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LIVE REPORT

"LUNATIC FEST.2018" -DAY1-

2018.06.23 @幕張メッセ

Writer 林 なな

LUNACY / MOTHER STAGE

11時。総合MCを務めるDJ Booの開幕宣言のあとに現れたのは、LUNACY。かつて、この名で音を鳴らしていた彼らが、自らオープニング・アクトを務めるのだ。1曲目は「SHADE」、そして続くのは「SYMPTOM」、「NIGHTMARE」と、活動初期に特化したセットリスト。「NIGHTMARE」に関して言えば、未発表の曲だ。しかも、曲だけじゃなく、衣装やメイク、これらもすべて初期の姿に寄せているのがなんとも憎い! 時間にしてみれば15分ほど。だが、彼らはたったその15分で、完璧な幕開けをしてみせた。


coldrain / MOON STAGE

MOON STAGEのトップバッターは、coldrainである。Masato(Vo)の"暴れていこうか!"という一声から始まったのは「To Be Alive」。「ENVY」ではモニターに映像を映し出し、圧倒的なオーラで会場の熱気を高ぶらせていく。"胸を張って言います、連続出演です!"というMasatoの言葉に、拍手を送るフロア。それは、前回出演した3年前よりも確実に太く、深く、強くなったラウドロックを、また同じ会場で奏でているという事実に誇らしさを感じたのはメンバーだけではないという証明である。それもそうだ。まっすぐ音楽に向き合い、一歩一歩確実に進んでいたからこそ、この日coldrainはステージに立ったのだから。Y.K.C(Gt)、Sugi(Gt)、RxYxO(Ba)が、手拍子を促し「GONE」へと繋げると、Katsuma(Dr)がぶっ放すビートに乗せて雄々しいサウンドで届けられる「No Escape」、そしてラストの「The Revelation」まで、5人は凄まじいグルーヴでフロアを扇動し、クラウド・サーフを続出させる。彼らの真ん中にある、他の色には決して染まらない、ラウドロックという武器がギラギラと光っていた30分間だった。


The BONEZ / MOON STAGE

MOON STAGE、2組目は現在ツアー開催中のThe BONEZだ。オンステージして、ZAX(Dr)の元へと集まるJESSE(Vo/Gt)、NAKA(Gt)、T$UYO$HI(Ba)。いつもどおりなのは、このステージだけでなく、クラウド・サーフが起きまくるフロアも同じだ。「Until you wake up」、「Bird ~people with wings~」、「Rude Boy」を終え、"みんなが見たことないものを見せてやるよ"とJESSE。そして現れたのは、J(LUNA SEA/Ba)! JとT$UYO$HIのツイン・ベース編成で放たれた「Hey, You」の逞しさは言うまでもないし、瞬きをするのすら惜しいくらい、贅沢な光景が目の前で繰り広げられる。曲を終え、JESSEはとびっきりの笑顔で"最っっ高!"と叫んだ。本当に最高という言葉しか出ない時間だった。続いてJESSEはフロアへと降り立ち、「SUNTOWN」の序盤で"大阪で困っている人のために、東北でまだ困っている人のために、今日来れなかった人のために"と語り掛ける。そして、会場に広がったオーディエンスの歌声に、目を細めて微笑んだ。「Thread & Needle」での大合唱を終え、拍手喝采のなか去っていく4人。どんな場所にいたって、いつだって彼らは心の隙間を埋めてくれる。その証みたいなステージだったように思う。


シド / MOON STAGE

16時過ぎ。シドの4人は、ゆっくりとステージに現れる。Shinji(Gt)の奏でる柔らかなアルペジオのあとに、マオ(Vo)の独唱から始まった「青」でスタートダッシュを切った。簡単な挨拶を挟むと、"次の曲は僕らを呼んでくれたLUNA SEAのみなさんに、リスペクトの意味と感謝の意味を込めて歌わせてもらいます"、マオはそう言ってLUNA SEAの「I for You」をカバー。本家よりも、ほんのちょっと甘酸っぱく感じるような演奏と歌だった。そして、曲のラストのサビに差しかかろうとしたとき、なんとRYUICHI(LUNA SEA/Vo)がステージに! しかも、その手にはマイクが。大歓声のなか、高らかに歌い上げるふたりのヴォーカリストの姿に、この上ない大歓声が会場を満たす。RYUICHIがステージから去ると、"緊張したー!"と言うマオ。しかし、その顔は朗らかだ。そのあとは、「嘘」からラストの「眩暈」までノンストップ。闇と優しさの入り混じったタフネスも、ずっと変わらずだ。


DIR EN GREY / MOTHER STAGE

ステージの左右に取りつけられたモニターに、DIR EN GREYの文字が浮かび上がった瞬間、いっそう大きくなる歓声。前回の開催から2連続での出演である。Shinya(Dr)、Die(Gt)、Toshiya(Ba)、薫(Gt)が姿を見せ、最後に京(Vo)が登場し、ライヴは「人間を被る」からスタート。音と共に、彼らの後ろに流れる映像には、人の醜さや社会の縛られたルール、そして微かな希望が、嘘偽りなく表現されている。それを背負って鳴らされる激しい音が、まったく着飾ることをしていないのは明らかだ。続けて「SUSTAIN THE UNTRUTH」、「THE FINAL」を激動的な勢いそのままに解き放つ。派手な照明、膨張していく爆音。いきなり新曲をやってしまうところにしろ、長尺の楽曲である「VINUSHKA」をセットリストに入れ込むところにしろ、自分たちのことを初めて観る人も少なくない状況にもかかわらず、鬼神のようなステージングを見せる5人。だからこそ、これだけの人を魅了するのだ。「孤独に死す、故に孤独。」を演奏し終えると、"ラスト"と静かに京が呟き、迎えた「詩踏み」。彼らの姿が消えてもなお、狂気的な音の余韻が響いた。


GLAY / MOON STAGE

MOON STAGEのトリを務めるのはGLAYだ。1曲目「サバイバル」から、TAKURO(Gt)とHISASHI(Gt)の重厚なツイン・ギターと、追い討ちをかけるかのごとく響くJIRO(Ba)の鳴りのうえに乗せられる、TERU(Vo)の歌の艶やかさ。曲が終わるごとに大きな拍手が鳴らされるのにも納得がいく。"トリ前でやらせてもらえること、本当に幸せだと思います!"と言うTERUは、嬉しそうな顔を浮かべる。そして"みなさんの熱を受け取って、それをより大きくしてLUNA SEAに返す"と続けた。「HOWEVER」を終えたところでステージに呼び込まれたのは、すでに出番を終えたTAKAHIRO(ACE OF SPADES/Vo)。共に「BELOVED」を歌い上げると、「シン・ゾンビ」へと繋いだ。しかし曲中盤、メンバーの後方にあるモニターに映し出されたのは、"LUNA SEA"の文字! LUNA SEAの「FATE」のカバーを織り交ぜるというサプライズで、フロアの幸福感は最大級に膨れ上がる。そこからは、「SHUTTER SPEEDSのテーマ」を明希(シド/Ba)と、「彼女の"Modern..."」をNESMITH(EXILE)と、さらには出番を直前に控えているSUGIZO(LUNA SEA/Gt/Vn)とは「誘惑」と、ゲストが立ち替わり現れ、そのたびにヴォルテージは最高潮へ。「XYZ」を演奏し終え、彼らがバトンを渡すのは、もちろんこの日の主役にして盟友のLUNA SEAだ。


LUNA SEA / MOTHER STAGE


ステージでは、青に照らされたミラーボールが回っていた。静かにステージへ歩みを進めたLUNA SEA、そして湧き上がるフロア。待ち望んでいた時間が、ついに始まる。曲に入る直前の一瞬、RYUICHIは仰ぐ。「Hold You Down」だ。いつの間にかミラーボールは姿を消していて、ステージに広がる5人の音。続く「TONIGHT」では、花火がステージを彩った。"まだ雨が降ってると思うけど、吹き飛ばしましょう"とRYUICHIは言う。赤く染められた会場。「Rouge」でINORAN(Gt)とSUGIZOがかき鳴らすフレーズは、曲の激しさに色を添えていく。剥き出しの音で奏でられるJと真矢(Dr)のビートも、言わずもがなである。LUNA SEAは今こそが最強なんだ、と咆哮したくなった。RYUICHIは、"リハから盛り上がりまして......昨日はリハが終わったら声が枯れていました"と、ちょっとしたアクシデントでさえも楽しんでいるように話し始め、続く楽曲「gravity」の名を口にした。INORANはアコギに、SUGIZOはヴァイオリンにそれぞれ持ち替え、発せられる調べは「闇火」。先ほどシドがカバーしたばかりの「I for You」を挟み、「DESIRE」、「TIME IS DEAD」、「ROSIER」と、怒濤のナンバーが続く。Jは、マイク・スタンドを投げ、RYUICHIは"お前ら全員でかかってこい!"と煽りに煽る。あのかっこいい背中を見れば、この日あれだけのバンドと、あれだけのお客さんが集まったのは必然であろう。ラスト「WISH」で銀テープが宙を舞い、光る空。だが、それ以上に光っているのはステージとフロアだった。
アンコールを求めるフロアに応え、"やっぱりアンコールはセッションでしょう!"と、再び現れたRYUICHI。出演者たちをステージに呼び込み、全員で紡ぐのは、「BELIEVE」だ。かつて、真矢のローディを務めていた淳士(BULL ZEICHEN 88/ex-SIAM SHADE/Dr)がドラムを叩き、真矢へとバトンタッチをしたシーンには目頭が熱くなったし、SUGIZOとHISASHIにいたっては、「彼女の"Modern..."」のフレーズを悪戯めいた笑顔で弾いていた。そして、なんと言ってもこのセッションでの白眉は、TAKAHIRO、マオ、TERU、RYUICHIが横並びに4ヴォーカルで歌い上げた場面だろう。まるで打ち上げを見ているかのような贅沢な時間。ステージに立つ人間が楽しそうだと、それはやはりフロアへと伝染するのだ。こんな夜が、また訪れることを願いながら会場をあとにすると、雨が止んでいることに気づく。本当に雨を吹き飛ばした! 刹那、2日目も最高の日になるのだと確信した。

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