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INTERVIEW

Fear, and Loathing in Las Vegas

2021.06.25UPDATE

2021年07月号掲載

Fear, and Loathing in Las Vegas

Fear, and Loathing in Las Vegasが、ライヴ映像作品『The Animals in Screen Bootleg 1』、『The Animals in Screen Bootleg 2』を連続リリースする。激ロックでは、コロナ禍に立ち向かいながら敢行した初のオンライン・ライヴと、その第2弾を収めた本作に迫るべく、メンバーのMinamiへ初の単独インタビューを行った。Minamiの単独インタビューは、激ロック史上初どころか世界初のこと。10年以上にわたってラスベガス(Fear, and Loathing in Las Vegas)を追ってきた本誌だからこそ実現できた激レア・インタビューだ。今回は、プロデューサー的な立ち位置でバンドを導いているマネージャーにも同席してもらうことで、より深く、より濃い話を聞き出すことができた。なお、本インタビューは2号連続で掲載。来月号掲載の後編では、アルバム『HYPERTOUGHNESS』以降にリリースされたデジタル・シングル3曲を中心に聞いているので、こちらもご期待いただきたい。

Minami(Vo/Key)
マネージャー
インタビュアー:村岡 俊介(DJ ムラオカ)

-僕にとってのベガス(Fear, and Loathing in Las Vegas)の取材は、2019年の12月の『HYPERTOUGHNESS』リリース時のメール・インタビュー以来、約1年半ぶりになりますが、それから1年半、世の中はコロナに振り回されています。音楽シーンもすごいことになっていますね。

Minami:やはりライヴができないということは、アーティストもライヴ現場に関わる人たちもかなり苦しいと思いますし、お客さんもライヴに行きたいけど行けなくてうずうずしている人が多いだろうし、苦しい思いをしている人は大勢いますよね。早くちょっとでもいい状況になってほしいなと思っています。

-演者側ももちろんそうですし、SNSなどでメンバー個人のアカウントに直接リプライが来なくても、エゴサすれば"ライヴまた観れなかった......"などお客さんが呟いているのを見られてしまうので、そういった点でもやるせないですよね。

Minami:そうですね、いろんなアーティストが配信ライヴなど工夫してやっていると思いますが、俺らにとっては生のライヴが一番大きいというか、それができないのは寂しいですし、できることなら早く元通りになってほしいです。

-そうですよね。ライヴを主戦場にしていない、いわゆるネット系と呼ばれるアーティストたちがコロナの影響を受けずに追い風に乗っているなかで、ラスベガスをはじめとするメタルやラウドロック、ポスト・ハードコア・バンドは、音楽シーンの中でも最も影響を受けているのではないかと思います。

Minami:こういうタイミングでネット系のアーティストや、あまりライヴをしないようなアーティストの人気が出るのもわかるところはありますが、ライヴで音楽を楽しみたいと思う人もたくさんいると思いますし、ライヴでしか味わえないような高揚感も絶対あると思います。俺らもこの期間、制作を続けてきましたが、ライヴがかっこいいバンドだと思ってもらえるように、想定して制作を進めているところもあるので、これがないと成り立たないというか、いろいろイメージしにくいというのはありますね。

-コロナ禍だからライヴを想定しない楽曲作りへとシフトすることなく、コロナ以降を見据えて変わらずにやっていくと。

Minami:そうですね、ライヴをイメージするところは変わりません。

-なるほど。ちなみにコロナ禍をどう過ごされていましたか?

Minami:『HYPERTOUGHNESS』のリリース・ツアーが2020年2月末ぐらいから中止になってしまい、"ライヴができないとなると何をしたらいいんだろう"と、拍子抜けするような感じだったのですが、時間があるうちに曲を作っておくしかないということで、マネージャーさんと2日に1回リモートで曲作りをして、それがない日は自分でネタを作っていたので、ほぼ毎日のように制作活動をしていました。それ以外は今しかできないことをやろうということで、ライヴができるようになったときのために体力をつけたり、身体を軽くするために、6日間ぐらい断食してみたりとかしていました。

-え、6日間連続じゃないですよね?

Minami:連続です。

-連続で6日間!? すごいですね!

Minami:一応飲み物で栄養摂ったりはするんですけど。

-スポーツドリンク? それとも水で?

Minami:栄養が入った酵素ドリンクとか水で。今せっかくこれだけ時間があるなら、何かやってみようかなという気持ちでやってみたりしていました。

-何か変わりました?

Minami:そのあとの食事がおいしく感じたりとか、身体も少し調子が良くなった感じがしたり、やって良かったなと思います。ほかのメンバーも筋トレしている人が多くて、Tomonori(Dr)さんも30キロぐらい瘦せたと思います。

-えっ、そんなに! すごいですね。『The Animals in Screen Bootleg 1』(以降『Bootleg 1』)と『The Animals in Screen Bootleg 2』(以降『Bootleg 2』)のライヴ映像を拝見しましたが、30キロ減までの変化には気づきませんでした。

Minami:そうですね、たぶん"FaLiLV On-line Live"と"FaLiLV On-line Live 2"のときとで結構変わってると思います。ほかのメンバーも、Tetsuya(Ba)はちょっとガッチリしてきたり、Taiki(Gt)さんはすごく腕が太くなっていたりします。

-Taiki君もひとまわり大きくビルドアップされてますね(笑)。『Bootleg 2』では特にすごい。

Minami:だいぶマッチョな感じになりました。マネージャーさんもすごい痩せましたし。

-メンバー/マネージャー一丸となって肉体改造に励んだんですね。コロナ禍でゲーム配信を始めたバンドマンも多いですが、そういった他ジャンルへのチャレンジはありましたか。

マネージャー:最初はファンクラブでいろんなことをやっていたのですが、バンドの活動がないときに変にじたばたして、素に近いメンバーばかり見せてしまうのは良くない気がして。そういう面が見られることで喜ぶファンもいると理解はしていますが、見せたいバンド像とは違うことを伝えているなという気がしたので、今はそこまで積極的にやっていないです。やはり、できればお客さんにはバンドの一番かっこいいところを見てほしいと思っています。

-いろいろ試したうえでバンドの本質というのはそこではない、ストイックさを見せていこうと。

マネージャー:今はライヴができないので、お客さんからバンドの姿が何も見えないじゃないですか。そこでバンドの何を見せるのか? というところだと思うのですが、本質と違うところを見せすぎてもちょっと違うかなというのはありましたね。たまに、ぐらいでいいのかなとも思います、違う側面を見せるのは。

-なるほど。そんなコロナ禍にSo(Clean Vo)君の網膜剥離が急激に進行、緊急手術という突然のニュースを見て、とても心配になりました。

Minami:あれは結構急なことだったのでびっくりしましたが、もともとSoは目がかなり悪く、網膜剥離も進行しやすかったようで。顔の筋肉もあまり動かせないから歌もあまり歌えないみたいな状態だったのですが、幸い網膜剥離が進行してしまったタイミングが"GR8 FEST."の少し前の、ライヴがない期間だったので、その間は休んでもらって、ほかのメンバーでスタジオに入っていました。手術して安静にしていたことでライヴまでにはなんとか間に合ったので、良かったです。

-オフではないですが、コロナ禍でスケジュールにゆとりがあるところで手術ができたというのは、不幸中の幸いかもしれないですね。

Minami:そうですね、ライヴをガンガンにやっている時期に起きたら大変だったと思いますし、この先メンバーの病気や怪我など、何があるかわからないので、できるだけ健康面も気をつけておかないといけないなと思いました。

-そうですよね、そういう怪我や病気がきっかけとなって、順調なバンド活動に影を落とすということは実際様々なバンドで起きていますので、そういう意味でも先ほどおっしゃっていた、体力づくりをしっかりしていくというのは予防、リスク・マネージメント的にもいいですよね。話は変わりますが、コロナが広まり始めた当初は、"ライヴハウスがこんなにも叩かれるのか"というほど悪者扱いする国内情勢でしたが、まさにザ・ライヴ・バンドであるラスベガスの目にはどう映りましたか?

Minami:やはり一般の人からすると、ライヴハウスはすごく密な環境で、大勢の人が騒いでいるイメージがあると思うので、ある程度は仕方ないのかなとは思いましたが、現実としてライヴハウスで生きている人たちは、飲食店の人と同じぐらい苦しいと思います。一般的なイメージで批判されるのも仕方ないのかもしれないですが、そういう人たちのことを考えるとちょっとでも早く元通りのライヴができるようになってほしいと思っています。

-最近やたらと"不要不急" かどうかで判断されますが、不要不急か必要かは個人の生き方などで変わってきます。ライヴに行くことで命を救われる人もいます。

Minami:音楽は娯楽ではあると思いますが、それがないと生きられないというか、それを生きがいにしてる人もたくさんいると思います。

-演者側も含めてそうですよね。ライヴを組んでは潰して、フェスへの出演も決定しては中止になっての繰り返しだった今までの状況は、メンタル的に相当つらかったのではないでしょうか?

Minami:ライヴが決まって準備はするけど、実際開催されるか直前までわからず、メンバーと"どうなんやろな"と話しながらもリハーサルはしていました。俺らとしては出ると決まったら全力でやるしかないし、来てくれる人がいるなら最高のパフォーマンスを見せたいので、開催されるのかどうか気にしても仕方がないなと思い、出る前提で準備することに集中していました。

-実際中止になってしまった際、どうやってモチベーションを保っていましたか?

Minami:毎回残念に思いますが、この状況では仕方ないと思うので、この先また今まで通りにライヴができるようになるための中止という判断なんだと割り切って、次のライヴに向けて頭を切り替えてましたね。

-特に若手のバンドやアイドルは活動休止やメンバー脱退が増えていますが、Minami君含め、ベガスのようにモチベーションを保ち続けていける方はプロフェッショナルですね。

Minami:ライヴなど活動がしにくくなったぶん、それぞれのメンバーがどういう役割で何をすべきかみたいな、そういうことを考えるきっかけにはなったとは思います。あとはやはりライヴができることが当たり前じゃないというか、そのありがたみをすごく感じました。ライヴをやってないと、それこそ活動ができないようなバンドもたくさんいると思いますが、そういう人たちは本当に苦しいと思います。

-ライヴで収益を得ているところなどですよね。

Minami:そうですね。俺らは自分たちのツアーが中止になったりはしましたが、それでも幸いなことに生活することはできていたわけで、そういう部分はすごく恵まれてると思います。でもそうじゃないバンドもたくさんいて、仕方がないとは思いますが、つらいなとは思いました。