INTERVIEW
Fear, and Loathing in Las Vegas
2021.08.18UPDATE
2021年08月号掲載
Minami(Vo/Key)
マネージャー
インタビュアー:村岡 俊介(DJ ムラオカ)
-(笑)ほかにもMAN WITH A MISSIONやROTTENGRAFFTY、ポルカドットスティングレイなど一線級のアーティストが参加してますが、音楽担当の方がロック好きなんでしょうか。
マネージャー:蔦谷好位置さんが監修で入っているので音楽に力が入っているようでした。蔦谷さんが所属されているagehaspringsの方がラスベガスを高く評価してくれていて、「LLLD」(2017年リリースの5thフル・アルバム『New Sunrise』収録曲)を出したときにもTwitterで呟いてたりしていたので、そういうところからこのお話に繋がったのかなと勝手に思っています。
Minami:いろんなアーティストさんが幅広く出ていて、キャラクターごとに全然違いますよね。
-全曲書き下ろしみたいで、すごいですよね。
Minami:ゲームでこれはなかなか珍しいので、面白いなと思いました。
-2曲目は3月に配信開始された、関西テレビのドラマ"新・ミナミの帝王〜銀次郎の愛した味を守れ!〜"の主題歌という、今度はMinami君がテーマの(笑)主題歌ですが、こちらはどういった流れでタイアップが決まったんですか?
マネージャー:向こうが主題歌を探しているという情報があったので、番組にアプローチしたのがきっかけです。そうしたら、昔仕事でご一緒させていただいたカンテレのプロデューサーが、ものすごいプッシュしてくれて決まりました。曲に関しては歌詞の部分で日本語/英語の縛りがあるかと思っていたら意外となかったのですが、ドラマの内容的にエッジの利いた楽曲で、"money"という単語は入れてほしい、という要望があったので、Bメロの頭に入っています。それ以外は"なんとなくドラマに寄り添ってもらえれば大丈夫"というふわっとしたオーダーだったので、ドラマの中の最後のセリフをテーマに広げていきました。ただこのドラマはゴールデンタイムでの放送だったので、"シャウトをメインにするのだけは勘弁してください"と言われていました。なので最初はシャウトを入れずに作っていたのですが、"これぐらいならどうですか?"と2ヶ所ほどMinamiが出てくるものを用意してプレゼンしたところ、OKを出してもらえました。オーダーとして疾走系で、"シャウトはちょっと......"という前提があったのと、ラスベガスが直前にリリースした「Shape of Trust」がわりとシャウト・メインな楽曲だったので、出されたお題とこちらの状況の両方を意識して方向性を決めました。
-それをもとにMinami君がネタを作っていく感じですか?
Minami:はい。シャウトがあまりできないので、ギター・リフでゴリゴリのコア感を出していこうということで、リフ・パートの原案を考えることからスタートしました。
-テレビで流れる尺の2分以降の展開も秀逸ですね。いい意味で裏切られるというか......。ドラマでしか聴いていない人は驚くかと思います。アニメのタイアップなどで過去にも同じようなパターンがありましたが、地上波で放送される尺以降にもうひとつフックを用意するのは、ラスベガスの専売特許になってますね。
Minami:そうですね。ドラマではオンエア時に2分の尺が使われるということだったので、その2分間は勢いを落とさずというか、疾走感を維持して、ドラマ尺の最後がピアノで終わるような感じになっています。そのあとはマネージャーさんのアイディアでそのままピアノの静かなパートに入るのですが、前半とは全然雰囲気が違っていて、そこが面白いところだと思います。
マネージャー:補足すると、ドラマ・サイドからはもともとオンエア箇所は1分半と言われていたので、1サビまでで1分半ちょっとで終わるようにしたんですよ。それでオーダー通りのデモを渡したら、ドラマ側から"もうちょっと使いたいので2分にしてください"と言われて。対応するためになんとかそのあとに間奏をつけて、それでも実はちょっと足りなかったんですけど、最後にピアノを足してギリギリ2分になりました。でも結果として楽曲的には2分の曲として完結する雰囲気になっちゃって。捻りに捻った結果、テレビ・サイズの最後のピアノをクッションにしてテンポ・チェンジするようにしました。それと、静かにしたのにはもうひとつ理由があって。去年の夏ぐらいに、すごいセンセーショナルな内容の舐達麻のインタビューを読んでから彼らの曲を聴く時期があって若干影響を受けているんです。ちなみに試してみてもらったうえで即没にしたのですが、このピアノの間奏部分にMinamiの舐達麻風ラップがありました(笑)。
-テレビ尺の2分だけですと、ベガス・ファンにはもしかすると少しもの足りない感じがするかもですが、それ以降のテンポ・チェンジやアップダウンの激しい展開があることで、最初の2分も生きてきます。フルで聴いたベガス・ファンも満足しますし、タイアップの依頼にも忠実なので、双方の満足度も高められています。
マネージャー:タイアップ曲は特に、飽きないようにというか、オンエア中もそれ以降も、何回聴いても楽しめるように意識しています。
-普通のラウド・バンドだったら諦めてバラードにしたり、タイアップに気を使いすぎたりして面白みのない楽曲にしてしまうところだと思うのですが、そこを逆手に取るというのは逆転の発想ですね。
Minami:そこはもう感覚的に普通になってきているというか、前半の繰り返しを後半もやることがなくなってきています。
マネージャー:曲によりますが、ラスベガスの中では繰り返しがないのがもうわりとスタンダードみたいな感じになっているので、そういう意味だとタイアップでいろんなオーダーがあっても全然なんとでもなるかなという変な自信はありますね。
-それは強みですね。ちなみに、"大阪ミナミの高利貸しの銀次郎がヤクザ金融に真っ向から立ち向かう!"という結構ディープなドラマですが、漫画や映画を通ってきているメンバーはいますか?
Minami:関西だとコンビニや飲食店など、いろいろなところに漫画が置いてあるイメージがあって、俺もどこで読んだか覚えてませんが読んだことはありますし、たぶんメンバーも漫画は読んだことがあると思います。
-メンバーさん全員がドラマ出演も果たしました。これは初めてのことですよね?
Minami:初めてです。
-出演するにあたっての経緯を教えてください。
マネージャー:こっちでいろいろプレゼンしたり、シャウトのさじ加減を相談していたりした話の流れで、先ほど出てきた先方のプロデューサーに"ラスベガスさん、せっかくだから出てみませんか?"と言われて。今までの判断基準だったら断るか、出すとしてSo(Clean Vo)ぐらいかなと思っていたのですが、丸1年間バンドの活動がほぼない状態で、お客さんに対してバンドの供給がなさすぎる時期だったので、何か少しでも楽しませたいということで、全員出演でお願いします、と返事をして決まりました。
-それを聞いていかがでしたか?
Minami:"俺も出るん!?"みたいな(笑)。びっくりしましたが、もちろんみんな初めての経験で、撮影現場やほかのシーンの撮影も少し見させていただけて、すごく貴重な体験になりました。
マネージャー:当然最初に台本を貰っていて、Soはひと言セリフがあったので準備していたのですが、いざ本番になって傍から撮影を見ていると、よく見たらTomonori(Dr)がたこ焼きを持ってセリフも喋っていて(笑)、そんなこともありましたが、メンバーがうまく現場で対応してくれました。
-楽曲制作に生きるかはわかりませんが(笑)、いい経験でしたね。Minami君はやっぱりしゃべらないというところはキープしつつ、一番後ろで圧倒的なオーラを放っていましたね(笑)。
Minami:できるだけ顔が映らないように......。
-そして3曲目の「One Shot, One Mind」は4月に配信開始された、"カンテレ プロ野球中継2021"のテーマ・ソングです。スポーツや野球のイメージはラスベガスにあまりなかったのですが、実際聴いてみると、タイアップとの相性の良さも際立っています。歌詞もかなりリンクしていますね。
マネージャー:これも向こうが探しているところにプレゼンする形だったのですが、実はずっとこういうスポーツ系のタイアップが欲しいと思っていたんです。今回は野球ですが、例えばサッカーなどのチームでやるような競技にラスベガスの楽曲って絶対合うと思っていて、機会があればこういう話をしたいなと思っていたところに今回の話が来ました。"スポーツの高揚感はラスベガスの楽曲のテンション感と絶対合います"と伝え、実際に映像に合わせて曲をかけたりしたら、向こうも結構ハマってくれたみたいで、"ぜひお願いします"ということで決まりました。このようなところからスタートしているので、かなり寄せています。
-歌詞見て野球だと思わない人はいないぐらい野球をイメージできます。
Minami:曲の中のアレンジでも太鼓の音を入れてみたりとか。
マネージャー:一時はメガホンの音とか、バットでボールを打つ音も入れてみたりしました(笑)。いろんな場面で寄せています。
-楽曲制作の過程はいつもと違いましたか?
Minami:そうですね、でも結構爽快な感じというか、最近あまりやっていなかったポップ・パンクのイメージがあったので、メジャー・コードを使ってみたり、アイディアがどんどん湧いてきて、わりとやりやすかったです。
-爽やかでポップ・パンクなイメージの楽曲ですと「Jump Around」(2011年リリースの1stミニ・アルバム『NEXTREME』収録曲)がありますが、この曲もすごくシンプルで、キャッチーなポップ・パンク調で、とっつきやすいというか、普通のポップ・ソングやJ-ROCKしか聴いてない人のための入口にもなりそうな曲ですね。
Minami:ELLEGARDENやSUM 41を聴き直したりして、ああいう爽快感を出そうと、最初イントロのフレーズをギターのオクターヴとかでやってみたんですけど、マネージャーさんが"シンセでやってみようか"と言ったので、シンセのメロディに変えてみたらラスベガスっぽさも出てきました。
-以前SUM 41に影響を受けたと言っていたメンバーがいたと記憶しています。
マネージャー:Soかな? 構成もものすごくシンプルにして、さっきのタイアップのようにオンエア以外のところで裏切るようなことはせず、変な例えですけど、ダチョウ倶楽部のお約束芸みたいな"ここでこうなるよね"、"ここでサビ来るよね"みたいなお約束的爽快さを表している楽曲になっています。ラスベガスの中ではシンプルな構成なので、そういう意味では作業はスムーズにできました。
Minami:タイアップ的にも全体的に使う、どこを切り取って使うかわからないというような感じだったので、曲を通してああいう爽快な感じになっています。
-これは関西の地上波でのプロ野球中継番組ですよね?
マネージャー:そうです、今シーズン中流れます。あともうひとついいなと思ったのが、今年阪神が強いんです。Minamiが野球好きなので"阪神って今年どう?"って聞いたらすごい大物ルーキーが入ってきたようで。案の定今すごく強いんですけど、それもあって"これは関西盛り上がるかもな"と読んで受けたというのもあります。
-シーズン中ずっと流れるなら関西の方は耳にする機会が多そうですね。
マネージャー:もうひとつ面白かったのが、最初この曲は日本語でチャレンジしてみたかったので準備していたのですが、逆に向こうからは"英語にしてください"とオーダーが来て。なぜかというと日本語で野球解説をしているときに、バックで日本語の曲が流れていると解説が耳に入ってきづらいからということだったんですけど。日本語の曲は前からちょいちょいやっていましたが、最近サンボマスターさんのカバーをやらせていただいたときに、改めて歌詞が入ってくる良さを感じて、うまく考えればできると思っていたので、本当は日本語でもチャレンジしたいなと思っていました。
-たしかに日本語で依頼があっても良さそうなタイアップ案件ですよね。それでは最後に、ラスベガスのファンおよび激ロックの読者にコメントをお願いします。
Minami:大変な世の中ですが、俺らの音楽やライヴで少しでも元気を与えられるように俺らも全力でやっていくので、今後とも応援よろしくお願いします。