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INTERVIEW

Fear, and Loathing in Las Vegas

2022.11.10UPDATE

2022年11月号掲載

Fear, and Loathing in Las Vegas

強力なニュー・アルバム『Cocoon for the Golden Future』を引っ提げ、11月17日から ["Cocoon for the Golden Future" Release Tour 2022-2023]を行うFear, and Loathing in Las Vegas。3連続インタビューのラストとなる今回は、そんな彼らのライヴについてじっくり話を訊いた。9月に完遂したばかりの全楽曲を演奏するツアー"FaLiLV Shuffle Tour 2022"で得たものは確かにあったようで、リリース・ツアーもその経験を生かしたものになりそうだ。そして、そのファイナルを来年3月10日、神戸ワールド記念ホールにて迎えたあとは、同会場にて主催フェス"MEGA VEGAS 2023"も2デイズ開催! そこへ込めた想いについても語ってくれた!

メンバー:Minami(Vo/Key)
マネージャー
インタビュアー:村岡 俊介(DJ ムラオカ)

-最後の第3弾インタビューでは["Cocoon for the Golden Future" Release Tour 2022-2023]に関して訊いていこうと思うんですが、その前に、現時点(※取材は9月下旬)で"Shuffle Tour(FaLiLV Shuffle Tour 2022)"が、残すところ9月30日のKT Zepp Yokohama公演のみとなりました。全公演のセットリストを変え、ツアーを通してすべての楽曲を演奏するというツアーはどうやって生まれたのでしょうか?

マネージャー:コロナ禍によって、これまでみたいにお客さんがモッシュしたり声出したり楽しめる要素が減っているなかで、全公演セットリストを変えて、しかも予想がつかないようなセットリストでライヴをやることで、少しでもお客さんに楽しんでもらえたらな、という目的が大きいですね。セットリストは俺が考えていて、例えば練習が大変だろうからバリエーションを減らしてあげよう、とか、そういった配慮を一切せずに全公演のセットリストをバラバラに組んだので、メンバーは相当大変だったと思いますけど、各々が一生懸命準備してツアーに臨んだことで、お客さんもちゃんと楽しめたのではないか、と。

-そのアイディアを実際に実現するとなると、やはり演者側としてはかなり大変ですよね?

Minami:そうですね(笑)。あまり覚えていない曲とかもあったりするので。全部思い出して練習して......というのを、アルバム制作をしながらやっていたので、たしかに大変でした。でも、2月から始まって9月に終わるという長いツアーではあったんですけど、間も空いていたりしていたのでその間に練習はできました。Tetsuya(Ba)は、やったことのない曲も結構あったので特に大変だったかもしれないですが......。逆に、このツアーをやったことで全曲できるようになったので、それは良かったのかなと。

-そういうプラスな面もあったんですね。

マネージャー:こちら側でできることは、できるだけ早くセットリストを決めて、メンバーが余裕を持って準備できるように進めるということでしたね。あとは、さっきMinamiも言っていたように結構長いツアーだったので、コロナの感染者が増えそうな時期とかも考慮して、感染者の数が谷間に来るころにライヴを入れるようにして、逆に増えそうな時期は休んで......というシミュレーションをしてスケジュールを組んだんですよ。結果的には、少しだけズレたんですが、だいたい感染者数が下り坂なときにライヴができて。そういうライヴ・スケジュールの組み方をしていたので準備期間にも余裕ができた、ということですね。あと、アルバム制作に関してはMinami以外のメンバーの作業はほとんどないので、時間はあったと思うんですよ。だから逆に、練習ができていい機会になったんじゃないかと。

-ミッションを課した感じですね。

Minami:Tomonoriさんは、もともとドラムを触っての練習はあんまりしない感じだったんですけど、最近はめちゃくちゃ練習してて。しょっちゅうスタジオに行ってドラムを叩いていますね。

マネージャー:この間も、ライヴが終わったあとなのに楽屋でスネアを叩いてて。Tomonoriすごいなって思いましたね(笑)。ライヴ終わってすぐですよ? 終わってすぐに自分のフォームを確かめてて、これはすごいなと思いましたね。最近、というかTomonoriはこの1年くらいずっとすごいです。もうほんとに、ドラム仙人みたいになっちゃって(笑)。

-すごいですね。

マネージャー:ライヴのあと"今日ライヴどうだった?"とかっていう話はするんですけど、それが一段落したらおもむろにスネアを準備して叩き出すんですよ。

-ストイックになった背景はなんなんでしょう?

マネージャー:ツアーを始める前に、Tomonoriとよく話していたんですけど、彼の中でのドラマーとしてのテーマみたいなものがあって。今それを突き詰めている感じですね。もともとうまかったんですけど、このツアーの間にも相当うまくなっています。最近だと、ドラムのフォームとか姿勢にもメスを入れていて、さっきのライヴ直後の話もそうなんですけど、もう思ったらすぐ確認っていう感じで。ラスベガス(Fear, and Loathing in Las Vegas)は、神戸のスタジオを借りっぱなしにしていて、夜中でもかまわず練習できるようにしているんですけど、そこはTomonoriが一番使ってますね。そのために、家もスタジオの近所に引っ越しをしたみたいで。

Minami:ダイエットしたときもそうなんですけど、もともとスイッチが入るとめっちゃやる人で。やると決めたらめっちゃやりますね。今はもう、"いつでも練習したい!"みたいな感じです。

マネージャー:早く神戸帰りたい、みたいな(笑)。

Minami:次はいつ入ろうかな、とか(笑)。そういうのは、近くで見ていていい刺激になっています。自分もそのくらいやらないとなって。

-バンドを始めて間もない頃でもなく、結構な年月を経て未だそこまでストイックになれるのはすごいです。バンドも長く続けていると、曲も増えていってなかなかセットリストに入らない曲もあります。

Minami:そうですね。結構忘れてしまってる曲もあって。でも自分がほかのバンドのライヴを観に行ったときに、ライヴで普段やらない、あまりマークしていなかった曲を聴いて、それをきっかけに好きになったりした経験があるので、今回のライヴもそうであったらいいなと思います。ライヴで普段聴かない珍しい曲を聴いたことでまた聴いてみたくなるとか、"Shuffle Tour"はそういうのを目指しています。

-そうですよね。最近ラスベガスのライヴに行き始めたお客さんでも、"Shuffle Tour"で最近あまりやらない以前の曲を体感したのがきっかけで、過去作に注目するようになるとか。また新しい魅力を感じてもらえたら嬉しいですよね。

Minami:自分たちが普段ライヴでやり慣れてる、身体に染みついている曲と、久しぶりに弾く曲だと、やっぱり演奏に必要な集中力が違うんですよ。そのあたりは難しいですね。

-久々の曲は、やっぱり緊張感出ますよね。

Minami:練習が足りないとか、そういう不安があるとライヴに出てしまうので、"絶対大丈夫"と思えるくらいに準備して臨まないとダメですね。それでも、やり慣れてる曲と比べると余裕はないんですが......。

-でも、それが新鮮な気持ちでできるってことなのかもしれないですね。

Minami:そうですね。

-ちなみに、"Shuffle Tour"で様々なセットリストでやってみて気づいたことはありましたか?

Minami:バンド全体で話していたのは、コロナ禍で様々な制限があるので、お客さんたちが落ち着いて観れてしまうっていうことがあって。じっくり聴かれると、演奏がしっかりしていないと説得力がなくなってしまうので、そこはもっと意識していこうっていう話になったんです。当然のことではあるんですが。久しぶりの曲をやると、パフォーマンスや空気を盛り上げるということよりも、演奏に集中しすぎちゃってちょっとテンションが低く見えてしまうところもあって、それだとお客さんがついていきづらくなってしまう。なので、演奏がしっかりしているうえで、ちゃんとテンションを上げていくことも最低限やっていかなきゃいけないなと思ったんです。それがきちんとできると、やっぱり手応えもあるので。ほかのメンバーを見ても、テンションが上がっている様子が見えると、お互いに"いいライヴしてるな"と感じたんです。演奏も大事だし、それがちゃんとできたうえでテンションを上げてパフォーマンスする、ということがラスベガスの強みになっているんじゃないかな、と。

-そうですよね。コロナ禍でどうしてもお客さんがステージをじっくり観る機会が多くなりますから。以前だったら、いいか悪いかは別としてステージを全然観てないお客さんとかも普通にいましたもんね(笑)。

Minami:そうですね。じっくり観てもらえるようになってからも、"あいつヤバいな"ってくらいのパフォーマンスで盛り上げていきたいですね。それには年齢的な面も関係するのですが、もっと体力つけなきゃな、とも思っています。ずっと盛り上げていたいんですけど、長いライヴだと"そろそろセーブしないとヤバい"と思うことがあるので、体力のキャパをもっと増やしたいな、と。

-なるほど。そして、そんな"Shuffle Tour"が終わると2ヶ月も空けず、11月17日NIIGATA LOTSを皮切りに、["Cocoon for the Golden Future" Release Tour 2022-2023]が始まります。どういったツアーにしていきたいですか。

Minami:こちらはリリース・ツアーということで、新しいアルバムの曲を中心としたツアーになると思うので、アルバムを聴いて来て、さらにライヴで聴くことでアルバムの良さを発見してもらう、というツアーになればいいなと思っています。もちろんこのツアーもアルバム曲だけでなく、ほかの楽曲もシャッフルで何曲が入れられると思うので、そのあたりは今回"Shuffle Tour"でやったことが生きてくるかな、と思います。ほかにどういう曲をやるのかというのも楽しみにしていてほしいですね。

-ニュー・アルバムからは全曲やってほしいですね。

マネージャー:「Interlude」以外は全部やる予定です。プラス、過去曲から6、7曲くらい入れようかな、と。

-曲順はいかがですか?

マネージャー:アルバムツアーはだいたいいつもそうなんですが、ライヴをやりながら調整していくことになりますね。なんとなく、この曲はこのあたりというイメージはあるんですが。あとは流れを見てっていう感じですね。

-ライヴはワンマンですか? ゲストを迎えるかたちですか?

マネージャー:すべてワンマンです。

-3月10日のツアー・ファイナルですが、神戸ワールド記念ホールでの開催ですね。バンドとして初のワンマンが2014年3月23日の神戸ワールド記念ホールでしたので、ツアー・ファイナルをまた同じ場所で、さらに約9年ぶりに行えることってかなり感慨深いんじゃないですか?

Minami:初ワンマンと同じ場所でワンマン、ということもそうですし、今も神戸に住んでいて"神戸のバンド"と謳っていて、特にワールド(記念ホール)は思い入れのある場所なので、その意味でも感慨深いものがありますね。

マネージャー:初めてワンマンをやったときは、メンバーみんなうるうるしていたんですけど、そういうことも思い出しますね。まだチケット発売もこれからなんですけど、初めてワンマンをやった大きな会場で、9年経ってまた同じ場所でできるっていうのは、バンドとしては嬉しいんじゃないかな、と思います。

Minami:あのときは、"こんなデカいとこでワンマンできるんだ"という感動があったし、本番はめちゃくちゃ緊張しててガチガチだったので、全然覚えていないんですけど(笑)。準備してた期間とか、"初ワンマンだから気合入れていこう!"ってメンバーと一緒にランニングしたこととか、そういうことも思い出しますね。

-メンバーとのチームワークが素晴らしいですね。

マネージャー:一時期からあまりやらなくなったんですけど、当初はそういう部活っぽいノリがあったんですよね。しんどい時期ではあったんですけど、そのなかで、みんなでやってる楽しさみたいなのが明確にあって。そういうことも思い出しますね。

Minami:みんなでランニングしたりして本番を迎えたという思い出も、あれはあれで良かったなって。それを思うと、チームとしてみんなで準備するっていうのも重要だなと感じます。

-大舞台に立つ前の準備段階も思い出ですしすごく大事な経験ですよね。

Minami:前日に会場にセッティングに行けたんですけど、リハーサルするわけでもなくセッティングを見るためにみんなで行って、"めっちゃ広い!"とか、プロジェクション・マッピングのセットが組まれてて、それに圧倒されてさらに緊張する、みたいなそんな感じでしたね。

-当時ゲストを迎えてのライヴはSTUDIO COASTあたりでもありましたけど、それもキャパ3,000人くらいなので、規模感としてはいきなり大きくなった感じでしたよね。

マネージャー:そうですね。神戸ワールド記念ホールは8,000人くらいですね。

-なかなかワンマンをいきなりホールでやるってないですよね。さっきもプロジェクション・マッピングの話が出てきましたけど、当時ロック・シーンで、あそこまで大規模なプロジェクション・マッピングやザイロバンドを用いての煌びやかでダイナミックな演出は、かなり珍しかったと思います。

マネージャー:初ワンマンだったので、ちょっと頑張りすぎたというのはありますけどね(笑)。

-すごくインパクトがあったので、記憶に残ってます。

マネージャー:ビジネス的には、もっとドライにやったほうがいいのかなと思ったんですけど、結果的にいいものできたと思っていますね。

-マネージャーさんはいつもPA側から見てるんですか?

マネージャー:はい。ライヴはいつもPA卓にいて、何かあればステージのスタッフに指示を出したりしています。例えば、Tomonoriのスネアのピッチが下がってるとか、そういうこともチェックしていますね。最近はスタッフが増えたので、ライヴ中にやりとりする機会もあまりなくなったんですけど基本的にはPA席で見ている感じです。

-僕は2階関係者席から観ていたんですが会場の全容が見えるので壮観でした。今回の神戸ワールド記念ホールも、満を持しての9年ぶりということで期待できますね(笑)。当たり前ですけど、楽曲も増えてっていうのもあり、楽しみです。

Minami:そうですね。