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INTERVIEW

GOTCHAROCKA

2025.08.07UPDATE

2025年08月号掲載

GOTCHAROCKA

Member:樹威(Vo) JUN(Gt) 十夜(Gt)

Interviewer:杉江 由紀

今だからこそ、自信を持って"穴"という形で発信できるところもいい


-そんな「穴」と対をなすのがもう1曲の「沼」ですが、冒頭でのお話からいくとこちらが後にできた曲だったわけですよね?

JUN:これは最近できた曲ですね。展開としては、とりあえず"穴"と思って入ってみたら"沼"でしたっていうことになってます(笑)。

-ということは、音の面でも「沼」は「穴」との対比や位置関係も念頭に作られたということになりますか。

JUN:それもあるにはあるんですけど、実は「沼」のイメージ自体って「穴」ができる前からあったんですよ。今年の1月にツアー("GOTCHAROCKA WINTER CIRCUIT 24'~25'「Go Round 0 to 0」")をやったとき、ファイナルで2025年の夏ツアー("GOTCHAROCKA 13th Anniversary Tour 「390 degrees」")に向けたスケジュールを動画で発表したんですけど、そこに音を付けるときに考えてたのが"単なるSEとかじゃなくて、この先のGOTCHAROCKAに繋がるものにしよう"ということだったんですよ。というか、もっと具体的に言うと、その音を土台にして派生させた曲を作ろうということも決めていたんです。生い立ちとしては、そうやってできたのが「沼」だったんですよ。

-なるほど。今作には「穴」と「沼」の間にインタールード的なSE(「GR_AUDIO_001」)が入っておりますけど、1月のツアー・ファイナルで流された音というのはそれだったのですね。

JUN:そうなんです。あのインストと「沼」には繋がりがあって、音選びや音遣いもそこを前提に決めていったわけです。

-そういうことでしたか。今作『穴 / 沼』は両A面どころか、実質的には3曲まとめて1つの組曲になっているとも言えそうです。

樹威:あぁ、ちょっとそういうところはありますね。

JUN:ほんと、あのSEが入ったことで今回の「穴」と「沼」はより素敵なものになったと思います。ネタばらしをしちゃえば、SEで最初に鳴り出す音と「沼」の最後で鳴ってる音はおんなじものですから。

十夜:個人的に言うと、僕は「沼」みたいな曲が大好きなんですよね。あのSEを挟んで曲が始まるシリアスな流れも、樹威さんの歌の感じもギターの響きも、この曲はすごく独特でいいなと思います。

-詞の面で樹威さんが意識的に「穴」と「沼」を連動させたところはありますか。

樹威:いや、そこはないですね。「沼」の詞は曲を聴いて浮かんできたものを、あんまりなんも考えずにそのまま言葉にしていっただけだったんで。結果的に"沼"だっただけで、意図して"沼"にしようと思ってたとかはありません。

-しかしながら、「穴」がある種のラヴ・ストーリーだとすると、「沼」にもその要素は感じられるように思うのですよね。ただし、断然「沼」のほうには得も言われぬ怖さも漂うところが特徴的です。特に"「ようこそ しあわせ もっと勘違いして」"という1節には、ゾッとしてしまうところがあります。

JUN:僕、この曲を作ってるときに"粘っこさ"みたいなものを感じてたんですよね。だから、この詞の湿気が多めな感じはすごく音と合ってるなって感じました。"沼"っていうタイトルのドロッとした感じもまさに! って思います。そして、僕はこの"沼"って気持ち悪いものというよりは、意外と心地よいものなんじゃないかな? とも感じてますね。

樹威:この詞には"「あいしてる」"っていう部分があるんですけど、こんなことを詞で書いたのは初めてだと思いますね。

JUN:あー、言われてみるとその5文字は使ってないかも?

樹威:詞はこれまで散々書いてきてるけど、そこは自分が最も避けてきたところなんですよ。でも、この曲には音の面でもその5文字がちょうどハマったんです。そして、基本的にドロッとした曲ではあるんだけど、この曲にも分かりやすい言葉を1つ入れておきたいっていう気持ちもありました。

JUN:5文字やったら"おもてなし"か"あいしてる"のだいたいどっちかやろうね(笑)。

樹威&十夜:あはは(笑)。

-さてさて、今作『穴 / 沼』のリリース後には、8月18日の渋谷duo MUSIC EXCHANGEから始まり、10月12日のVeats Shibuyaまで続く、"GOTCHAROCKA 13th Anniversary Tour 「390 degrees」"が控えております。新曲たちを交えながらのライヴが、ここからどのような空間を各地で生み出していくことになるのかがとても気になりますね。

十夜:「沼」は僕等も観てくれるみんなも、ライヴ空間の中で、ちょっとトリップできるようになっていきそうかなって思ってるんですよね。こんな曲ならではのモードというか、入り込み方を一緒に楽しんでいけたら面白いことになっていきそうなのかなと。「穴」も独特のくすんだ感じを持ってる曲だから、この2曲が加わることで、ここからのライヴの雰囲気はまた今までとは違うものになっていくでしょうね。どうなっていくのか、僕としても今からとても楽しみです。

-この"GOTCHAROCKA 13th Anniversary Tour 「390 degrees」"というツアー・タイトルを付けられたのは、どなたなのでしょう。

樹威:僕です。13周年ツアーっていう意味合いがまずは強いんですけど、12周年のときにもあちこちぐるっと回ってはいるんですよね。要するに360°回ったところから、さらに30°プラスして回っていくっていう意味での"390 degrees"なんですよ。"また巡る"っていう点では「穴」とも繋がってるツアー・タイトルですね。

-JUNさんは今度のツアーをどのようなものにしていきたいとお考えですか。

JUN:僕はより一体感が強くなっていくライヴ空間を見てみたいなぁって思ってます。実際、「穴」なんかは冒頭からみんながクラップできるような時間を長めに設けて作ってあるし、みんなに声を上げてもらいたい場面なんかも作ってますからね。もちろん音源としてじっくり聴いてもらうこともできるんだけど、ライヴでは一緒に盛り上がっていくための曲でもあるんだよっていうことを、今度のツアーでは思いっきり打ち出していきたいです。そこは当然「沼」もそうなんですよ。ドンチャンするだけがノるっていうことではなくて、メロディにノる、リズムにノるっていう形の音も出していけるのがGOTCHAROCKAというバンドなので、ここからのライヴでは「穴」と「沼」がそれぞれに大活躍していってくれると思いますね。

樹威:僕もいろいろ予想はしてますけど、実際にやってみると思ってたのとはまたちょっと違う景色が見えてくるところがあるし、そこがライヴの面白いところでもあるから、この2曲を中心に盛り上げていきながら、今度のツアーでは何か新しい発見もあるといいなって思ってます。

-なんでも、ツアー初日となる8月18日の渋谷duo MUSIC EXCHANGE公演では、入場者全員に13thアニバーサリーCD「Remarkable Day」が無料配布されるのだとか。

樹威:毎年、GOTCHAROCKAは周年曲っていうのを作ってるんですよ。

JUN:傾向としてバラードになることが多いんですけど、"ええ曲やなぁ"っていうものになりがちなんですよね。別にそんなつもりで作ってなくても、毎回とても大切でいい曲になってしまうというか。今年の曲は、感覚的に言うとおいしいコンソメみたいな感じの曲になってます(笑)。

-さぞかし深く優しい味わいなのでしょうね。

JUN:周年曲にはその1年ごとに感じてきたものとか、やってきたことが集大成的に反映されることが多いんですよ。あとは、この先に向けての気持ちっていうのも入ってるだろうし。だから、こうして13周年ともなってくるとそれ相当の味わいっていうものが自然と出てきちゃうんだと思います。あと、これまでは8月18日ってツアー・ファイナルになることが多かったんですよ。でも、今年はツアー初日でそこから「Remarkable Day」をみんなとライヴで育てていけるので、さらに特別なものになっていきそうです。

十夜:ずっとGOTCHAROCKAのことを見ててくれてる人たちもそうだし、この1年のGOTCHAROCKAを知ってくれてる人たちも、きっと「Remarkable Day」を聴くと、13周年までのこの1年の雰囲気をいろいろ感じてくれるんじゃないかと思います。

樹威:詞は「穴」と少し近い視点で書いたところがあって、「Remarkable Day」は過去から今の時点に立って、その上でまた始まっていくよっていう内容にしてあります。やっぱり、ツアー初日にお披露目する曲ですからね。そこからGOTCHAROCKAのまた新たな物語を続けていきたいです。