DISC REVIEW
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"穴"が喪失の象徴だとするならば、"沼"とは執着のメタファーなのかも。「穴」と「沼」の間にインタールード的SE(「GR_AUDIO_001」)を挟み込んだ構成で提示される今作は、もはや両A面シングルというよりも、3曲からなる組曲として解釈したほうが良いのではなかろうか。トリッキーにして鮮やかなギター・リフを軸とした「穴」には、GOTCHAROCKAならではの変化球的ポップ・センスが満載。かと思うと「沼」は、名は体を表すような暗黒系閉塞感を漂わせつつも、随所にちりばめられた尖った攻撃性が聴き手を翻弄する。穴にハマった上、沼にも堕ちて。それは避けるべき事態というより、そうなってみて初めて見えてくる世界が存在する可能性がある。 杉江 由紀