COLUMN
G-FREAK FACTORY 打たれる出た釘・打たれない出すぎた釘 第五十回
予定を決めて止まらないで走っていると「先のシーズン」を見据えて生きることになる。タイム感がバグってもう2025年も半分を迎えようとしている。無情な時間が体感を超えていく俺のスピード計は充実からなのか?それとも空白なのか?はたまた衰えか?そう時々ふと考える。そしてその「先の約束」は必ず迎えられるかの絶対的保証は実はもうない。
昨年の9月に4年ぶりのフルアルバムHAZEを発売して。山人音楽祭を経て、10月から今年の5月まで36本のロングツアーが先日のZeppダイバーシティのファイナルワンマンをソールドアウトという土産を乗せて完了した。ほとんどのライブハウスを完売で迎えることができた旅は初めてだと思う。全国各地でお世話になった対バンの皆様、遊びに来てくれた同志の皆、各地のイベンター。そして記すべきは旅を重ねることに鋭く完成を目指して切磋琢磨してくれたスタッフ。ゲロを吐きそうな行程で運んだメンバーに感謝を記したい。それだけではなく、裏作業になるが地元のプライベートで支えてくれた人たち。曲を作る上でヒントとキッカケをくれた仲間。更にステージでの呼吸をはじめとするパフォーマンスを上げるべく、ライブ後の毎週明け月曜日にトレーニングを研究考慮して追い込んでくれたコーチにも。特に嬉しかったのは彼が諦めなければ50歳はまだまだ進化できると体感をもって教えてくれたこと。決して楽ではないが続けていくことでブランクも埋められるもの。なくした分だけ、いやなくさないと手に入らないものがあるのだと体に負荷をかけながら考えるのだ。
世の中が多くの人を巻き込むような災害や戦争、疫病に冒されず、いつものように予言者の時期的な売り物を軽く越えた安泰であれば、山人音楽祭は2025年9月20日、21日をもって10年目を迎えることができそうだ。ローカルフェスの途中ここまでは風評からやむを得ず休催を強いられたり、会場を変更して無理矢理なソーシャルディスタンスを施した意地の開催があったりと、決して順風満帆とは言えない田舎のフェスが止まることを選択しなかったのは、ここにかけるスタッフや支えて来てくれた大勢の衆のおかげかと思う。周知の通りフェスやバンドという片道の生き物は「先の約束」をするほど簡単なものではないので、そのオモチャが存在しているうちに山人に限らず是非ライブに遊びに行って日々のエネルギーに変えてもらいたいと思う。
このまま進むと先は長そうで体感的にはそんなに長くない。キリがなく変わりゆくもの。その中でも変わらないもの。術がなく変われないもの。手加減なしで劇的に移りゆく時代で、簡単に迷子になってしまうようなやみくもに走りすぎた暗い景色の中を、どうか皆が充実したシンプルな日々を迎えられているよう願ってる。もちろん俺もこの先まだまだ探していくつもりだよ。
PEACE & YAH-MAN
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