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INTERVIEW

GOTCHAROCKA

2024.07.03UPDATE

2024年06月号掲載

GOTCHAROCKA

Member:樹威(Vo) JUN(Gt) 十夜(Gt)

Interviewer:杉江 由紀

"これが最後になっても構わない"っていうくらいの気持ち


-GOTCHAROCKAはヴォーカリストと、ギタリストふたりという編成のバンドですけれども、JUNさんと十夜さんが担っているものはそれぞれに違うように感じます。ご自身たちとしては、その点についていかなる認識を持っていらっしゃるのでしょうか。

樹威:もともとはベーシストもいて、12年前はドラムがいない4人編成だったんですけどね(苦笑)。そのあとベースがやめて、新しくベースを入れるならドラムも入れようかという話が出たことはあったんですけど、結局"この3人がいいよね"っていうことになった経緯はあります。その意味では、そこまでヴォーカリストと、ギタリストふたりだからどうこうみたいな意識はないんじゃない?

JUN:いやー、改めて考えると結構難しいですね(笑)。ただ、ここまでの月日を経てきてより強く感じてるのは、やっぱりGOTCHAROCKAって樹威さんが真ん中にいるバンドで、樹威さんは基本的になんでもありな人なんですけど、そのなんでもありな状態を作り出してるのは、ギタリストのふたりでもあるという感覚ですかね。お互いにやってることは違うとはいえ、見てるところは一緒なんじゃないかな? って思います。

樹威:まぁ、僕から見たら十夜はリズムを刻むことが得意なギタリストだと思うんで、どちらかというとベース的なポジションも担ってくれてる感じですかね。JUNはウワモノとして、トリッキーなことをガンガンやるのが得意なギタリストなんで対照的かも。

-十夜さんが"俺もたまにはトリッキーなことしたい!"となるようなことは?

十夜:僕は性格的にそういうの、良くも悪くもあんまりないんですよ。だから、トリッキーなことはJUNがやってくれたほうが助かるというか。僕がやらないもんだから、JUNとしてはやらざるを得ないっていうところもあるのかもしれない(笑)。

JUN:あはは(笑)。そこらへんの棲み分けは、わりと最初から話し合ったわけでもないのに自然とできてましたねぇ。

-トリッキーでギミカルなJUNさんに、冷静沈着に土台を固める十夜さん。アンサンブルを構成するには、またとない素敵な組み合わせです。

十夜:そこを理想として目指しているところはたしかにありますね。ライヴでもそうなんですけど、ふたりがガツン! と前に出てくれてる後ろで弾いてるのが好きみたいな(笑)。今回の『MONARDA』のレコーディングに関しても、そういうところはありました。

-さて。ここからは「MONARDA」の歌詞とタイトルについても、お話をうかがわせてください。"Monarda"という単語はこの曲と出会うまで知らなかったのですが、なんでもこれは花の名前なのだそうですね?

樹威:曲ができてから何回も聴いてるうちに、最初はあのイントロの部分で漠然と"花が燃えてる"光景が思い浮かんできたんですよ。燃えながら燃え落ちていくようなイメージを感じて、なおかつ今回の場合はアルバム全体を通して題材にしたいなと思ってたのが、実は"死"だったんですね。花が燃えて落ちていく様子は、そのテーマとも重なったんです。

-樹威さんが"死"というテーマにフォーカスした理由、きっかけはそもそもなんだったのでしょうか。

樹威:このところ身近に死を感じることが多くなってきたっていうのは、やっぱり大きかったですね。自分自身がそれだけ大人になってきたっていうのもあると思うんですけど、最近は周りの人が亡くなることも出てきたし、去年はアーティストの訃報が続いてたじゃないですか。あとは、社会情勢とか世界情勢を見てても感じることはいろいろあって。そういう事実と直面したときに"今まで悠長にしてたところがあったけど、自分もいつどうなるかわかんないよな"ってふと思ったんです。若いときは、音源を作るにしても"今回はこれを作って、次はこういうものを作りたいな"って簡単に考えてたんですよ。でも、今や"今こうして作ってるものが、自分の遺作になる可能性も0じゃないんだな"ってことに気づいてしまいましたからね。今回のレコーディングは、まさに"これが最後になっても構わない"っていうくらいの気持ちで、臨んでいくことになりました。もっとも、その想いをただネガティヴなかたちで表現することはしたくなかったです。最後にはどうにかポジティヴでプラスなニュアンスを感じさせるかたちで締めくくりたい、ということも大事にしました。

-なるほど。そうした経緯で生まれた詞であることを前提にすると、この詞はより味わい深いものになってきますね。

樹威:「MONARDA」はアルバムの1曲目に入ってるんですけど、これはまず1コーラス目の中で人の一生が終わってるんですね。

-"仄暗い子宮を"で生まれ、途中"喜怒哀楽を繰り返し"、やがて"屍は海に捨てて/おやすみの始まりは今"へと辿りつく流れになっておりますものね。

樹威:ちょうど、サビの"幸せに脅されて/飾られるモナルダの華"あたりが死ぬ間際ですね。モナルダっていうのはベルガモットの別名で、そう呼ばれることもあると知ったのはこの詞を書き出してからのことでした。

-和名は松明花(たいまつばな)であり、花言葉は"火のような恋"なのでしたっけ。

樹威:一瞬で燃え尽きるようなイメージと、そこは重なりましたね。あとは安らぎっていう意味もあるのかな。

-しかも、モナルダは夏の花らしいですね。リリース時期にぴったりです。

JUN:へー、そうやったんや(笑)。

樹威:そこまで花が好きとかではないから、咲く時期までは知らなかったですけど、タイミングとしても合ってたなら良かったです(笑)。

-死や命がモチーフとなっている「MONARDA」で、途中にあの賛美歌のようなファルセットが入っていることには深遠さを感じます。

JUN:最初はファルセットを入れたいっていうくらいの感覚だったんですけど、作っていくうちに僕もだんだん賛美歌っぽい雰囲気を感じるようになって、実際にできあがってみたらあの響きがすごく美しくなったんですよね。詞のテーマともリンクしてて、ほんとに思ってた以上のものになったと思います。樹威さんはテクニック的にも素晴らしいんですが、それ以上に物語とか情景をしっかりと描けるヴォーカリストなんです。

樹威:この12年間、他にもGOTCHAROCKAはいろんな曲を作ってきてますけど、自分としては「MONARDA」でまた新しい挑戦をできたなって思います。

JUN:結局、自分も"今までで一番濃厚な世界観のGOTCHAROCKAを見せたいな"とここに来て思い出したのは、命って限りがあるしそれがいつかはわかんないっていうことを、改めて感じたのが大きかった気がしますね。そして、どっか楽になったところもあるかもしれません。以前と比べたら、いろいろ難しく考える前に、もっと素直に今やりたいことをやろう! っていうスタンスになっていけてる気がします。

-なお、樹威さんの先ほどのお言葉を借りるなら、表題曲「MONARDA」以外も、今作では"どの曲をとってみても今やりたいことが詰まってる"ことになるわけですよね。せっかくですので、御三方の個人的な推し曲があればそれも教えてください。

JUN:うわー、難しいっ! 強いて言うなら......「CanDie Bar」かなぁ。

樹威:俺も「CanDie Bar」って言おうとしてんだけど(笑)。

JUN:マジっすか(笑)。こういうキャッチーさが今のGOTCHAROCKAにすごく合ってる気がするし、ライヴでもみんなといい景色が作れそうだなと思ってるんです。

樹威:「CanDie Bar」は遊べたよね。これも主なテーマとしては死を描いてるんですけど、歌詞の中では内容とか意味合いより言葉遊びを優先した部分もあるんですよ。

-タイトルもかわいい響きですけれど、しれっと"Die"が入っているという(笑)。

JUN:詞のハマり方も完璧ですよね。そういうところも好きな曲です。

十夜:どうしようかな? 「One Second」はサビの録音が今までやったことないタイプのフレージングだったんで、時間はかかったし大変だったけど、上手くいったときにはめちゃくちゃ楽しかったんですよね。でも、今のリアルタイムな気持ちで言ったら、「DISMALな休日」です。これも本当に歌がきれいで好きなんですよ。今のところこのアルバムの中で一番気に入っててよく聴いてます。

JUN:これは"濃厚なGOTCHAROCKA"っていうテーマで曲作りを始めたとき、最初にできた曲だったんですよね。その頃の意気込んでた感じもここには入ってます(笑)。

-他にも今作にはラウドかつエモい音像の中に情報量と言葉数の詰まった「Break The Spell」、ライヴでとても映えそうな「DROWSY」(※通常盤のみ)も収録されておりますので、今作を聴いた方は、ここから始まる"GOTCHAROCKA 12th anniversary tour 「1 second like an eternity」"についても、きっと気になってくるはずです。

JUN:『MONARDA』は、今の自分たちの許容範囲内に収めたアルバムにはなってないんですよね。ライヴで演じるとなったら、あえて、"頑張ってかたちにしないといけない"ところまで踏み込みながら作った作品なので、余裕で"これなら練習せんくてもできるし"みたいなことではないんですよ(笑)。だから、今度のツアーでも自分たちはまた勉強しながらより高い表現力を身につけていって、さらにGOTCHAROCKAとしての濃厚な世界を作っていって、それをみんなと一緒に楽しんでいきたいですね。

十夜:すでに新曲たちをライヴでやったときの感覚は想像してるんですけど、それぞれの曲でどんなことが起きていくのかは僕も楽しみです。間違いなく良くないことは起きないので(笑)、あとは前向きにやってくだけですね。

JUN:何ヶ月もずっと制作で内にこもってたんで、早くライヴしたいよね(笑)。

樹威:終わってみれば一瞬なのかもしれないけど、今回のツアー・タイトルに"1 second like an eternity"って付けたのは"今、楽しいね!"っていう気持ちを、その瞬間ごとに噛みしめていけるような空間を作っていきたいからなんですよ。一曲一曲を大切にしながら、1本ずつのライヴを"永遠に残るような最高の想い出"にしていきたいと思います。

LIVE INFORMATION
"GOTCHAROCKA 12th anniversary tour「1 second like an eternity」TOUR FINAL-The 12th anniversary day-"


8月18日(日)
渋谷 duo MUSIC EXCHANGE
OPEN 16:30 / START 17:00

[チケット]
¥7,150(D代別)
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