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LIVE REPORT

"MEGA VEGAS 2023" -DAY1-

2023.03.11 @神戸ワールド記念ホール

Writer : 内堀 文佳 Photographer:Viola Kam (V’z Twinkle) 、スズキコウヘイ

Fear, and Loathing in Las Vegasが主催するフェス"MEGA VEGAS"が6年ぶりに復活! 前回に引き続き地元神戸最大のキャパシティを誇るワールド記念ホールでの開催となった3回目の"MEGA VEGAS"だが、ゲスト・アーティストに西川貴教、THE ORAL CIGARETTES、Liella!、PassCode、MAN WITH A MISSION、ROTTENGRAFFTY、SiM、HEY-SMITH、RAISE A SUILEN、マキシマム ザ ホルモン、フレデリック、coldrainと、ラスベガス(Fear, and Loathing in Las Vegas)と同じシーンで戦う同志たちから普段交わることのないグループまで、超豪華な全12組が集結。そしてそれぞれのライヴをたっぷり楽しめる2デイズ開催となり、大幅なパワーアップを遂げてみせた。本稿ではその1日目の模様を届ける。

暗転と同時に大歓声と割れんばかりの拍手が鳴り響く。パンデミックの発生と同時に約3年間封印されていた声を出してのライヴ参戦が、"MEGA VEGAS 2023"の2日間はついに人数の制限なく解禁されたのだ。マスク以外はほとんどコロナ禍前と同じ光景が帰ってきたことに、思わず感動せずにはいられない。


PassCode


そして6年前の本フェスの幕開けも飾ったPassCodeが登場すると、「FLAVOR OF BLUE」で"MEGA VEGAS 2023"の火蓋が切られた。南 菜生、高嶋 楓、大上陽奈子の歌声と有馬えみりのグロウルが、バック・バンドによるラウドな生演奏とデジタルな同期音と融合し、凛々しさと熱さを兼ね揃えたサウンドでフロアを縦に揺らす。続く「Ray」から「SPARK IGNITION」まで6曲がノンストップで繰り出され、エモーショナルに、アグレッシヴに、ダンサブルにとめまぐるしく展開する楽曲たちに観客は全力の手拍子、拳、ジャンプで応えていく。

するとここで南 菜生が"2017年、「MEGA VEGAS」に呼んでもらいました。そのときまでPassCode、ベガス(Fear, and Loathing in Las Vegas)の二番煎じだとか、そういうふうに言われることが多かったけど、そういうグループをこの大事なイベントに呼んでくれたから、自分たちはもっともっと、自分たちの道を歩いてカッコ良くならなきゃいけないって改めて思いました。そして6年経っていろんな気持ちが変わって、PassCodeも変わったしベガスも変わった。それでもこうやってまた呼んでもらえたことがすべての証明だと思います"、"あの頃も1番手だったけど、今日の1番手とあの頃の1番手じゃ意味が全然違うと思ってます。この期待に応えたい"と今日にかける想いを語り、「Anything New」、「AXIS」で40分の持ち時間を駆け抜けた。


ROTTENGRAFFTY


「ハレルヤ」でスタートしたROTTENGRAFFTY。MASAHIKOのギター・イントロがすでに最高潮に達している興奮をさらに高める。サビでは、こちらもコロナ禍で長らく制限されていたモッシュも発生し、感情の高ぶりがより大きな動きで表されていく。続けて疾走感の中に彼ららしい哀愁を漂わせる「秋桜」、エレクトロでラウドでタイトルの通りダンサブルな「D.A.N.C.E.」をキメ、N∀OKI(Vo)ががなり声で熱量をオーディエンスと共有、倍増させる。"きっと天国に行ったあいつも今日遊びに来てると思います。あいつが来てるからにはお前らひとりひとりがおもっくそ楽しんで最高の1日にしましょう、よろしく!"とNOBUYA(Vo)が2019年に急逝したKei(Fear, and Loathing in Las Vegas/Ba)の魂を降臨させるように叫び、目頭が熱くなった。

そこから「THIS WORLD」へと繋げ、"そんなんであいつは納得するんでしょうか?"と問われてしまえば、フロアはアクションの激しさを増し、声をより大きく張り上げて応えるしかない。15年間バンドとしての成長を見守ってきたベガスをMCで祝福し、"俺らも決して順風満帆でここまで来たわけやないけど、継続してることが、やり抜くこと貫くことがすべて。24年目、こっからまた新たな旅路、こんにちは、こんにちは、初めましてから、物語はすべてそこから始まる"とN∀OKIが一気にエモーショナルな空気を作り、「ハロー、ハロー」へ。"明かりで俺らを照らしてくれ!"と叫ぶと、場内がスマホのライトやサイリウムでキラキラと輝いた。そんな聴かせる1曲からさらに一転、赤い照明の中、サイレンの音から「零戦SOUNDSYSTEM」、熱いコール&レスポンスも交わした「響く都」、そして大合唱から突入した最後の1曲「金色グラフティー」で締めくくった。


THE ORAL CIGARETTES


THE ORAL CIGARETTESのライヴは、色気を纏う1曲「Shala La」で"Shala La..."と会場全員で声を合わせてスタート。そこから鈴木重伸がセンターでギター・ソロを披露するなど見どころ満載のパフォーマンスに、観客が完全アカペラの大合唱で花を添えてメンバーも興奮をあらわにしていた「mist...」、山中拓也がギターを置いてハンドマイクで歌い上げる「カンタンナコト」から最新曲「Enchant」へと続け、デジタルなサウンドにあきらかにあきらのベースが絡みつく「BUG」でフロアいっぱいの人が一斉にモンキー・ダンスを踊る光景は壮観だった。

MCでは、前日にSo(Fear, and Loathing in Las Vegas/Clean Vo)とサウナに行ったというあきらが、神戸の街がベガスファンだらけで、サウナの中でまで話し掛けられたエピソードを披露したり、SoとMinami(Fear, and Loathing in Las Vegas/Vo/Key)と同じ大学の同級生だった山中が、当時から"ヒーロー"だったSoに憧れ、声を掛けても応えてくれなかったという思い出話をしたりすると、それをステージ袖で聞いて笑っているSoの姿がヴィジョンに映し出され、広いワールド記念ホールが小さなライヴハウスのようにアットホームな空気で満たされる。MVの1億5,000万回再生突破も見えてきている「狂乱 Hey Kids!!」でさらに大盛り上がりしたあと、山中がフロアで身動きが取れていなかったと思われる観客を見つけ、みなが楽しめるように助け合いを呼び掛けると、会場にまた結束感が生まれた。ラスト「5150」は、最初は観客全員による合唱で、そして途中から"どうしても歌いたかった"というROTTENGRAFFTYのNOBUYAも加わって歌い上げ、フェスならではのスペシャルなパフォーマンスを目撃することができた。


Liella!


今回の2日間のラインナップで、最も主戦場とするシーンが離れていたのは間違いなくLiella!だろう。彼女たちの出演が発表されたとき、どのようなケミストリーが生まれるのか筆者には想像がつかなかったのが正直なところだが、実際に会場で観てみると、実に素晴らしいものだった。色とりどりのサイリウムが輝くフロアに出迎えられた9人がオープニングに選んだのは「スター宣言」。元気なバンド・サウンドの1曲で、アニメやアイドルにこれまで触れる機会がなかったラウドロック・ファンの耳にも馴染みやすかったのではないだろうか。

そこから「ビタミンSUMMER!」を披露、"ヘブン ヘブン ヘブン"のリズムに合わせて手招くようなポーズを決める姿や、"まだまだ~?"の合いの手が非常にキュートだ。大熊和奏(若菜四季)、鈴原希実(桜小路きな子)、ペイトン尚未(平安名すみれ)、Liyuu(唐 可可)、伊達さゆり(澁谷かのん)、岬 なこ(嵐 千砂都)、青山なぎさ(葉月 恋)、薮島朱音(米女メイ)、絵森 彩(鬼塚夏美)が順番に自己紹介をすると、フロアのサイリウムがそれぞれのメンバー・カラーに変わり、ラウドロック・シーンにはない応援の仕方を目の当たりにする。そのあとに続く楽曲たちも和風なお祭りチューン「Chance Day, Chance Way!」、青と紫の照明の中ラップを繋いでいくクールな「POP TALKING」、ギターとピアノの音色が大人っぽい雰囲気を演出する「揺らぐわ」、曲名を体現する爽やかで透き通るようなサウンドの「色づいて透明」と様々で、アイドルという形だからこそ取れる表現方法の面白さを知ることができたように思う。声援を送るフロアを兵庫出身の岬が"ちょっと、足りへん"と愛くるしく煽るMCから、凛とした「Day1」、「Second Sparkle」、そして最後に再び元気なアイドル・ソング「TO BE CONTINUED」でしっかりと存在感をアピールした。