INTERVIEW
G-FREAK FACTORY
2025.07.01UPDATE
2025年07月号掲載
Member:茂木 洋晃(Vo)
Interviewer:吉羽 さおり
G-FREAK FACTORYが主宰する"山人音楽祭"が、9月20、21日に日本トーターグリーンドーム前橋で開催される。今年は10周年という記念すべき開催で、10-FEETやBRAHMAN、HAWAIIAN6、HEY-SMITH、四星球といった盟友やこれまで"山人音楽祭"を盛り上げてきたバンドたち、また初登場となる山嵐やJ-REXXX BAND等、そして弾き語りの猛者たちがステージを彩る。恒例となった"山人MCバトル"の開催も決定した。10年、こうして大きなフェスを続けるエネルギーは並大抵でない。コロナ禍もあり、会場や規模を変えて創意工夫をしながら開催に尽力してきた数年間もある。節目の年を迎えての実感、またその先に思うことをG-FREAK FACTORY 茂木洋晃に語ってもらった。
-"山人音楽祭"は今年で10周年を迎えます。アニバーサリー・イヤーということで、今年は何か企画的に考えていること等ありますか。
特別なことというよりは、例年通りのことをしっかりできるかというチャレンジだと思っていますね。実際、コロナ禍では、フェス当日を迎えられるだけで半分成功だった時代もあったじゃないですか。俺等もそれまでのグリーンドーム前橋(当時はヤマダグリーンドーム前橋)から高崎芸術劇場に会場を変えて、ソーシャル・ディスタンスでやるとかもありましたけど、あそこで途切れちゃったらもうできなかっただろうと。そう思うと、10年間いろいろあるなかでここまでやってこられたこと、しかもあの田舎でやってこられたこと、スタッフの皆さんがそれを形にしてくれていることは本当にすごいなと感じますね。
-群馬という地でフェスをする、バンドが主宰となってフェスをする難しさというのはあった感じなんですか。
やっぱりアクセスの問題とか。昔はフェスと言えば夏にしかなかったから夏フェスという言葉がありましたけど、夏じゃないときにフェスがあっても、田舎でフェスがあってもいいじゃないかってことで、あえてお彼岸の時期を選んで始めたんですが、今や一年を通してフェスがある状況になって。"山人音楽祭"はアクセスしてくれている人の6割以上が群馬の人たちなんです。そこが本当に素晴らしいことだなと思います。だからこそ、群馬の人たちのアンテナの感度をもっともっと上げたくてやっているんですけど、そこが上がるスピードの難しさはありますね。 コロナ禍のときに感じたのが、万が一あの場でクラスターを出してしまったら、地元を追われることになるわけじゃないですか。地元で失敗して、そこを追われるってすごく怖いことですし、あの当時で言うと、人間のモラルみたいなものまで問われてしまう感じもあって、俺はもう正直バックギアが入ってたんですよね。でもやりましょうって言ってくれたのは、ずっと一緒に"山人音楽祭"を作ってきたDISK GARAGEだったり、事務所の(株式会社)バダスだったりして。本当にやって良かったのか......ギャンブルみたいなもので事無きを得たから良かったんですけど。でも、ああいうところを越えてきたから、10年やってこられたんだなとは思いますね。
-たしかにそうですね。コロナ禍では高崎芸術劇場に場所を移しての開催で、2023年には再びグリーンドーム前橋に戻っての開催ができたのは大きなことでしたね。グリーンドームという場所はとても大事な場所になっていますね。
今となってはもちろんそうですね。もっともっとアクセスも利便性も使い勝手もいい、なんなら音もいい場所もあるんですけど、あそこでやりたいというのは満場一致だったと思います。まずはあそこに1回帰るのが筋でしょうみたいな(笑)。
-帰ってきたという感じがありました。グリーンドームでは、屋内に2ステージと、野外にもステージがあって。野外のステージではアーティストのライヴの他、"山人MCバトル"というコーナーもお馴染みになってきました。"山人音楽祭"としては、どういうフェスにするか、どんなアーティストを見せていくかについてどのように考えていたんでしょうか。
こんなふうにあったらいいなというよりは、とにかく始めた頃は群馬にフェスがなかったので、県外に行かないと観られないようなアーティストが、群馬でライヴをやってくれたら、みんな嬉しいだろうなくらいのシンプルな感じだったんです。そこからどんどん仲間が増えてきて、気軽に声を掛けられるやつがいたり。そのなかでマンネリ化しないように、昨年はこう、今年はこうみたいに少しずつ変化していくことで、裏切らず変わっていくというか。それは考えましたね。
-"山人音楽祭"ではMCバトルのステージがあるのが特徴的ですが、あれはどういったことからスタートしたものなんですか。
NAIKA MCという地元でしょっちゅう一緒に遊んでいるラッパーがいるんですけど、そのラッパーがMCバトルでもどんどん優勝とかをし始めて。もともとは、NAIKAのステージを作れないかなみたいな話からスタートしたんです。でも昨日NAIKAから、10周年だから、今年はそこにバンドマンも出られないですかねみたいな話を貰って。バトルというか、エキシビションでいいからと。そんな話もあるので、いろいろと考えているところですね。
-このMCバトルも、出たいっていう方は結構多いんですか。
そうですね。今年はNAIKAが群馬県での県予選みたいなものも仕掛けてみたいという話があったので、とてもいいなと思ってます。正直、あのMCバトルの感じっていうのは、ずっとバンドをやっている俺には分からないし。バンドマンって、勝ってないけど負けてないというのをずっとやってるじゃないですか。ここでは負けたけど、ここの部分では絶対勝ったとか、そう思ってないとやってられないし。スポーツじゃないから勝ち負けを周知できるものでもないし、お客さんも勝ち負けで観てなかったりすると思うので。勝ち負けがあったとしても、全員がこっちが勝ちですよっていうこともないですしね。だから、俺はバンドでやってるコンテストとかが大嫌いなんですけど、MCバトルという勝負を目の前で初めて観て、すごいなって思ったんですね。 例えばサッカーだったら勝敗も分かりやすいもので、前半/後半があって、それでもダメなら延長戦をやって、さらに引き分けだったらPKをやってでもその日の内に決着をつけて、ずっと負けっぱなしだったら弱いというレッテルが貼られるんだけども。数字では表せないところが音楽だから、あまりピンと来なかったんだけど、友達がそういうのに出ているのを目の前で観ると、本当にすごいなと思ったし、MCバトルをやってる人たちってかっこいいなとなりましたね。
-あの短い時間の中に技術はもちろん、そこに生き様も映りますしね。
最近はちょっと下火になってきちゃったんですよとはNAIKAが言ってたんですけど、そんなこともないだろうと思うし。例えばロックって、今俺は50歳ですけど、昔は50歳でやってちゃいけないものだと考えていたし。今はそういうのはあまりないと思いますけど、ラップって何歳までやっていいかっていうのがもっと見えなくないですか。下手したらNAIKA MCが80歳になったときに、20歳のやつを一言でバサっと斬れるかもしれないし。剣道とかゴルフとかのように、人間が何歳までできるかの限界みたいなものを、俺はNAIKAに求めているんですよね。ラップって、日本ではまだその限界、最年長の歴史が見えてないから、すげぇ楽しみだなと思うんです。