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LIVE REPORT

The BONEZ

2022.11.04 @Zepp DiverCity(TOKYO)

Writer : 吉羽 さおり Photographer:Taka”nekoze_photo”

今年5月、恵比寿LIQUIDROOMを皮切りにスタートした全国ツアー[The BONEZ Tour 2022 "Welcome to The Lab House"]。"長いコロナ禍で止まったハートをどうしたら動かせるかの実践の場"をタイトルに、久々となる地方都市を中心に巡ったこのツアーを経て、10月からはファイナル・シリーズに突入。その最終公演が11月4日、Zepp DiverCity(TOKYO)で開催された。

この自身のツアーに限らず、コロナ禍に出演したフェスやイベントのステージでも、いかにして"ライヴ"というもの、またライヴに限らず日常や生きるうえでの情熱や心震わせてきたものをどう再び取り戻すのか、と全身全霊で音にしてきたThe BONEZ。まだ音楽のライヴに関しては、観客が歓声を上げたり歌ったりコロナ禍以前のような密度でのライヴはできない状況だが、それでもThe BONEZのライヴでは、あの場所、あの瞬間でしか味わえない感動や圧倒的なエネルギーというものが感じられる。長いツアーを一本一本重ねてきた最終日はその集大成として、そして各地で継いできた火をさらに大きくして次へと繋げていくエネルギーに満ちていた。ミニ・アルバム『LAB』のアートワークが描かれた巨大なバックドロップが掲げられ、開演前からボルテージの高いフロアの様子からも、バンド同様の思いが伝わってくる。

会場にこだまする大きな手拍子に迎えられ登場したZAX(Dr)、T$UYO$HI(Ba)、KOKI(Gt)、そしてJESSE(Vo/Gt)。のっけから高くジャンプを煽ってスタートしたのは「Plasma」だ。まさにロケットスタートでJESSE、KOKI、T$UYO$HI共にステージ最前線へと飛び出し、アグレッシヴに会場内の空気をかき回しながらタフなアンサンブルで魅せると、フロアの温度が上がっていく。

勢いを上げて「My Band」、そして"ライヴハウスのために作った"というJESSEの言葉から「Place of Fire」へと続き、早くもクライマックスの様相だ。一体感のあるステージとフロアに感じるものがあるのだろう、その双方の様子が見えるある種の特等席にいると言っていいドラマー、ZAXが"東京!"と大きな声を上げる。最高の始まりだ。序盤のMCでJESSEはこのツアーを、クルー含め怪我なく回ってこれたことを語り、また毎公演ライヴが終わるや、6トン車に機材を詰め込んでいち早く次の土地へとツアーを進めてきたスタッフを改めて労い、観客と共に拍手を送った。そしてプレイしたのは、「We are The BONEZ」。ここにいる、ここに集ったファミリーのアンセムとなる。うねるベースと、畳み掛けていくビートとリフが気持ちいい。

中盤には、"知らない曲、やってもいいですか"(JESSE)と未発表の曲「Step up」を披露した。軽快なスカとダイナミックなロックで織りなすサウンドは、ライヴの最高のキラーチューンだ。また、めちゃくちゃ濃いツアーだったと語り、大きなこの会場でもひとりひとりに届ける思いでやっているとMCする。「Dreamer」(未発表曲)では、最初に抱いた夢を観客に問い、夢を諦めるんじゃねぇぞと晴れやかに鼓舞した。これは今回の"Welcome to The Lab House"にも通じるテーマだろう。拳を高く突き上げる「Louder」やハードコア・ナンバー「Rusted Car」と、これぞという高温の曲を連投したところから一転、空気を変えたのは「Incredible」。"好きな曲やります"(JESSE)という紹介から、エレクトロと生のバンド・サウンドで繊細に織り上げていくアンサンブルと歌を聴かせ、ミニ・アルバム『LAB』から「In Silence」、そして「Stranger」、「LIFE」と新旧のオルタナティヴな曲を交ぜ合わせたセットリストを聴かせる。これもまた、柔軟に他ジャンルを横断しながら、力強く高らかに4人の足音を鳴らしていくThe BONEZというバンドの真骨頂だ。

後半では、T$UYO$HIやKOKIが、こんなにパンパンのZeppを久々に見てパワーが上がったと語る。またJESSEは「LIFE」を演奏するときにはいつもいろいろな思いが湧き上がると、パーソナルな経験や気持ちを吐露する。(コロナ禍でより)当たり前というものがなくなった、だからこそより今日が最後のつもりで気持ちを込めて歌う。そんな言葉に、フロアの観客にもぐっと力が入るのがわかる。"お前ら全員背負ってやる、泣きたかったら泣け"という叫びに歓喜と感涙のエモーションが衝突した「That Song」、そしてこの曲がなければ終われないだろう「Thread & Needle」は、イントロのパワフルなドラミングとアンセミックなコーラスに高く手が上がる。観客の大合唱とはいかないが、たっぷり長めにとったシンガロング・パートでは、会場を揺るがす声が聞こえたような気さえする。その熱量がZepp DiverCity(TOKYO)を埋め尽くしていた。

アンコールでは12月22日にcoldrainとのツーマン"The BONEZ Presents LIVE TONIGHT With coldrain"をZepp Haneda(TOKYO)で開催することもアナウンスされた。2022年はまだまだ終わらないようだ。「Hey, You」と「SUNTOWN」とを披露したアンコールだが、途中JESSEは客席の少年に"何歳だ"と問う。12歳だと答えた少年に、俺は13歳で人生を変えるバンドに出会ったと語り、今日をその日にするようにみんな力を貸してくれと叫ぶ。コロナ禍のライヴとなってモッシュやダイブがなくなり、こうして子供たちや親子の姿もフロア前方で見かけるようになった。コロナ禍のライヴは"できない"ことばかりじゃない、新しいストーリーやドラマもちゃんと生み出していることを、The BONEZのライヴでは痛感する。今回のツアーもまた次に、次世代に繋いでいく充実したものとなった。


LIVE INFORMATION
"The BONEZ Presents LIVE TONIGHT with coldrain"

12月22日(木)Zepp Haneda(TOKYO)
OPEN 18:00 / START 19:00
[チケット]
ローチケ チケットぴあ

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