっていうラインをキープしながら弾いていくようにしました。

-JUNさんが、ギタリストとして「穴」と対峙していかれる際に、留意されたのはどのようなことだったのでしょうね。

JUN:何しろリフありきな曲でしたし、そのリフがキャラクターとしても機能しているので、僕は、あのテケテケした音でこの曲をかき回すっていう役割を担ってるつもりで弾いてました。樹威さんや十夜がそれぞれどこか少し抑えつつのアプローチをしてるのに対して、僕だけガサゴソしてます。というか、音の中に面白い温度差を生むためにも頑張ってガサゴソしました(笑)。