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INTERVIEW

G-FREAK FACTORY

2023.09.08UPDATE

2023年08月号掲載

G-FREAK FACTORY

Member:茂木 洋晃(Vo)

Interviewer:荒金 良介

G-FREAK FACTORYが1年ぶりとなるニュー・シングル『RED EYE BLUES』を完成させた。全3曲入りの内容はそれぞれタイプの異なる曲調を揃え、改めて彼らにしか作れないメッセージとサウンドに感服するしかない。時代に流されることなく、しかしアップデートし続ける音楽性に新鮮な衝撃を覚えてしまう。特に表題曲は2023年の今だからこそ聴くべき強烈なナンバーと言えるだろう。昨年末に渡部"P×O×N"寛之が脱退し、今作からLeoが正式メンバーとして加入。また、4年ぶりに日本トーター グリーンドーム前橋で開催される"山人音楽祭 2023"についてなど、茂木洋晃に話を訊いた。

-P×O×N(渡部"P×O×N"寛之/Dr)さんを含むG-FREAK FACTORYは約4年半活動してきましたが、振り返ってどんな期間でしたか?

とてもいい時間でしたね。コロナ禍もあり、バンドの活動自体が成立していたかと言えば、そういうわけではないんですけどね。P×O×N自身もコロナにかかり、それで脱退に至るんですけど、人生レベルで考えたときに彼が決めたことをリスペクトしなきゃいけないから。円満離婚という感じです。

-コロナとバンド脱退は繋がっているんですね。茂木さんは寂しくなかった?

もちろん寂しいけど、俺自身も価値観が変わったから。人間はいい意味でも悪い意味でも慣れていくし、慣れないと人間は暮らしていけないから。P×O×Nがいなくなって寂しいけど、それに慣れなきゃいけないし。20代だったら、ぶっ飛ばしてでも"一緒にやろうぜ!"となるけど......それも年齢ゆえ、価値観ゆえなのか、あいつがいるうちに1本でも最高のライヴをやろうよ、って気持ちを切り替えました。P×O×Nがやめることでいいことはひとつもないと思ったけど、プラス/マイナスじゃないですからね。

-そして、Leoさんをサポートに迎え、今作『RED EYE BLUES』から正式加入という形になります。声を掛けた理由は?

周りから素晴らしいドラマーがいると聞いてたんですよ。年齢的なギャップもあるし、人間性もわからなかったけど、やりたいです! とLeoのほうから言ってくれたから。

-ちなみにLeoさんは何歳なんですか?

26歳ですね。よくこんなおっさんバンドに飛び込んできたなと(笑)。今は地元に20代のバンドもいるし、Leoともあまりジェネレーション・ギャップを感じなくて。

-茂木さんから見てLeoさんはどんなタイプのドラマーですか?

芯がすごくあるやつで、あまり周りに流されないタイプ。バンドはそのときの流行に染まりがちだけど、あいつはそういうものには壁を作るし......かと言って、流行を知らないわけでもない。あと、あいつのドラムが好きですね。インストのバンド(Baja)を別でやっていて、ドラム単体で魅せることもやってきたから。丁寧さよりもエネルギーに溢れているし、リズムの良し悪しに関しても肌が合うんですよ。で、去年の"山人音楽祭"のタイミングで、あいつからやりたいと言って、P×O×Nと一緒にスタジオに入りましたからね。"あいつはまだ荒いけど、大丈夫だよ"とP×O×Nも言ってくれたから、引き継ぎもスムーズでした。

-なるほど。それで今作『RED EYE BLUES』を聴かせてもらいましたが、また色合いの違う3曲が揃いましたね。特に表題曲はメッセージ性が強く、G-FREAK FACTORYにしか作れない名曲ができたなと。

こういうリリックは覚悟がいるけど、人生の中であと何曲書けるだろうと考えて、やらなきゃ遅いと思ったから。いい曲を書けたなと。

-覚悟というと?

荒金さんも好きな90年代のロックは時代背景がめちゃくちゃで、それに対するフラストレーションが音楽の塊になっているじゃないですか。音楽という強力な武器を持って、90年代のロックやパンクは盛り上がったから。その意味でいうと、日本で暮らしていて、"骨抜きにされた負のクラスター"という歌詞があるんだけど......この状況にいて、なぜ誰も怒らないのかなと思って。偉い人を殺してしまったり......俺たちは先進国ではなく、後進国に生きているんだなと。でも俺らは世界のリーダーの国に生まれたんだという気持ちをなかなか拭えなくて。今、20代でバンドをやっているやつは先進国に生きていないとわかったうえで始めているから、俺らより先に行ってるんですよ。俺たちは危機感がないから、逆にヤバい世代だなと。

-その危機感が歌詞にも表れてますよね。"ニッポン"という歌詞も3回出てきたし、テーマ的にも戦争や世相に対して、茂木さんなりに吐き出したい気持ちがあるんだなと。

ありますね。俺らみたいなベテランが言えば、もっと若いバンドはすごい表現をしてくれるんじゃないかと。音楽で色恋を表現するのもいいけど、この時代背景だったら、こういう手法もあるというか。何おかしなこと言ってるの? と思われるかもしれないけど、それくらい激動の時代背景ですからね。

-今の時代の混沌とした雰囲気みたいなものが、豊潤なサウンドにも反映されてます。特に冒頭の茂木さんのブルージーな声色には惹きつけられました。

そう! そういうふうにしたかったんですよ。Leoからは"今日は声に張りがないじゃないですか?"と言われたけど、そういうふうに歌っているんだよ! って(笑)。

-素に近い歌声ですよね。それがまた新鮮でした。楽曲のアレンジに関しては?

コロナの間はインストしかほぼ聴いてなかったんですよ。あとアンビエントとか。それで、ヴォーカルっていらねぇんじゃないか? って(笑)。インストはリスナー参加型で演奏と風景がクロスするじゃないですか。それでループ・サウンドが好きになったんですよ。最初のピコピコ鳴っている音も最後まで入れたくなって。この先もこういう曲をやってみたいですね。

-「RED EYE BLUES」、「the latest」にもループ・フレーズを入れてますよね。

うん。ただ、ほかのメンバーがちゃんとロックに持っていってくれるから、それがバンドの面白さだなと。俺が作ったデモはもっとクラブ寄りでしたからね。

-そこに90年代ロック風の大振りなヘヴィ・リフやダブっぽい要素も入れて、G-FREAK FACTORYらしい仕上がりになってます。

シンプルにダブはやりたかったし、キーボードの人(多畠幸良)が柔軟で途中のブリッジ部分はジェットコースターに乗っているような音色で、すげぇなって。Leoと初めて作る曲だったけど、アレンジはどんどん変わりましたね。

-パートごとにいろんな表情が詰め込まれてますよね。

そうですね。ドラムに関してはあいつのこだわりでシンプルになりましたけど。ウワモノに関してはギター(原田季征)とキーボードがいろいろ話し合って、みんながアレンジを考えてくれたから。ちなみに俺以外はこの曲が表題になるとは思ってなくて。本当は"ザ・G-FREAK FACTORY"と言える「アメイロ」をほかのメンバーは推してたんですよ。

-そうだったんですね。個人的にも「RED EYE BLUES」が表題曲に相応しいと思います。ただ、ライヴで表現するのは大変そうですね。

うん、何度かリハではやっているけど、もう少しでいいところにいけると思います。

-では、この曲で最も伝えたいことは?

世の中の主流に寄せたものをやっちゃうほうがみんなをがっがりさせるだろうし。ライヴで表現して気持ちいいものを第一に考えたいなと。日本語でダイレクトに伝わって、テンポも速くなく、観客としっかり対話できるライヴをしたいんですよ。それを弾き語りのときに感じたから、これをG-FREAK FACTORYにも生かしたいなと。こういうきっかけがあったからこそ、もう一度考えて、何かを構築できるチャンスになっているはず。これから先、G-FREAK FACTORYが表現する中でコロナがいっぱい指針もくれたと思うから。この曲を聴いて、みんながほんの少しだけでも踏み出すきっかけになればいいなと。

-それで誰かの背中を少しでも押せる曲を作りたかったと。

そうですね、うん。"行こうぜ、日本人!"みたいな感じです。

-ただ、曲調はそういうノリではないですよね。

荒金さんね、"行こうぜ!"と言ったら、人は行かないんですよ。ネガティヴを100個ぐらい並べたら、"ふざけんな!"ってポジティヴに行けるんですよ。

-はははは。

これもダメ! って言われたあとは、開き直りに近いポジティヴさが生まれるから。