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LIVE REPORT

PassCode

2021.02.23 @豊洲PIT

Writer 吉羽 さおり Photo by Shingo Tamai

昨年12月にメジャー3rdアルバム『STRIVE』をリリースし、またついに2022年2月12日に決定した初の武道館公演に向けての全国ツアー["STRIVE" for BUDOKAN Tour 2021]がスタートしたPassCode。この原稿では、ツアー3本目の2月23日豊洲PIT公演をレポートする。

開演のだいぶ前から着席し準備万端といった感じでウズウズしながらステージを眺めている人が多い。感染症対策で場内はSEが流れている以外は静かではあるが、心なしか温度が高い。会場が暗転し、バンド・メンバーに続いてPassCodeの4人、南 菜生、高嶋 楓、今田夢菜、大上陽奈子がステージに登場すると、爆音のSEに負けじと観客は大きな拍手で迎える。1曲目は、3rdアルバム『STRIVE』の冒頭を飾るハイパー・チューン「SPARK IGNITION」。身体に響くようなバキバキの轟音と派手なレーザーの演出に眩みつつ、目を奪われるのはキレを増している4人のパフォーマンスだ。そのキレの良さは、これまでのライヴで磨き抜いてきた「MISS UNLIMITED」のような曲でより際立っており、ダンサブルな「DIVE INTO THE LIGHT」、そして今田のパワフルで振り切れたシャウトを合図に4人のめまぐるしいヴォーカルとプログレッシヴなサウンド展開で聴かせる「Taking you out」と、攻撃的なPassCode節の連投で、さらにキレキレになっていくのが恐ろしい。武道館の日程が決まったことで、ステージへのヴィジョンがより明確になったこともあるのか、ダイナミック且つ、よりエンターテイメント性に富んだステージングになったと感じる。

"["STRIVE" for BUDOKAN Tour 2021]にお越しくださいまして、ありがとうございます。最高の1日を作りましょう。みんなで、愛の歌を!"という南の言葉でスタートしたのは「Ray」。曲中では"何があってもステージに立ち続ける、私たちが私たちであるための証明"と力強く宣言されたことも頼もしい。中盤はアルバム『STRIVE』の曲で構成された。「GOLDEN FIRE」と「Seize Approaching BRAND NEW ERA」というカオティックだが猛烈なキャッチーさも併せ持つダンス・チューンが連続で投下されるのは、前回のツアー"STARRY TOUR 2020"KT Zepp Yokohama公演でもおなじみだが、その流れにファンキーな「Yin-Yang」も加わったことで、観客の頭はさらにかき回された。そこから、極上にポップな「ATLAS」へとなだれ込む。『STRIVE』というアルバムが持つ幅広さ、やりたい放題の自由さを実感する瞬間だ。ちなみにこの日のステージのバンド・メンバーは、KENT(Gt)、Yoichi(Gt)、亜太(Ba/KNOCK OUT MONKEY)、Kid'z(Dr/MY FIRST STORY)という布陣。強力なメンバーが一癖も二癖も持ったプログレッシヴなPassCodeサウンドを生み出している。

"動"ばかりでない美メロのエモーショナルな曲も魅力のPassCode。『STRIVE』では「yours」がそれにあたるが、怒濤の流れのセットリストの中で「yours」はひと際ピュアな輝きを放つ。エフェクトが抑えめの生のヴォーカルに近い構成で、南が作詞を手掛けたこともあり、4人の普段の体温が伝わってくる曲だ。そして後半は「STARRY SKY」や「Anything New」など4曲を連続で披露し、ラストは「It's you」で締めくくった。"未完成の地図を 指でなぞって 辿ってく"、"このまま進んでゆけ ずっと"と歌うこの曲の視線の先には、今、しっかりと目指すべき場所が見えている。その場所までみんなを連れていく、という4人の意志をまっすぐに届けるライヴになった。

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