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FEATURE

(sic)boy

2023.03.27UPDATE

(sic)boyとJESSE(RIZE/The BONEZ)――2020年代に溶け合ったヒップホップとロックの"血"「Dark Horse」

Writer : 高橋 美穂

(sic)boyが、メジャー1stアルバムからの第2弾先行として「Dark Horse feat. JESSE (RIZE / The BONEZ)」を3月22日に配信リリースし、同日にYouTubeでミュージック・ビデオを公開した。

XXXTENTACIONやLIL PEEPなどが2010年代に確立したエモ・ラップ。その脈々と続く流れにおいて(sic)boyは、マキシマム ザ ホルモンやSiM、さらにL'Arc~en~Cielなどのロック・バンドから受けた影響も昇華した楽曲を発表し、日本独自のエモ・ラップとして評判を呼び始める。さらにkiLLa、BAD HOP、SKY-HIなどのプロデュースでも知られるKMと出会うことで、さらなる飛躍を遂げてきた。

メジャー1stアルバムへの期待も高まるなかで配信リリースされた今作には、JESSE(RIZE/The BONEZ/Vo/Gt)が参加。これは、地元の先輩後輩という縁で実現したコラボ。現在のトラックの原型がKMから上がってきたとき、"これを形にしていくのであればJESSEさんがいなければ"と、リスペクトしているJESSEにダメもとでオファーしたところ、快諾してもらえたという経緯がある。20年以上にわたってミクスチャー・ロックの最前線を走り続けているJESSEと(sic)boyは、ざっくり言えばロック/ヒップホップと線引きされてしまうのかもしれない。しかし、そもそもミクスチャー・ロックはヒップホップからの影響を大いに受けたジャンルであり、前述したように(sic)boyは、ロックからの影響を大いに受けている。今現在立っている土俵こそ違うかもしれないけれど、ふたりの身体に流れているのはロックとヒップホップという、同じ血なのだ。さらに、ジャンル関係なく"いいものはいい"と胸を張って言える柔軟性や、あらゆる矛盾を壊してくれそうに感じられる血気盛んな精神性、そして姿を現しただけ、口を開いただけでビビッと衝撃が走るような存在感など、ふたりの生き様や印象に共通点は多い。そう考えると、今回のフィーチャリングも必然だったのだろう。

作詞は(sic)boyとJESSEが、作曲はふたりにKMが加わる形でクレジットされている。ダークなイントロから、"1から6 傾けるサイ 666で下剋上life"、"番狂わせちまってるねダークホース"と、しょっぱなからアグレッシヴに畳み掛ける。続いては(sic)boyのバースで、切ない歌声や囁きなどを交えた繊細な表現力でもって、"シカトお前のしょうもない意見"と己を貫く意思を表明していく。そしてJESSEのバースでは、一聴して彼とわかる力強い声で"RealとかFake うるさい"、"甘くみるな未だ俺まだ/噛むクセあるから近づくな"とキラリと光る牙を見せる。KMが手掛けるラウドでノイジーなトラックの上で、ふたりの才能と人間力がケミストリーを起こし、炎を立ち昇らせるような、とんでもないエネルギーを誇る楽曲になっている。

JESEEはミュージック・ビデオにも参加。地下に見える薄暗いハコの中で、激しいパフォーマンスが繰り広げられる。目を凝らして見聴きしていると、どんどん世界観に引き込まれていく。映像に明るさや広さがないことで"ここは何かが起きる前夜である"という期待が、濃縮されたマグマのように煮えたぎって感じられる。

JESSEも含めた先駆者たちが、あらゆる壁を壊してきた道の上に現れた(sic)boy。時代も世代もジャンルも飛び越えられるストリーミングというスタイルも後押しし、より自由な表現ができる環境が整っているようにも感じられる。今こそ(sic)boyには、まさに"暴れ馬"のように意気揚々と暴れまくってほしい。今作はそんな一部の音楽シーンの過去、現在、未来の物語が1曲で感じられる、ドラマチックなナンバーでもある。無心に士気を高めるも良し、噛みしめて味わうも良し。思い切り食らってほしい。


▼リリース情報
(sic)boy
シングル
「Dark Horse feat. JESSE(RIZE / The BONEZ)(Prod. KM)」
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