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INTERVIEW

GOTCHAROCKA

2024.07.03UPDATE

2024年06月号掲載

GOTCHAROCKA

Member:樹威(Vo) JUN(Gt) 十夜(Gt)

Interviewer:杉江 由紀

生きている今には限りがあるからこそ。12年の歴史を辿ってきた彼らは、"今までで一番濃厚な世界観のGOTCHAROCKAを見せたい"との想いを6thミニ・アルバム『MONARDA』に込めていくことにしたのだという。元ヴィドールの樹威(ジュイ)と元Phantasmagoria/SPIV STATESのJUN、元しゃるろっとの十夜がGOTCHAROCKAとして確立してきた、なんでもありな音世界をお楽しみあれ。

-今年5月で12周年を迎えたGOTCHAROCKAが、ついに激ロックへ初登場とあいなりまして、今回は表紙も飾っていただくことになりました。"ガチャガチャしたロックをやりたい"とのコンセプトを掲げ、GOTCHAROCKAと名乗って始動したときのこともよく覚えているのですが、あれからもう12年とは月日が経つのは早いものです。

JUN:生まれて12年っていうことは、今年で小6になった感じですね(笑)。

樹威:そっか(笑)。そうやって客観的に考えてみると、これだけバンドが続いてきたっていうのはちょっとすごいことだなと自分でも思います。

JUN:別に長く続けることが目標だったわけでもなく、大切にやっていきたいバンドだなということを思っていたら、現在に至っていましたってことではあるんですよ。

十夜:作品でも、ライヴでも、この3人でひとつずつ積み重ねていくことが自分にとっては生き甲斐そのものになっているんですよね。そして、活動を続ければ続けるほど、GOTCHAROCKAとしての中身はこの12年でどんどん濃くなってきた気がします。

-そうしたなか、このたび発表されるのは6thミニ・アルバム『MONARDA』です。今作には表題曲が収録されておりますが、これは制作当初から核としてあったものだったのでしょうか。それとも、アルバムが仕上がっていくなかで頭角を表していくことになった曲だったのでしょうか。どちらになります?

JUN:いつもはメインになる曲を先行して作ることのほうが多いんですけど、今回は逆でした。まずは、"今までで一番濃厚な世界観のGOTCHAROCKAを見せたいな"という思いがあって、その気持ちを前提にしながらいくつかの曲を作っていって、もっといけるやろうとか、これでもいいけどさらに踏み込みたいとかを繰り返して、最後にできた「MONARDA」が表題曲になったんですよ。しかも、選曲会のときに僕からは"これが特におすすめです"とは言わずにみんなで話し合ったのに、3人とも選んだのは「MONARDA」でした。

-満場一致であったわけですね。樹威さんの場合、この「MONARDA」を表題曲にしたいと思った理由はどのような点にありました?

樹威:選曲会で候補曲のデモを一気に聴いたとき、ぶっちゃけどれでもいけるなっていう手応えはあったんです。流れとしては、去年の7月に5thミニ・アルバム『CAST』を出して、そのあと12月に「Transparent butterfly」っていう配信シングルも経たうえで、新しい作品を作るたびに自分たちの中での納得度みたいなものが上がってきていたせいか、今回はどの曲をとってみても今やりたいことが詰まってるなと感じたし、これだったら、自分たちの持っている力を、100パーセント出せるだろうなぁって思うようなものばっかりだったんですよ。ただ、なんとなく印象的には「MONARDA」が一番引っ掛かったというか、表題曲にするんならこれだろうなとなって。特に、曲アタマの歌メロがパーン! って鳴ったところで"これ、歌いたいな。僕の得意なタイプの曲になっていく予感がする"と感じました。そして何より、今のGOTCHAROCKAに似合う曲だなって思いましたね。十夜もすぐ"これがいいね"っていう感じだったもんね?

十夜:樹威さんが言った通り、僕もイントロのあの激しくてカッコ良く始まる感じがいいなと思ったんですよ。あと、ギター・リフのフレーズも聴いてすごく耳に残る雰囲気でいいなと感じたんですけど、そのまま展開していくのかと思ったら、途中で曲の表情がガラっと変わるところも面白くて、僕はこの起承転結のあるところが好きなんです。

-イントロのアグレッシヴなサウンドのダイナミックさに対して、Aメロに入った途端、ファルセットを生かした樹威さんの声が賛美歌のような響きを持って広がり出す展開は、実にドラマチックです。しかも、サビは"ちゃんとキャッチー"ですものね。部分的に空気感が急変するところについては、作曲段階から意図して仕掛けた部分だったのですか?

JUN:完全にあれは最初からイメージしてました。あそこでの景色の変わり方はこの曲の大きなポイントで、MVに例えるなら場面自体は変わるけど、舞台となってる場所はずっと同じっていうかたちに仕上げたかったんですよ。世界観は一緒で表情が変わっていくっていうふうに感じさせたかったので、音的に言うと途中でメジャー・コードを使ったとしても、全体としては哀愁とか悲しげな空気を一貫して漂わせたかったんです。それと同時に、GOTCHAROCKAは入り組んだことを曲にはめ込むことも好きなバンドですから、いろいろギミックの入っているところも楽しんでもらうことができると思います。

-あのイントロのギターの音色はかなり歪んでいるように感じますが、いわゆる攻撃性の高いサウンドをGOTCHAROCKAとして駆使する場合、何か重視されていることがありましたらぜひ教えてください。

JUN:GOTCHAROCKAの音は、今回の「MONARDA」に限らずですけど、絶妙なバランス感のもとに成立しているものが多いですね。激しい方向と言ってもあんまり振り切りすぎたらGOTCHAROCKAではなくなってしまうし、かといって、ハードなことをやりたいときに変に優しく聴こえてしまうような音になるのは困るので、きっちりハードなんだけど、聴きやすい音にするためのアプローチっていうのはすごく大事にしてます。具体的には、やっぱり音色をどうするかが特に重要なんですよ。例えば、ここ最近の僕はノイズの使い方にかなりこだわってます。

-ノイズとは本来的に言えば雑音を意味しますが、それをバンド・サウンドの中におけるスパイス的なものとして盛り込んでいるわけですね?

JUN:ノイズ=汚い、うるさいみたいに思われがちだとは思うんですよ。でも、それを上手く用いることでノイズの美学を追求できるといいますか(笑)、より個性的で特徴的な音を生み出すことが可能なんですよね。だから、音色作りにはだいぶ時間をかけてます。むしろ、最近はそれがGOTCHAROCKAのサウンドの要にもなってきてると言ってもいいほどで、しつこいぐらいにいろいろ研究してますから。極端なことを言うと、きれいなメロディをきれいな音で弾くよりも、ノイズの交じった汚い音で弾いたほうが、もっときれいに美しく聴こえたりするし、哀愁まで感じさせる響きになるんですよ。

-甘味に塩分を交ぜると奥深さやキレが生まれたり、チョコレート系のスイーツにスパイスを効かせると複雑な味わいになったりする感覚に、近いものがありそうですね。

JUN:それもギターの音に限ったことではなくて、そうやってノイズを入れたサウンドに樹威さんのヴォーカルが乗ると、すごくリンクする感じがするんですよね。樹威さんの声も、さらに引き立つ感じがするというか。今回の「MONARDA」では、歌も含めた音の交ぜ具合が、まさに今のGOTCHAROCKAにしっくり来たんじゃないかと思ってます。

十夜:音色に関しては僕の分もJUNにやってもらっているんですけど、僕の弾くギターの役割っていう部分に関しては、自分なりに解釈していってるところがあって、細かく"どうしたらいい?"みたいなことは聞かないようにしてるんですよね。曲の中から伝わってくるものがあったから、自分が感じたことをこの曲の中に生かしていったつもりです。