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LIVE REPORT

G-FREAK FACTORY

2021.06.26 @Zepp DiverCity(TOKYO)

Writer 吉羽 さおり Photo by KAZUYA KOHSAKA

G-FREAK FACTORYの全国ツアー["VINTAGE"TOUR 2021]が、6月26日Zepp DiverCity(TOKYO)でファイナルを迎えた。昨年リリースしたアルバム『VINTAGE』を携えてのこのツアーだが、前半の公演は緊急事態宣言発令などもあり中止が重なった。MCでは、ファイナルを迎えてツアーとしていったんケリはつくが、今回行けなかった場所に関してはいつか行きたいと思っているということを茂木洋晃(Vo)は何度も語っていた。この東京公演も一度は延期になったものの、G-FREAK FACTORYはこうしてライヴハウスへと帰還した。アルバム『VINTAGE』のアートワークとツアー・タイトルに、"Final"の文字が加えられた大きなバックドロップに、期待が高まる。椅子が並んだ会場や歓声が上げられないことなど制限されることはまだまだ多いが、この日を待ちわびた観客の熱の高さはフロアの空気からひしひしと伝わってくる。

暗転とともに大きな拍手がわき原田季征(Gt)、吉橋伸之(Ba)、渡部"PxOxN"寛之(Dr)、そしてキーボーディストが登場しディープなセッションを繰り広げる。茂木が登場しておなじみの口上を述べると一段と場内のテンションが上がる。「SOMATO」、そして『VINTAGE』からの曲「BE ALL AROUND」、「REAL SIGN」と続き、冒頭から容赦なく濃厚なアンサンブルを轟かせ、歌を、言葉を会場の隅々まで響かせた。曲中、茂木は"よく来たな"と観客に呼び掛ける。普段ならなんてことないその呼び掛けも、今は胸に染みる。そして何よりもステージから放たれるサウンドが、豊かで力強く、確かに今を刻んでいる密度の高さと開放感があって最高だ。「SO LONG」のしなやかなグルーヴに観客は身体を揺らし、コブシをあげる。"ライヴっていいな"。茂木はそう言って目を細める。「AGAIN AND AGAINST」のメロウなメロディで会場の空気を上昇させ、「FAKE SPEAR」で哀愁のスカ・ビートを刻むと、「日はまだ高く」で"真上に跳べ"とフロアのエネルギーをまとめ上げていく。いつもは大合唱となる曲に観客の声がないのは寂しくもあるが、バンドの持つ迫力、"ライヴ"という臨場感が失われることはない。ライヴ・バンドとして積み重ねてきた矜持、ソウル、尖った熱情が、こういう状況だからこそ赤裸々となる。その骨太な姿勢が眩しい。またコロナ禍の今だからこそのセットリストが、中盤に据えられたアコースティック・セット。きっかけはOAUの無茶ぶりから始まったアコースティックだったという。いつものライヴなら、図太いグルーヴとアグレッシヴなヴォーカルで激しいモッシュを起こしていく「Unscramble」が、歌心引き立つミディアムなアコースティックで紡がれた。こうした新たな時間も、いい。

"ヴィンテージという言葉は、昔は好きじゃなかった。古いものが気取りやがってと。でもいつしかそれが好きになった"と茂木はMCで語る。そして、いつしかこうして椅子のある会場やマスクをして声が出せないようなライヴが、プレミアになる日がきっと来るんだということを語った。この言葉から語り掛けるように「ヴィンテージ」を歌い、グッと濃厚な後半へと突入していく。『VINTAGE』からの曲とライヴ定番曲とが交じり合い、新たなうねりを生んでいる。攻撃的なギター・リフにボルテージが上がる「FOUNDATION」、グッド・メロディからエモーショナルにアクセルを踏み込む「Fire」、そこから泣きのコードと重厚なアンサンブル、畳み掛けるヴォーカル、シンガロングに胸が熱くなる「Too oLD To KNoW」へと続け、「ダディ・ダーリン」でマックスの感情をさらに爆発させる。フロアの拍手も熱を帯びて、波を起こしていく。コロナ以前のように、茂木がフロアに飛び込んだり、あるいは気持ち良くMCしている最中に"早く曲やれ"なんてヤジが飛んだりすることもない(茂木はそのヤジも懐かしいと言う)。G-FREAK FACTORYのライヴとしてはかなり制限のあるライヴだ。なのだが、この日、もの足りなさがあったかと聞かれたら、それはなかった。コロナ禍で様々に趣向を凝らし、今だからこその試みをするバンドやアーティストも多く、新たな味わいや楽しみを生んでいることと思うが、G-FREAK FACTORYはいつも通り、正攻法で、真摯なステージを行った。コロナ禍の制限が、音楽を損なうことはないことをストレートに観客に撃ち込んだライヴだ。心地よい余韻のなか、アルバム同様「呉々も日の暮れと」で本編を終えた。

アンコールでは、この日が早く来てほしいと願いながらも、もうすぐツアーが終わってしまう複雑な思いを語り、しかしこうして再びライヴハウスに戻ってこれた喜びを観客と分かち合った。そして「EVEN」など3曲を披露すると、"いつかこのマスクが外れる日までどうか達者で。必ず会いましょう、G-FREAK FACTORYでした"と、ツアー・ファイナルを締めくくった。

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