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LIVE REPORT

"PUNKSPRING"

2023.03.25 @幕張メッセ

Writer : 菅谷 透 Photographer:HayachiN(HEY-SMITH)、Kazumichi Kokei(MY CHEMICAL ROMANCE) ©PUNKSPRING All Rights Reserved.

春のパンク・ロックの祭典、"PUNKSPRING"が6年ぶりに帰ってきた。2006年の初開催以来日本のパンク・シーンを支え続け、2017年に惜しまれつつ幕を閉じたフェスが待望の復活を遂げたのだ。残念ながら出演予定だったSUM 41は直前にキャンセルとなってしまったが、当日はヘッドライナーのMY CHEMICAL ROMANCEを中心に、国内外の実力派ラインナップが集結。春時雨が降りしきるなかではあったが、東京公演の会場である幕張メッセには多くのパンクスたちが足を運んでいた。


CVLTE

今回の"パンスプ(PUNKSPRING)"は例年に比べて邦楽アーティストの出演数が多いことが議論を呼んでいたが、蓋を開けてみれば"パンスプ"が停止中の期間やコロナ禍によりライヴ自体がままならない時期に、それぞれのスタイルで国内のシーンを守り続けてきたバンドや、新たに頭角を現してきたバンドが、その矜持を幅広い層に見せる格好の機会になったのではないかと思う。そんなイベントのオープニング・アクトを務めたのは札幌発のCVLTEだ。ポスト・ハードコアやエモにヒップホップ/トラップまで内包したオルタナティヴなサウンドはまさにパンクの系譜の最新形というべき趣で、シアトリカルなVJも相まって没入感の高いパフォーマンスを披露し、国内外のオーディエンスを魅了していた。


TOTALFAT

続いて登場したのは、2008年の初出演以来、毎年のように"パンスプ"へ出演していたTOTALFAT。"「PUNKSPRING」、帰ってきたぞ! 大暴れでよろしく!"のひと言から、「DA NA NA」、「PARTY PARTY」などのアッパー・チューンを投下し、再びこの場所に集まることのできた喜びを音に変えてぶつけていく。Shun(Vo/Ba)は"(「PUNKSPRING」は)俺たちにとっては一番の帰る場所で、ホームで、実家"と語り"パンク・ロックに出会えたことが誇りに思えるように、マイケミ(MY CHEMICAL ROMANCE)が終わったあとに胸張って帰れるように、「PUNKSPRING」がこの先も開催できるように、これからも支えていきましょう!"と、万感の想いとともに「Place to Try」を披露。大合唱を巻き起こし、華々しく祝祭のスタートを切った。


ASH DA HERO

ASH DA HEROはダンサブルな「Avengers」で口火を切り、「WARAWARA」、「レーゾンデートル」など矢継ぎ早に楽曲を叩きつけて、ストイックなパフォーマンスを展開していく。サウンド的には少々アウェイな状況ではあったが、「エゴイスト」の途中でASH(Vo)が演奏を止めて観客を座らせ、パンクを昔から聴いてきたことや、"PUNKSPRING"にもキッズとして遊びに来ていたことを語ると、楽曲が再開したときにはステージとフロアの間のバリアが取り払われたかのような一体感が生まれ、大きな盛り上がりを見せていた。「Judgement」ではクラップが巻き起こり、ハードなラスト・ナンバーの「世界をぶん殴れ」では高々と拳が掲げられる。熱量の高いパフォーマンスとアティテュードで、多くの観客を新たに味方につけたであろうステージだった。


HEY-SMITH

HEY-SMITHは、メンバーが登場するやいなや大歓声が巻き起こる。意外にも今回が"パンスプ"初登場とのことだが、微塵もそんなことを感じさせない盛り上がりっぷりだ。バンドもそんな観客を焚きつけるかのように、「Dandadan」、「Don't Worry My Friend」と強力なナンバーを次々投下していく。猪狩秀平(Gt/Vo)が"説明はいらないと思います。お前らがパンク・ロック好きで、俺たちがパンク・ロックを奏でる、それだけで十分! 思い切り暴れて帰ってくれ!"と吠え、「Endless Sorrow」でボルテージをさらに高めていくと、「Inside Of Me」のダブ・バージョンでは蠱惑的なサウンドでフロアをトリップさせる。"ここから外タレたくさん出てくるけど、日本にもこれくらいヤバいバンドがいるってこと知っといてくださいよ"というバンドの誇りが感じられる言葉のあとは、「We sing our song」や「True Yourself」で畳み掛け、ラストの「Come back my dog」では巨大サークル・ピットを生み出し、圧巻のステージを締めくくった。


The BONEZ

ステージ上の円陣から、挨拶代わりの「We are The BONEZ」でライヴを開始したThe BONEZ。JESSE(Vo/Gt)の"お前らが買ったチケットを誰にも奪わせねぇし、好きにエンジョイしていってくれ!"という言葉から放たれた「Love Song」で、フロアも狂乱状態に突入していく。"人生1回だぜ"との想いが込められた「New Original」も新曲ながらサークル・ピットが発生し、今この瞬間を大いに楽しむ空気が会場全体を支配する。「Adam & Eve」ではJESSEがフロアに飛び込み観客の肩に乗って歌唱、ボルテージをますます高めていった。アンセミックなコーラスに観客が見事に呼応した「Thread & Needle」に続いて、「Rusted Car」では歌詞を"Taking us to PUNKSPRING"に変えるひと幕も。ラストの「SUNTOWN」では会場にいる子供たちへメッセージを送り、"大人たち、子供がいたら見せてやろう! 音楽の奇跡ってものを!"という咆哮から、会場を揺らすジャンプ、そして特大のシンガロングへ繋がっていく。筆者の近くにも抱っこされながらステージを見つめる子供がいたが、きっと忘れられない光景となったことだろう。


04 Limited Sazabys

04 Limited Sazabysは開幕から「monolith」、「fiction」、「Finder」、「Alien」のファスト・チューンを間髪入れずに披露し、大量のダイバーを発生させていく。GEN(Ba/Vo)は"パンクに何度も救ってもらってるぶん、今日はパンクを救いに来たと思ってます"と語り、"あの頃の気持ちを思い出せ"と「Remember」を叩きつける。溢れ出るパンクへの愛に、フロアもますます熱気を帯びていく。MCではGENが、コロナ禍でパンクへの逆風が吹いていたことに触れ、"今日を皮切りにパンクからの反撃の狼煙を上げて、始まりの合図にしていきましょう"とエールを送り、"あの頃に戻すんじゃなくて、あの頃よりも少しでも進めたいし、より強くしていければいいと思ってます。パンク・ロックはいつだって俺たちのメンタルを武装してくれました。一緒に強くなって、一緒にこのシーンを強くしていきましょう"という叫びから「buster call」、「Squall」を披露。"パンスプ"ならではのピュアでエモーショナルな熱演を繰り広げた。