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LIVE REPORT

"MEGA VEGAS 2023" -DAY1-

2023.03.11 @神戸ワールド記念ホール

Writer : 内堀 文佳 Photographer:Viola Kam (V’z Twinkle) 、スズキコウヘイ


MAN WITH A MISSION


Spear Ribのドラムからひとりずつ音が増えていく「Between fiction and frictionⅠ」でメンバーが揃い、Jean-Ken Johnny(Gt/Vo/Raps)の口上で始まったMAN WITH A MISSIONのステージ。フックの効いたギター・イントロから大歓声が沸いた「Get Off of My Way」、そして「Blaze」でワールド記念ホールを満たす興奮をタイトル通り燃え上がらせる。"モウ12年前ニナリマスカネ、彼ラニ会ッタノハ。2011年、代官山UNITデゴザイマシタ。初メテ会ッタトキハ、彼ラハマダ少年デシタネ。スゴカッタ、若々シカッタ。年月ヲ経マシテ、楽屋ニ挨拶スルナンテコトヲ覚エ始メマシテ、メチャメチャ大人ニナリマシタケレドモ。シカモ12年ノ中デイロイロトバンドガ変ワッテク様モ見テマイリマシタ。デモソノタビニ折レルコトナク、クジケルコトナク、ヨリタクマシクナッテ走リ続ケテルラスベガス、マジデカッコイイト思イマス"とJean-Ken Johnnyが感慨深そうに話すと、再びイントロでフロアが大きくざわめいた「Emotions」へ。

壮大な空気感を纏う「INTO THE DEEP」、聴かせる「Remember Me」が広い会場で続けて響き渡るのを全身で感じ、実に気持ちがいい。ひとつ前のLiella!のアクトでフロアを煌々と照らしていたサイリウムを彼らのターンでも登場させるよう求め、そんな異文化交流ができる場を作り、そこに招いてくれたベガスへの感謝を言葉にしたJean-Ken Johnnyが、"コレカラ先モ素晴ラシイフェスニナリマスヨウニ、ソシテチョットダケ天国ノ兄サンニモ届クヨウニ"と「1997」を高らかに披露し、最後は「FLY AGAIN -Hero's Anthem-」でアリーナからスタンドまで全員が左右に両手を掲げる圧巻の光景を作り出した。


西川貴教


サウンド・チェックの「HOT LIMIT」からすでにテンションが最高潮に達していた観客が、白いポルシェのヘッドライトからバンパーまでをかたどったお立ち台が置かれたステージを見つめるなか、西川貴教が登場。見事な胸筋をのぞかせた黒い衣装を纏った西川の今年最初のライヴの1曲目を「一番光れ!-ブッチギレ-」が飾る。数々のライヴでオーディエンスを魅了してきた実力者たちが揃ったこの2日間だが、その誰をも凌駕する声量とパワーだ。「Judgement」、そしてスクラッチとラウドなドラムから「Claymore」へと雪崩れ込んでいき、続けて西川に紹介されSoとMinamiが登場。

それぞれ上手と下手に陣取り、西川はポルシェの上でどっしりと構え、超豪華なトリオで「Be Affected」を披露する。ふたりを見送り、"これだけやりに来たと言っても過言ではございません"とMCに入ったかと思えば"こんなフェスでさ、まだそんなに西川貴教って知名度がないんです"、"なのにね、トリ前なんてさ、荷が重いのよ、イヤなんよ。マンウィズ(MAN WITH A MISSION)とかがやってほしいねん、そういうのは! あとオーラル(THE ORAL CIGARETTES)とかさ、後半にやったほうがええやん。俺は先発でやったほうがええねんそんなもん"、"なんでこんなとこでやってんの?"と国民的ロック・スター 西川貴教にしか言えない台詞で会場中の爆笑をさらう。しかし新曲「Never say Never」から演奏を再開すると空気はまた激熱に。それに合わせてか、西川も衣装の上着を脱ぎ、インナーをはだけさせ、ついには上裸になって肉体美を惜しげもなく披露。「Crescent Cutlass」で締めくくるまで、エンターテイナーとしての圧倒的な力を見せつけた。


Fear, and Loathing in Las Vegas


これまで全アーティストのライヴが始まる前に客電が落ちると大きな歓声と拍手が湧いたが、ついにこの日の最後のアクトであるFear, and Loathing in Las Vegasの出番を知らせる合図が出ると、その期待と喜びはひと際大音量で表された。So、Minami、Taiki(Gt)、Tetsuya(Ba)が勢い良く舞台上に飛び出し、Tomonoriがクールに歩いてドラム・セットにつくと、Soの絶叫の煽りから「Return to Zero」で開幕。アゲアゲな楽曲に観客全員と踊るパラパラで、テンションが上がり続けるなか、「Rave-up Tonight」でMinamiのシャウトに合わせ拳が素早く突き上がり、その勢いはますます加速する。曲が終わり、暗転するとメンバーの名前を叫ぶ声が上がるのはどのアーティストでも当たり前の光景だが、ここで聴こえた5人を呼ぶ声の大きさからは、その当たり前を3年間も我慢することを強いられてきたオーディエンスが、いかにこの日を待ち望んでいたかが痛いほど窺えた。

"6年ぶりの「MEGA VEGAS」開催となりまして感無量です、ホンマにみんなありがとう! 1組目からずっと観させてもらってたんですけど、ホンマに楽しすぎて、歌いすぎて、無茶苦茶良くて、本当に最強のメンツやったでしょ! どうでしたかみなさん!"とSoが問い掛けると、その答えは盛大な拍手と大歓声で返ってきた。観客、スタッフ、出演者への感謝を述べ、"1日目、ホンマいいフェスやったな。いや、まだやな! 俺ら頑張らなあかんなもっと!"、"「MEGA VEGAS」の日ですから、いつもの何十倍もパワー出るんですよ。みんなから愛を貰ったんで、それをここで全部吐き出していきたいと思います"と改めて意気込みを語り「Ain't That So Awesome」へ。Minamiのラップから始まるノリノリのダンス・ナンバーで、TaikiとTetsuyaも楽器を置いてマイクを握る。Soのパートでは3人が後ろで踊る姿を観て、この日のトッパーで出演したPassCodeのパフォーマンスを思い出した。影響を受け、年月を重ねそれぞれに進化を遂げていき、ある日また交差する。その瞬間に立ち会えたような気がした。続けてアリーナからスタンド席まで全員がジャンプして会場を揺らし、各パートでモッシュも発生した「Let Me Hear」から、頭の上で合わせた手を左右に掲げる振付の揃いっぷりが凄まじい「Virtue and Vice」が繰り出され、全員がひたすらに全身で音楽を楽しんでいた。

"このフロアをみんなのステップで燃え上がらせようぜ!"と結成当初から演奏し続けている「Burn the Disco Floor with Your "2-step"!!」を"昔バージョン"で披露してから、「Just Awake」へ。こちらももちろん踊って暴れて楽しい楽曲だが、エモーショナルなメロディ、展開、歌詞に優雅なピアノ・ソロも組み合わさり、感情が大きく揺さぶられる。ついに最後の2曲となり、Soが観客に雄叫びを繰り返し上げさせると、天井知らずにその音圧はどんどん大きくなっていく。まだまだフロアの気合も体力も十分だということがよく確認できたところで「Party Boys」を投下。ゲームのような電子音のイントロから跳ねるリズムで展開していくダンス・チューンの楽しそうなサウンドに誘われてきたのか、レオタードを着たROTTENGRAFFTYの侑威地(Ba)とHIROSHI(Dr)がステージに乱入し、あの手この手で5人を笑わせようと暴れるが、その猛攻に耐えながら演奏をしっかりと完遂する。そんな豪華でカオティックなクロスオーバーも観ることができた"MEGA VEGAS 2023"初日公演は、ドラマチックで壮大な「Luck Will Be There」で盛大に閉幕。翌日に2日目公演も控えているが、ステージの5人も観客のひとりひとりも、この日出し切れるものをすべて出し切ったことがよく伝わってくる、清々しい空気で満ちていた。