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INTERVIEW

PassCode

2022.12.21UPDATE

PassCode

Member:南 菜生 高嶋 楓 大上 陽奈子 有馬 えみり

Interviewer:吉羽 さおり

初の日本武道館公演をソールド・アウトし、そのあとも初の日比谷公園大音楽堂、大阪城音楽堂での野外公演、"NUMBER SHOT 2022"や"ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2022"などの大型フェスへの出演、そして主催の対バン・イベント"PassCode Presents VERSUS PASSCODE 2022"やワンマン・ツアーと、2022年は"ライヴ"、それも今後へ繋がっていくようなライヴを成功させたPassCode。昨年、有馬えみりが加入した現体制となり、武道館まで数ヶ月という激動の時をもエネルギーに変えて、PassCodeはより強く、晴れやかな佇まいでステージに立っている。今の4人のステージングには、そんなタフさが感じられる。12月21日にリリースとなるEP『REVERBERATE ep.』は、そんな4人から吹いてくる颯爽とした風を思わせる「SIREN」を始めとした4曲が揃った。今年を振り返りつつ、その最新作について語ってもらった。

-2022年は2月12日の武道館("PassCode NIPPON BUDOKAN 2022")に始まり、初の野音("PassCode HIBIYA PARK / OSAKA CASTLE PARK 2022")や対バン・イベント、ファンクラブ・ツアー("Linkage Tour 2022")等々、特に印象深いライヴが続いた1年となりました。改めてちょっと時間が経ってしまいましたが、振り返ってみて初の武道館公演はそれぞれどういうものになりましたか。

大上:もちろん見たことのない広さの会場だったし、曲に合わせて光るシンクロリングを導入してお客さんにつけてもらったんです。会場が一面光る光景を初めて見て、すごくきれいだなって思って。あとは、武道館公演をやるって決まったときは、あまり実感がないっていろんなところで話していたんです。でも、当日はきっと緊張するんだろうなと思っていたんですけど、当日までそんなに実感がないくらいで(笑)。でもそれで逆に気負いせずにライヴができたのがすごく良かったなと思います。それまで武道館に向けてのツアーをしていたので、ツアーでやってきたことをそのまま武道館でできて。武道館だぞって気合も入りつつも肩に力は入りすぎずで、いつものツアーの延長上で楽しみながらできたかなというのが、PassCodeらしくて良かったなって思います。

-有馬さんは加入から約半年という短期間での、武道館のステージとなりましたね。

有馬:そうですね。加入して半年くらいと期間がなかったので、まだまだ自分のことで精いっぱいだったんですけど。今思い返してみるとシンクロリングだったり、コロナ禍で、会場で声を出せない代わりにファンの方の声を募集して流す試みがあったり、ストリングス隊が入ってくれたり、魅力的なライヴに参加させてもらったんだなってあとになって改めて感じました。

-PassCodeの演出としても初めてのことが多かったステージでしたね。

南:観に行ったことは何回かある会場で、PassCodeのライヴの前日と前々日も武道館にライヴを観に行っていたんです。観に行くと、やっぱり広い会場だなっていう感覚のほうが強かったんですけど、実際にPassCodeのライヴが始まってみると、いつもとあまり変わらないなというか。自分たちのことを好きな人がこうやって集まってくれれば、どんな広さでライヴをやったとしても感覚ってそんなに変わらないんだなってわかって。これから広いところでやるとしても気負いせずにできるなっていうのが、実感できた1日でした。

高嶋:えみりが加入して半年ちょっととかでまだ今のPassCodeを知らない人とかも、"武道館やからこそ"っていう感じで集まってくれたんです。その方たちにも今のPassCodeはこういうのだよっていうのを見せること、今の最大限のPassCodeを見せることができた日になったかなと思います。

-演出的に会場が一体となるシンクロリングの演出や、ストリングスが入っての豪華なアンサンブルがあり、またPassCodeの約10年間のヒストリーが追える映像もあって、エモーショナルなライヴになったなとは思うんですが、一方でここが集大成でなく、この先が見えるなという1日でもあって。まだPassCode、全然ここからじゃないかっていうのがすごく感じられた日だなとも思えたんですよね。

南:そう思ってもらえたなら、一番嬉しいですね。

大上:ファンの方の間でも、当日まで"武道館で解散を発表するんじゃないか!?"って疑っていたみたいなのも結構あったんですけど(笑)。武道館のライヴを観て安心したっていうコメントもあったんです。ファンの人もそう思ってくれる日なんやったら良かったなって。

-武道館後も野音や対バン公演があって、そのあともずっとツアーが続いていて、ノンストップできている。その活動自体にもPassCodeの意志を感じます。

南:結成したときから武道館だけを目指してきたグループではないので、ツアー・ファイナルが終わった感覚じゃないですけど。ツアーが終わったとしても活動があってライヴを続けてっていうのが、いつも通りにある感じですね。武道館が終わってもそうでありたいなと思ったし、考えていたように1年間活動ができたのが良かったです。新しいこともたくさんした1年だったので。武道館公演をやって、これまでPassCodeを見てきてくれた人に感謝を伝える年にしたかったので、ファンクラブ・ツアー"Linkage Tour 2022"を組むとか、喜んでもらえる1年にできたらいいなというのを目標に回ってきた1年だったんです。それが着実にできたかなって思います。

-実際に武道館を終えて見えてきたことっていうのはあったんですか? 心残りというと言葉は良くないですが、もっとこうしたいな、ああしたいなっていう思いが芽生えてきたこととか。

大上:心残りというのはないですね。どのライヴでも絶対にそうなんですけど、パフォーマンスとして歌もダンスも120パーセントでできるのは難しいことだから。それは武道館当日もそうで。でもそれが自分の中では良かったなと思います。"やりきった"じゃなくて、武道館が終わった次のライヴでも、ここはこうしたいなとかがまだ発見があることはとても大きくて。武道館での景色を見てここから楽しみだなっていうのもあったし、まだ成長の余地があるやんと思えたのも嬉しかったんです。

有馬:私はPassCodeに加入する以前は、ダンスとかの経験があまりなかったんです。武道館では映像も入るし、加入して最初のZeppツアー("PassCode Zepp Tour 2021")でやってきた曲も武道館で披露ができるから、さらに振付とかを教えてもらって練習をしたんです。武道館が終わってからパフォーマンスはよりしやすくなりました。

南:ダンスにしても、以前は見せ方というか、自分がどの身体の部位を使えば踊れるのかとかが、あまりわからない感じもあったと思うんです。最近は、身体の使い方も慣れてきた感じがあって。もともと振付を覚えるのは早い子なんですけど。身体に馴染むまでが早くなったなと思いますね。

有馬:最近、めっちゃ振付覚えるの早いです!

南&高嶋&大上:(笑)

-コツを掴んだんですね(笑)。さらにえみりさんは、シャウトを担うということではライヴでは1歩前に出て切り込んでいく、煽るような役割もありますしね。ライヴとしても、すごくいい勢いが出ているように思います。

南:そうですね。昔はひとりでライヴメイクをしている感覚があったというか、うちはわりと音源に忠実に、高いクオリティを保ったパフォーマンスをしてくれるメンバーが多いので。えみりが入る前は、自分がその日のアレンジとか、その日の雰囲気をライヴメイクしている感覚が強かったんです。えみりが加入して特にこの半年くらいは、えみりもライヴ中にアレンジをすることが多くなって。お互いに様子を見て、今日はどういうライヴにしていくんやろうって探り合いながら、相乗効果で良くしている感覚がありますね。そこに陽奈子と楓も乗っかってきて。前よりも自由にライヴのパフォーマンスが出てきている気がしていて、すごく面白いです。

-そこがまたPassCodeにとってのフレッシュな空気になったわけですね。南さんは武道館での新たな気づきはありましたか。

南:気づきというよりは、すっきりした感覚が強かったです。武道館までは、自分がやりたいことよりも、納得してもらわないといけないという思いがあったんです。メンバーが脱退したときにグループを続けることを選んだこともそうやし、PassCodeが今の形となって、まだ新しいPassCodeを見たことがない人も多いので、納得してもらわなきゃいけないっていう。どのライヴに来た人にも、満足してもらわなきゃいけない、"このPassCodeがいい"って思ってもらわなきゃいけないという強迫観念のようなものがありました。PassCodeが好きな人でずっと応援してくれていた人がたくさん武道館に来てくれて、目に入る限りのコメントやSNSでのメッセージを読ませてもらったんですけど、すごく良かったとか、今の形でも応援したいと思いましたというメッセージをいただくことが多かったので、それが自分の中で節目になったというか。ここからは自分もちゃんと一緒に楽しめるようにしていこうって、考えが1歩進んだなという日になったので、"楽しい"がすごく増えましたね。

-これまでのインタビューでも感じていたことではありましたが、南さん自身だいぶ背負っていたものがあったんですね。

南:背負うというのもあるんですけど......伝え方を間違えると、全部なくなってしまうという感覚があったんです。グループの中では私が話すことも多いし、私が話したことが、PassCodeが話したことになるという感覚もあったので、間違えちゃいけないなっていうのが強くて。えみりが入ってから半年くらいは特にでしたね。みんなが今のPassCodeを見てくれて、どっちが好きとかは置いておいて、今のPassCodeもいいやんって思ってもらえたなっていう感覚があったので、のびのびと、楽しいなって思うことを優先してできるようになってきたのが大きい1年でした。

-楓さんは武道館公演後に芽生えているものはありますか。

高嶋:それまではライヴの"演出"とかをあまりやらなくて、ライヴハウスで演出を使うにしてもレーザーとかスモークとかだったんですけど。大きな会場で初めてストリングス隊を入れるとかもして。もちろんライヴハウスでのライヴもいいんですけど、たまに大きな会場で演出も込みで、ファンの人がみんなで楽しんでくれるようなライヴができるのもいいなって、武道館公演を経験して思いました。こういう演出もPassCodeでできるんやなっていろいろ試せた日になりましたね。

-はい、もっと大きなところでPassCodeを観たいなっていうのがありました。

南:面白いよな。たまにああいうことをすると。

高嶋:うん、楽しい。

-武道館公演以降のライヴやツアーで、新しいファンの方も来てくれているなという感触はありますか。

南:自分たちの対バン企画イベントの"VERSUS PASSCODE"を今年もやったんですけど、昨年はTHE ORAL CIGARETTESとMY FIRST STORYとやらせてもらって、今年は私立恵比寿中学との対バンだったんです。アイドルとのツーマンは何年ぶり?

大上:6年ぶりかな、楽しかった!

南:あとはこれまで出たことなかったフェスに出させてもらうことが多かったので、初めてPassCodeを観ましたって、好きになってくれてライヴに来てくれる人は増えてきている感覚がありますね。

-私立恵比寿中学とのツーマンは、どうでしたか。

南:"VERSUS PASSCODE"はせっかく自分たちの主催イベントだから、メンバーが喜べることとか嬉しいこともやりたいっていうのがあって。武道館が終わって、さらに面白いことって何かなって思ったときに、あえてやらなさそうなところとできたら面白いし、陽奈子がもともとエビ中(私立恵比寿中学)さんを好きなので、対バンができるのって続けてきて良かったと思う機会でもあるし、そういう機会をこれからもたくさん作れたらいいなと思いますね。

大上:本当に感激でした。自分たちのイベントに出てくれたということも嬉しかったですし、好きなグループとツーマンでできるところまで続けてこれた自分にも、頑張ったなって。褒めてあげようとなりました(笑)。

南:楽しかったよね。