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INTERVIEW

Fear, and Loathing in Las Vegas

2021.08.18UPDATE

2021年08月号掲載

Fear, and Loathing in Las Vegas

激ロック史上初&世界初、Fear, and Loathing in Las VegasのMinamiへの単独インタビューの前編は、コロナ禍におけるバンドの活動や、連続リリース中のライヴ映像作品に迫った。インタビュー後編にあたる今回は、アルバム『HYPERTOUGHNESS』以降にリリースされたデジタル・シングル3曲を中心に話を訊いている。そのデジタル・シングルは、スマートフォン向け大規模対戦ゲーム"A.I.M.$ -All you need Is Money-"のキャラクター・ソング「Shape of Trust」、"新・ミナミの帝王〜銀次郎の愛した味を守れ!〜"主題歌「Evolve Forward in Hazard」、"カンテレ プロ野球中継2021"テーマ・ソング「One Shot, One Mind」と、3曲すべてがタイアップ曲に。ラスベガス(Fear, and Loathing in Las Vegas)は、それぞれのお題に対していかに向き合い作品へ昇華させたのか。前編に引き続き、プロデューサー的な立ち位置でバンドを導いているマネージャーに同席してもらい、作品のより深いところまで話を訊いた。

Minami(Vo/Key)
マネージャー
インタビュアー:村岡 俊介(DJ ムラオカ)


ゲーム、ドラマ、スポーツ中継と異なるテーマをベガス・サウンドで彩る最新曲たちに迫る!


-2019年12月リリースの『HYPERTOUGHNESS』以降に配信リリースされた3曲の制作はコロナ以降ですか?

マネージャー:全部そうです。

-わかりました。以前おっしゃっていましたが、プロデューサー的な立ち位置も担っているマネージャーさんが作品のテーマを決めて、オーダーを受けたメンバーがアイディアをつけ加えて、それを再びマネージャーさんが肉づけしていくというプロセスでした。これはコロナ以降に配信リリースされた3曲においても変わることはありませんでしたか?

Minami:変わっていないです。曲のネタを事前に何個か作り、マネージャーさんに聴いてもらって、そこから使えそうなフレーズをピックアップしてもらってふたりでブラッシュアップしていくような感じですね。ふたりでリモートでやりとりをしながら作業を続けています。

-コロナ前もリモートだったんですか?

マネージャー:しばらくそうですね。昔は俺が神戸に行っていたんですけど、だんだん神戸に行かずにオンラインでやるようになっていきました。時間的な制約もあってオンラインで済ませることが増えてきていますが、実際に顔を突き合わせて、具体的に考えたほうがいいときもあるので、行けるときは行っています。でもここ数年はもうほとんどオンラインですね。

-以前はツアーやフェスの合間を縫って作っていたこともあったのでしょうか?

マネージャー:やっぱりツアー中は難しいですね。

-制作期間は別に設けていたのですね。

マネージャー:それが基本ですが、さっきMinamiが話したMinamiの作業というのを我々の間では"宿題"と呼んでいて、ツアー中などで集まって作業ができないときはMinamiがコツコツと"宿題"をやっていることはあります。それで後日会ったときに"宿題"を確認して、使えそうなデータをピックアップして、細かくフレーズを変えていったり、構成を組み立てたりしていきます。構成は基本的に全部俺が作っていて、"ここでこの楽曲は完成"という線引きもこちらで指揮を執っています。そのうえで"こういうイメージのネタを作ってきてほしい"とMinamiに"宿題"を出して、Minamiが"宿題"をやってきて、またそこからピックアップして加工していくときもあれば、"これちょっと厳しいな"みたいなときもあって、その繰り返しです。お互い集まって作業するときは1個のネタに対して30~40テイクをひたすら録り直して作っています。

-コロナ禍で時間的制約がだいぶなくなり、曲作りに没頭できたと思いますが、Minami君から提出されてくるものに変化はありましたか?

マネージャー:そうですね。まずはコロナ禍以前の話になりますが、メンバーの脱退でネタを作る人間がひとり減ったというのは大きな違いとして感じています。そのぶんMinamiの作業量もすごく増えたのですが今はコロナ禍でバンド全体の活動がほとんどなく制作にさける時間はたくさんあるので、そういう意味では内容にも変化は出てきているとは思います。

Minami:『HYPERTOUGHNESS』からは、Sxun(Gt)さんがやめたのもあって、以前はあまり担当していなかったパートのネタも考えるようになりました。そういう新しい挑戦もあって、負担は増えたのかもしれませんが、時間もあるので、そんなに"キツいな"と感じるほどではないです。

-今話にも出ましたが、前作はSxun君がいなくなって初めての作品でしたので、勝手が違う部分もあったかと思います。リリースを経験したことで視野もより広がって、さらにコロナ禍で制作時間もたっぷり取れるようになったので、楽曲制作のレベルも上がったのではないかと推測しますが、そういった実感はありますか?

Minami:そうですね、時間をかけているぶん良くなっている部分はあると思いますが、"宿題"をやったときにあまりいいものができていなかったりするとマネージャーさんから戻されることもあるし、結局曲になるまでに何個作ったかわからないぐらい作っているので、難しいなと思うことも多いです。あとは今ほかのアーティストのライヴを観に行けないので、刺激を受けることが難しくなっているなと感じています。

-時間的な余裕はありますが、インプットがないんですね。

Minami:そうですね。人のライヴを観たときにパッとモチベーションが上がって、一気に作れるということもあるので......。仕方ないですが難しい時期だなと思います。

-おそらく全国のアーティストみんな同じことを思ってそうですね。海外のアーティストもコロナ以降まったく来日していませんし。

Minami:でもすべて自分ひとりでやっているアーティストさんと比べると、俺はマネージャーさんから"こういう感じのネタを作って"という指示や、参考にできるものやアイディアを結構出してもらっているので、自分の役割がはっきりしていて、そこに集中できています。

-マネージャーさんも環境は同じですよね。

マネージャー:音楽的な環境もそうなんですけど、生活自体もだいぶ変わったじゃないですか。外に出られなかったり、人と話せなかったり。そうするとだんだん思考が偏ってきてしまう気がしていて、自分としてはなるべくいろんなことを考える時間をたくさん持つようにしています。というか、それぐらいしかできないので、スクワットや筋トレをしているときなどの合間に積極的に考えるようにしています。

-環境が変わってきているので、意識せずとも今までと異なったテイストの曲ができる可能性はありますか。

マネージャー:今まだ制作途中なのですが、ギターを弾かないとか、振り切ったチャレンジをしている曲はストックしてあります。こういうタイミングだからこそ、ありなのかなとも。

-振り切ったチャレンジの楽曲、完成楽しみにしています。先ほど、あまりいいものができていなかったりすると、マネージャーさんから戻されるという話がありました。『HYPERTOUGHNESS』と今を比べると、その点いかがですか?

Minami:どうですかね?

マネージャー:やり直す回数は増えていると思います。それは、もう1段階さらに上のものを求めるために、"もうちょっと考えよう"という意図でそうしています。最近は時間があるぶん、よりいいものを作るためにダメ出しというか、やり直しを求めることは多くなっていると思います。

Minami:たしかに時間があるから、というのはあるかもしれないですね。

マネージャー:今までは時間がないなかでの制作なので、ある程度作っておいて、レコーディング中に現場で直していこう、みたいなことも多かったです。今はそういう意味では作り込める時間がありますからね。

-合格基準がそもそも上がったということですね?

Minami:そうかもしれないです。

-『HYPERTOUGHNESS』以降、最初にリリースしたのが、昨年12月の配信シングル「Shape of Trust」ですね。スマートフォン向け大規模対戦ゲーム"A.I.M.$ -All you need Is Money-"のキャラクターの"Mr.ジャッジメント"のために書き下ろされた曲ということですが、制作を行うことになった過程を教えてください。

マネージャー:コロナ禍以降、ずっと制作を進めていて、ある程度曲のストックも溜まってきた夏前ぐらいに、"こういう企画があるんですけどどうですか?"と、いわゆる指名をいただいたところから始まりました。"対戦型のゲームなので、遊んでいてテンションが上がるような疾走感のある曲を求められていて、こういうキャラクターのテーマ・ソングです"と向こうから提示された"Mr.ジャッジメント"というキャラクターがTaiki(Gt)にしか見えなくて。

-やっぱりそうですよね、僕もそう思いました(笑)。

マネージャー:疾走感があって、ゴリゴリのキャラクターで、Taikiに似ているからTaikiの声も使う楽曲にしようという安直なところから進めていきました。

-最初からキャラクターありきだったのですね。こういうゲームとのタイアップは制約が少なそうですし、あとやはりラスベガスとの相性が抜群にいいなと思いました。

Minami:そうですね。もともとゲームっぽい音色もよく使っていますし、疾走感があるとか、テンションが高いというところは今までもネタ作り全般で意識していることだったので、そういう意味ではやりやすかったです。

-それは聴いててすごく感じました。ちなみに"Mr.ジャッジメント"を使ってゲームをやってみましたか?

Minami:やってみました。予想通りのパワー系で、パワーでゴリゴリ押す感じで爽快でした。

-Taiki君もやられましたかね?

Minami:やってました。