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INTERVIEW

PassCode

2022.12.21UPDATE

PassCode

Member:南 菜生 高嶋 楓 大上 陽奈子 有馬 えみり

Interviewer:吉羽 さおり

4曲とも"歌"のイメージが強い――新たな体制としていろんな変化を見てもらえる作品になった


-といういいライヴが続いたなかで、最新EP『REVERBERATE ep.』が完成しました。"REVERBERATE"には、こだまする、反響するという意味合いがありますが、「SIREN」はまさに響きわたる力強さがあって。ここからまたガンガン突き進んでいくPassCodeの今を感じました。

南:武道館が終わって最初のツアーが日比谷野外音楽堂と大阪城音楽堂だったので、「SIREN」を作るときに、次に新曲を作るなら野音に間に合うように、野外でやったときに開放感のある曲を作ってほしいとお願いをして作ってもらったんです。できてから時間が経ってすでにライヴでも披露している曲なので、まだリリースされていないというのが不思議な感じもあるんですけど(笑)。

大上:そういうのは初めてだよね。

南:ファンの人もライヴでは聴いてるけど、まだ音源では聴けてないから、覚えてない人が多いと思うので。

-レコーディングはいつ頃やっていたんですか。

高嶋:「SIREN」は結構早かったのかな。

南:3月とか4月とかかな、春でしたね。

-本当に武道館公演を終えてすぐだったんですね。

南:すぐにいろいろ動き始めて。エイプリルフールの企画とかもあったので、止まることなく制作はずっとしている感じでしたね。

-制作のイメージ、こういう曲が欲しいというのはいろいろあったんですか。

南:普段はあまり私たちから"こういう曲で"というのはなくて。たまにサウンド・プロデューサーの平地(孝次)さんに聞かれたときに、"今、ライヴでこういうところが足りてないから、こんな曲が欲しいです"とかは話すことはあるんですけど、だいたいは作曲の平地さんの意向に沿った感じでやっています。今回のEPは「SIREN」を最初に作ったこともあって、響かせるとか、4曲とも"歌"のイメージが強い楽曲になっていますね。えみりが加入してから(新作音源は)2作目で、前回の『Freely / FLAVOR OF BLUE』(2021年リリースのシングル)ではえみりはシャウト・パートだけだったんですけど、今回は初めてえみりの歌声が収録されているんです。今こんな曲をリリースすることで、いろんなPassCodeを知ってもらえる、新たなPassCodeの体制として、いろんな変化を見てもらえるんじゃないかというのはありました。

有馬:歌パートはちょっと緊張しますね(笑)。それまではシャウトで発散していたものを抑えてやらないといけないので、手とか震えたりします。

大上:へぇぇ(笑)。

高嶋:そうなの?

南:知らんかったな。

大上:やっぱりアルバムだとTHE PassCodeって曲が多いし、ライヴでもそういう曲が多いですけど、こんな気持ち良く歌える感じの曲がライヴに入ってくれるのは嬉しいですね。バチバチにかっこつけすぎなくてもいい曲なので、セットリストの間に入ってくれると1回素になれるというか。開放って感じがありますね。

-有馬さんは、歌パートは緊張したということですが、シャウト・パートのレコーディングはどうでした?

有馬:PassCodeでは、シャウトは3本同じものを録って重ねているんですけど、昨年のレコーディングではシャウト自体にはあまり困ることはなかったんです。ただ、1回やったやつを忘れちゃうんですよね。だから、同じことをもうできないみたいなことになって、いちいちプレイバックをして、"こんな感じで叫んでたんや"って同じものをまた2回録るというので、3本録っていたんですけど、慣れてきたのか同じことが3回連続でできて。めちゃくちゃレコーディングが巻くようになりました。今年はいい感じです。

南:今回みんなめっちゃ歌録りが早かったもんな。

-「SIREN」は、力強さがある一方で、包容力も芽生えている曲だなとも思います。今回のEPは、まだ現時点(※取材は11月下旬)では完成版を聴けていないんですが、他に3曲収録となります。それぞれどんな感じですか。

南:「Clouds Across The Moon」は、気に入ってます。

大上:イチオシ曲だよね。

南:私は好きですね。イントロとかはジャンプできそうじゃないですか。でもメロディがサビで乗ってくる感じとかが気に入ってますね。

-「NOTHING SEEKER」などはだいぶハイパーな感じの曲ですよね?

南:あの曲、どこで息継ぎしてるの?

大上:ないねん......。

高嶋:そうやんな。

大上:だから、ライヴ中死んじゃうかもしれない(笑)。

-「Live your truth」もそんな感じがしますけど。

南:そうですね。でもいつもは血管がちぎれそうなくらいキーが高い曲が多いんですけど、意外と今回はキーがいつもよりも低いんです。ただキーが低ければ低いで、平地さんが求めるアタックの強さが出にくくて結構苦戦しましたね。サビの勢いがいつもより足りへんみたいな感じのことを言われて。4曲ともいつもよりキーが低いから、いつもとは違う意味でレコーディングで苦戦してました。

-なぜ今回は低めのキーになったんですか。

南:平地さんがハマってるのかな(笑)?

大上:"たまにはこういうのもええかな"って言ってました(笑)。

南:平地さんはわりとその時々でやりたいことがあって、そのブームを飽きるまでやるタイプの人なので、今はサビでそんなにガンガン上げていくわけじゃない曲にハマっているんだと思います。

-今、取材の資料用としてデモをいただいているんですけど、たしかにキーが低くて。毎回デモはこんな感じで、実際はそこからキーを上げてレコーディングをしているのかなって思ってました。

高嶋:そうだったんですね(笑)。今回はこのキーなんです。

南:デモを貰って、メンバーの声でレコーディングしたものを聴き直すと、ちゃんとPassCodeの曲に毎回仕上がっているなという感じがするので。メンバーの声が乗ると一気にPassCodeになるんですよね。

高嶋:最初はデモのトーンに結構引っ張られるから、真似して歌ってる感じになっちゃったりして。そこは難しいところではありますね。今回1番のサビを歌わせてもらっていて、キーが低いとどうしても暗い感じになっちゃうんですけど、平地さん的には明るく、でもキーは低く、強く歌ってというのがあって。それを表現するのが難しかったですね。平地さんに、『VIRTUAL』(2016年リリースの2ndアルバム)の「AXIS」みたいな感じの今版がいいって言われて。"「AXIS」か。難しいなー"って思いながら歌ってました(笑)。

-曲を作る平地さんとしても、"今のPassCodeだったら、もっとこんなことができるだろう"っていうのも込みで作っているんでしょうね。

南:平地さんはこだわりが強いんですよね。レコーディングとかもそうで、勢いを出したいから濁音っぽく発音したりがなって歌ったりすると、"がなるのは違う、でも勢いは欲しい"って感じで。じゃあどうすればいいんだ~って(笑)。というのをずっとレコーディングではやっている感じです。

-レコーディングは、その時々でいろんなことを試す場にもなっているんですかね。

南:そうですね。「NOTHING SEEKER」のサビの最後に、"無抵抗なんて...やっぱくだんない"っていうところがあるんです。まだレコーディングしたばかりで完成形がどうなるかわからないんですけど、メンバーのパートが決まっていなくて。普段はそれぞれのパートが決まっていて、自分のパートしか録らないんですけど、その部分は録ってみて決めようっていうことで全員が歌っているんです。私は陽奈子とか楓のやつを聴いてから録ったんですけど。楓とかは結構ふざけてて──

高嶋:あのときは平地さんもふざけてましたね、ずっと爆笑しながら録ってた。

南:メンバーそれぞれのキャラクターを生かしたいっていうことで。今の段階ではどれが選ばれるかわからないですけど、楓のやつになってたらめっちゃおもろい。

高嶋:どっちかに転ぶなと思ってて。面白いスパイスになるか、あれ? ってなっちゃうか(笑)。

南:どうなってるのかが、私たちも楽しみです(笑)。あと、最近ファンクラブのツアー"Linkage Tour"を回っているときに、昔平地さんと事務所の社長が組んでいたバンド(Daylight Season)にゲストとして出てもらったんです。そこでPassCodeの「ONE STEP BEYOND」(2017年リリースのメジャー1stアルバム『ZENITH』収録曲)をカバーしてくれたんですけど、間奏のところでオートチューンで遊ぶみたいなパートがあったんですよね。"なんか、自分のアレンジだけ気合入ってません?"ってブーブー言ったら、曲に使ってくれて(笑)、楓ちゃんがやることになったとか。そういう面白み、PassCodeにとってフックになるところとかって、楓ちゃんが任されるんですよね。それぞれのキャラクターを大事にしてくれている感じがします。2曲目も、オチサビっぽいところでの"溺れそうな手をいつも救い上げたのは君"というフレーズは、私が歌うパートじゃなかったら歌詞を変えようと思ってたとか、そういうのがあるみたいで。細かく、この人ってこんなイメージだよねというのが、平地さんと歌詞を書いてくれている方との間にあって、今までのイメージを守りつつも、新しいことに毎回挑戦していってますね。

-PassCodeの新境地、楽しみにしています。このEPがリリースとなると、もう早いものですぐに2023年になりますね。2022年は1年のスピードが相当速かっただろうなと想像しますが、来年もまたいろんなプランを考えているっていう感じですか。

南:来年はスケジュールがギチギチです(笑)。今年の後半はファンクラブのツアーを回っていて、ライヴが月に2本ずつとかしかないので、ライヴがないと退屈なんですよ。制作とかがあっても、ライヴをしていかないと暇だなってなっちゃうタイプの人間が集まっているので、来年はライヴを多めに組みたいし、それ以外にもファンの人に楽しんでもらえるイベントとかも組めたらいいなと思ってスケジュールを投げたら、パンパンになって戻ってきました。

高嶋:ほんと詰まってるよね。

南:なので、身を粉にして働きます(笑)。