FEATURE
Fear, and Loathing in Las Vegas
2011.07.01UPDATE
2011年07月号掲載
Writer MAY-E
フロアを劈くトランシーなダンス・ビート、メタル・エッジなバック・サウンド、オートチューンを駆使したヴォーカルが強烈なインパクトを与え、ライヴを開催する度にメキメキと動員を増やしているFear, and Loathing in Las Vegas(以下FALILV)。地元神戸で結成したのが2008年、現在の6人編成になったのが09年であるので、本格的にバンドをスタートさせてから、たったの2年である。飛ぶ鳥落とす勢いとは、まさしくこのこと。このFALILVが、メジャー、ストリート問わず今最もホットなバンドだと言っても過言ではないだろう。
激ロックのDJイベントにおいても、海外バンドを押しのけて一番の盛り上がりを見せるFALILVのキラー・チューン「Burn the Disco Floor with Your "2-step"!!」。その熱狂的に盛り上がるフロアを見て思うのは、彼らの最大の武器となるとは、超絶フックの効いた曲構成だということ。実に様々な要素が盛り込まれた、言わばごった煮のサウンドなのに、一度聴いただけでもメロディがしっかりと耳に残る。初めて聴いても、踊れて歌える。シンセやオートチューンが彼らの楽曲をよりユニークなものにしているのは間違いないけれど、まずはやっぱり、曲が強いんである。
そんな風に、日本の若いロック・ファンをたちまち虜にするほど魅力的な楽曲を産み出してしまったこの罪なバンド、FALILV。彼らが誕生したのは、BRING ME THE HORIZONやATTACK ATTACK!、BREATHE CAROLINAといったシンセサイザー/エレクトロを取り入れた新型のメタルコア~スクリーモ・バンドが世界各地のヘヴィ・ミュージック・シーンで猛威を振るっていた、ちょうどその頃だ。彼ら6人も、我々ロック・ファンと同様にそのシーンにどっぷりと浸っていたに違いない。ただ、こういったシーンの影響下といえるバンドがこれほど早く日本に、しかも完璧な形で登場するなんて思ってもいなかったことだ。インターネットが盛んになり、海外の音楽がこれだけ身近な存在になったこの時代を象徴する事例のひとつなのかもしれないが、目で見たもの、耳で聴いたものをあっという間に消化し、自らのサウンドとして吐き出してしまうこの驚異的センスには、脱帽である。
さて、そんな超人的6人が、現在までに売上2万枚を突破しているデビュー・アルバム『Dance & Scream』の熱気も冷めやらぬうちに、ミニ・アルバム『NEXTREME』をリリースする。
TVアニメ"逆境無頼カイジ破壊録篇"のオープニング曲として起用された「Chase the Light!」は、ゲーム・ソング風のポップなイントロから突如スクリームとともにヘヴィ・サウンドが展開する、冒頭を飾るに相応しい一曲。パンク・テイストに仕上げた「Jump Around」はとにかくカラフルでキャッチー。タイトルの通りに縦ノリなナンバーだ。「The Answer for Unequal World」は、一転してハードなメタルコア・サウンドに。彼らが得意とするド派手なシンセ・サウンドが炸裂するアップビートな「Shake Your Body」は、ライヴで人気を集めそうなノリの良いナンバーだ。さらに、日本語のリリックを用いた「Believe Yourself」や、切ないピアノのメロディで幕を開けるエモーショナルな「Short but Seems Long,Time of Our Life」など新境地的ナンバーも収録されている。
アルバム・タイトルの"NEXTREME"とは、恐らくNEXT×EXTREMEの造語だと思うが、"次世代のエクストリーム・サウンド"と名乗るに相応しい仕上がりだ。これを聴かなきゃ時代に乗り遅れるのは必至。さあ、ライヴで踊る準備だ!
- 1