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INTERVIEW

G-FREAK FACTORY

2019.05.06UPDATE

2019年05月号掲載

G-FREAK FACTORY

Member:茂木 洋晃(Vo)

Interviewer:荒金 良介

昨年はキャリア初の日比谷野外大音楽堂でのワンマン・ライヴ、そして、初の2デイズ開催に踏み切った"山人音楽祭 2018"を大成功に収めたG-FREAK FACTORY。彼らが前作『カモメトサカナ』から久々となるシングル『FLARE/Fire』をリリースすることになった。常に時代の風を読み、自分たちなりのレベル・ミュージックをかき鳴らすサウンドは、ここに来てさらにバンドの根幹に迫る対照的な楽曲で攻めてくる。全3曲、どれもライヴでまた新たな興奮と感動をもたらしてくれるに違いない。茂木洋晃に今作の魅力について大いに語ってもらった。

-今作は前作『カモメトサカナ』(2018年リリースの6thシングル)から11ヶ月ぶりの音源になります。これまでの期間にまた何か考えることがありました?

相も変わらず曲を生み出すのに時間がかかるんですけど、平成が終わるという実感がじわじわ湧いてきて......平成は個人的に忍耐の時期だったなと。

-茂木さん的には?

そうですね(笑)。子供の頃は心配事があったにせよ、歳を重ねた今抱いている心配事に比べたら大したことはないですからね。今はネガティヴなことがたくさん降ってきてるから、それをどうポジティヴに持っていこうかなと思ったんです。その意味でまたいいハードルができました。それが前作を作り始めた頃かな。

-そうなんですね。前作は"渋いですね"と僕も率直な感想を言いましたけど(笑)。

いや、渋かったと思います。ある意味渋いことは悪いことじゃないし、渋いことをやってもそれをプラスに変えるべきだから。その渋さを自分で受け止めればいいわけでね。

-最近は等身大の自分たちを表現しようというモードになってます?

どんどんそうなってるんじゃないですかね。今回はラウドな曲もありますが、昔は狙ってやっていたけど、今回は染みて出てきたというか。

-それは「FLARE」のことですね。

はい、それはメンバーとジャムりながらできた曲なんですよ。

-「FLARE」は90年代ミクスチヤー・ロックの懐かしい香りもします。

うん、今聴いてもかっこいいですもん。僕らはそこをピークとして考えているところがあるし......あの頃に溢れていた音楽は本当にすごかったと思うんです。ミクスチャーに限らず、パンク・ロック、クラブ・ミュージックもそうだし、すごい時代でしたからね。今どれだけ巧みなテクニックを使っても、俺らはその時代の音楽に食らいましたから。今回はそれをそのまま出せばいいんじゃないかと。ただ、リリックは90年代と比べると変化してますけどね。そこはウソをつかずに書けたらいいなと思ってます。

-茂木さんが食らった90年代ミクスチャーというと?

DUB WARとか。

-かっこ良かったですね! 現SKINDREDのメンバーが以前在籍していたバンドですね。

あと、RAGE AGAINST THE MACHINEが出てきたときも事件でしたね。

-ちなみに、RAGE AGAINST THE MACHINEはどのタイミングで聴きました?

テレビやラジオでは一切かかってなかったんですけど、1stアルバム(『Rage Against The Machine』)のジャケをお店で見たときに目が留まり、それで聴いてみたら、"これはヤバい!"と思って。即行で原田(季征/Gt)に"RAGE AGAINST THE MACHINE知ってるか?"って電話しましたね。アメリカでも20回ぐらいライヴを観ました。

-マジですか! 今はRAGE AGAINST THE MACHINEに影響を受けたFEVER 333というかっこいいバンドも出てますからね。

それでまた何か新しいものが生まれたらいいですよね。RAGE AGAINST THE MACHINEは理屈じゃないから。音圧やリフどうこうじゃなく、頭でやってるというより身体でやってる感じがするんですよ。楽曲うんぬんを超えてますよね。なので、自分も身体に染みついたものを外に放たないと、薄っぺらいものになっちゃうなと。最近、音楽は薄っぺらい方がいい場合もあるということを勉強したけど(笑)、それはあくまで方法であり、本質を曲げてまで方法に寄ってはいけないと思うから。それで前作あたりから、自分たちの本質はなんだろうとより考えるようになりました。

-手法やテクニックどうこうではなく、自分たちの本質を鳴らすためにはどうすればいいかということですか?

難しいことを簡単に見せたり、簡単なことを複雑に見せたりとか、そういうテクニックはもっと養わなきゃいけないけど、小手先だけのテクニックみたいなものに興味がなくなってきたんですよ。やっぱりバンドだから、メンバー全員でアレンジを考えるとか、そっちに興味が湧いてきました。もちろん各々のテクニックがなければできないことなんですけどね。メンバー全員で合わせたときのアンサンブルが好きですから。

-バンドのケミストリーですね。今作がP×O×N(渡部"P×O×N"寛之/Dr)さんが加入して2作目になりますけど、バンドのグルーヴが高まってきたのも感じます?

うん、最初はお互いに違和感があったと思うけど、だんだんP×O×Nを礎にライヴも運べるようになったし、あいつも自分を出すようになったから、ようやく噛み合ってきたかなと。

-「FLARE」のようにエッジのある楽曲が1曲目にくるのも珍しいですよね。

そうなんですよ。両A面にはなるけど、「FLARE」で"これがG-FREAK FACTORY!?"と思わせつつ、「Fire」でじわっと聴かせる作戦です(笑)。極端な曲を並べた方が、コンストラストがはっきりしますからね。

-「FLARE」では聴き手をビックリさせたかったんですね。

ビックリさせつつ、G-FREAK FACTORYらしさが届けばいいなと思ったんです。「FLARE」は自分が作ろうと思ったときの気持ちを大事にしたかったんですよ。ジャーン! とギターが歪みを出したときに、ちょっと照れ臭さはあったんですけどね。原田は空間系の音に好みが行きがちだったけど......一度バカになってやってみようということになったんですよ。みんなで作りながら大爆笑してましたね。

-あぁ、現場はそういう雰囲気だったんですね。

でも"それがかっこいいじゃん!"って。身体が一番入るテンポ、音圧を精査して、これでいこうと。FLAREはテクニックがあるから、ミクスチャー・バンドなんてやったことないのに簡単にやれちゃうんですよね。

-どんな曲調でも器用に対応できるんですね。

だから、もっとこういう曲をやってもいいのかなと思ったんですよ。スタジオで何が出るかわからないけど、やってみるみたいな。多くのアーティストにとって1stアルバムは、結成から数年間という時を経たベスト・アルバム的な内容になるじゃないですか。それで2ndアルバム以降はタイム・リミットがあるなかで、新しいものを生み出さなきゃいけないですよね。今は3~4時間スタジオを押さえて、自由にみんなでやってみる。それが楽しいんですよ。まぁ裏を返せば、それぐらい切羽詰まっていたんですけどね(笑)。

-「FLARE」は懐かしさもあるけど、歌メロはキャッチーだし、ダビーなG-FREAK FACTORYらしさもあるいい曲ですね。"どこに行こう"、"どこにいるの?"と自分の居場所、行くべき場所を模索するような歌詞も目につきます。

そうですね。自分もそうだし、聴いてくれた人にもその感覚は伝わるんじゃないかな。みんなどこか寂しさを抱えていると思うんですよ。ただ、そこまで狙わずに素直に出てきた言葉ではあるんですけどね。