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LIVE REPORT

PassCode

2023.07.20 @Zepp Shinjuku (TOKYO)

Writer : 吉羽 さおり Photographer:タマイシンゴ

昨年末にリリースした『REVERBERATE ep.』を携えて、4月の仙台からスタートしたライヴ・ツアー"REVERBERATE Plus Tour 2023"が7月20日、Zepp Shinjuku (TOKYO)でファイナルを迎えた。声出しなどが解禁され、かつてのライヴ風景が戻ってきたところでのツアーということもあり、SEが流れるやフロアから歓声やコールが上がった瞬間には凄まじいパワーがあった。コロナ禍真っ只中の2020年夏にいち早くライヴを再開し、グループと観客とで試行錯誤しながらその時々でのライヴのあり方を築いてきた長い時間があったからこその爆発力だ。

ステージに登場した新衣装のPassCodeの4人、南 菜生、高嶋 楓、大上陽奈子、有馬えみりは、歓喜に沸く観客の声を大きなシンガロングに変えると"お待たせ、新宿"(南)の声を合図に1曲目「It's you」へと突入した。"3年間ずっと、あなたの声を聞けることを楽しみにしてた"という南の言葉に、会場のボルテージがどんどん上がっていくのを肌身に感じる。そこに投下されたのは、今年4月に配信リリースとなった「MYTH」。有馬のリズミカルで、攻撃的なビート然としたシャウトから振り切ったパワーで駆け抜けていく曲で、新曲ではあるがこのツアーでしっかりと肉体的にものにしてきたことが、4人のスピード感やノリ、バンドとの躍動感から伝わる。会場が一体となっての大合唱もあり、すでにライヴのテッパン曲だ。そして初期曲「Toxic」から、本ツアーのタイトルにもなっている『REVERBERATE ep.』収録曲「Live your truth」と、前半から前のめりに、ノンストップでボリュームを上げる曲を連投した。

前半MCでは、ソールド・アウトでツアー・ファイナルを迎えたことに感謝をしながらも、"めちゃくちゃいい意味でなんだけど──汗臭い!!"と南が叫ぶ。"毎回のことで申し訳ないんですけど、空調どうにかなりませんかね、冷房がんばれー"とメンバーも口々に語る。冒頭からそれくらいに会場内が熱気で満ちている。照明に加えて、前方から観客の熱を浴びるステージは相当に熱いだろうが、満ち満ちになったフロアもすでに汗だく。しかしここからももちろん容赦なく、『REVERBERATE ep.』収録の「SIREN」から、「Stealth Haze」、「FLAVOR OF BLUE」、ド派手なシンセがフロアの熱気を上昇させる『REVERBERATE ep.』収録の「NOTHING SEEKER」へとメロディック且つプログレッシヴな曲が続いた。息つく間もないフルスロットルな展開でステージ上の4人もフロアの観客もさらに汗を搾り取られていくサウナ状態に。そんななかでも、「STARRY SKY」のハイトーンによるメロディは、ステージから爽快な風を吹かせてくれる感覚だ。

中盤のMCでは今後のライヴ日程がアナウンスされた。本ツアー後は、"SUMMER SONIC 2023"をはじめ各地の夏フェスに出演し、9月には初のアメリカ・ツアーとなる"PassCode US TOUR 2023 -GROUNDSWELL- presented by LIVE NATION"を開催。そこに続き日本全国11都市12会場を回るツアー"US / JAPAN TOUR 2023 - GROUNDSWELL -"を行うことを発表した。次のツアーはライヴハウス・ツアーということで、こちらも熱いものになりそうだ。そしてこのMCでの小休止の後、"次の曲振りは、この人にやってもらいたい"(南)と会場にいるサウンド・プロデューサー 平地孝次に呼び掛ける。フロアからも盛大な平地コールが起こるなか、平地が"Zepp Shinjukuのみんな、準備はいいですか!"と高速&矢継ぎ早の展開で頭を空っぽにしていくラウド・チューン「Freely」を盛り上げた。

そして、本ツアー中にリリースとなった『REVERBERATE ep.』と対をなす『GROUNDSWELL ep.』から「GROUNDSWELL」が続く。有馬のパワフルで変幻自在なシャウトを軸に加速していくこのハードコアなナンバーから、さらにエモーショナルな「ONE STEP BEYOND」や「Ray」へと繋いでいって、身も心ももみくちゃにしたところで、大きなシンガロングとダンスを巻き起こしていく「Club Kids Never Die」になだれ込んでいく。もはや観客もヘロヘロの状態で、ステージ上の4人も立ち込める熱気に天を仰ぐ。

いよいよ終盤というところで、会場内の熱気とボルテージの高さが影響したのか(?)照明のトラブルもあったが、改めてコロナ禍でライヴができなかった経験や、そのコロナ禍真っ只中にメンバー・チェンジがあり、メンバーが変わったらPassCodeじゃないと思うファンもいるのではないかという不安や葛藤も抱えた時間を過ごしたことなどを語った。そうした紆余曲折をも栄養にして立っているのが、今回のツアーだろう。"この3年間を噛み締めて一緒に作ろう"(南)と呼び掛けた「Anything New」はまさに様々な思いに揺れていた2020年10月に発表された曲だった。当時は暗闇の中で手を伸ばす願望として響き渡ったこの曲は今、走り続けてきたこの道が間違いでなかったことを証明する曲になった。その思いが会場をひとつにする。

このエモーショナルな瞬間から、ラストは『REVERBERATE ep.』収録の「Clouds Across The Moon」で晴れやかに駆け上がっていく。4人もバンド・メンバーもステージ前方へとせり出していって、フロアと手を取り合っていくようにその歌を強くしていくと、Zepp Shinjukuは多幸感で包まれていった。本来、アンコールはやらない予定だったが、どうしても1曲やってもいい? と、ステージからはけることなくインディーズ時代のアルバム『ALL is VANITY』から「Kissの花束」を披露。ここまでアグレッシヴにバキバキなラウド・チューンを連打しながら、最後の最後はアイドル感たっぷりのキュートさで観客をノックアウトするという、PassCodeの遊び心にも富んだツアー・ファイナルとなった。


[Setlist]
1. It's you
2. MYTH
3. Toxic
4. Live your truth
5. SIREN
6. Stealth Haze
7. FLAVOR OF BLUE
8. NOTHING SEEKER
9. STARRY SKY
10. Freely
11. GROUNDSWELL
12. ONE STEP BEYOND
13. Ray
14. Club Kids Never Die
15. Anything New
16. Clouds Across The Moon
17. Kissの花束

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