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INTERVIEW

SUGIZO (LUNA SEA) × TOSHI-LOW (BRAHMAN)

2018.06.04UPDATE

SUGIZO (LUNA SEA) × TOSHI-LOW (BRAHMAN)

2015年6月に幕張メッセで開催された、LUNA SEAが主宰するフェス"LUNATIC FEST."が3年の時を経て帰ってくる。時代背景や年代による特性、地域性などが絡み合い生まれる"ジャンル"や"シーン"。それはアーティストやリスナーにとって、重要なアイデンティティであると同時に、視野狭窄を招き感受性のポテンシャルを閉ざしてしまう可能性もある。それに対し、サウンド・スタイルやそこにあるファン・ベースに縛られない、多彩なラインナップが示す意味や魅力とはなんなのか。今回はLUNA SEAのメンバーの中からSUGIZOが登場。出演者であるBRAHMANのTOSHI-LOWとともに、同フェスの意義だけでなく、互いに感じるシンパシーや、音楽の持つ力について語ってくれた。

LUNA SEA:SUGIZO(Gt/Vn)
BRAHMAN:TOSHI-LOW(Vo)
インタビュアー:TAISHI IWAMI Photo by 石崎祥子

-まず、おふたりの出会いはいつごろですか?

TOSHI-LOW:2012年とか2013年とかかな? たしか、教授(坂本龍一)と加藤登紀子と俺とスギちゃん(SUGIZO)と――

SUGIZO:3.11の震災後だよね。"Peace On Earth"(※東日本大震災の追悼の場として2012年から毎年開催されているイベント)だったかな? "騎馬武者ロックフェス"(※2014年から始まった福島県南相馬市で開催されるロック・フェス)でも会ってるか。いろいろ混じってる。

-"スギちゃん"? SUGIZOさんの方が年上ですよね?

TOSHI-LOW:出会ったのが3.11以降のイベントで。自分たちが信じていた社会とかいろんな物事に対して、改めてもう一度、正しいものを探したい、考えたいっていう意識のもとで出会ってるから、"これはフラットでいいんじゃないか"って思ったんだよね。だから、さすがに怒られるかも、と思いつつも"スギちゃん"って呼んだら、"いいよ"って言ってくれた。

SUGIZO:嬉しかったよ。震災以降にみんなの意識が繋がった時期だったんだよね。立ち位置とか職種とか関係なく"何かを動かしたい"ってみんなが強く思い始めた。そのころに出会った仲間はすごく大事な存在。とても痛ましい出来事だったけど、それによって多くの人の社会に対する意識が変わった。その気持ちを忘れてはいけない。ひと段落したようなムードもあるけど、現地ではまだ戦いが続いてるから。

TOSHI-LOW:ほんとに、そのとおり。忘れちゃいけない。俺も、そこで出会った人たちとは、ずっと一緒に戦ってきた仲間のような感覚。震災で日本の歴史がグニャって動いて、今でもそうなんだけど、そこでお互いの意見を照らし合わせながら一緒に過ごしたことは、普通の1日より深い。って、話が激ロックっぽくないけど大丈夫?

-おふたりの出会いと、そこで感じた大切なことの話ですから、問題ないです。では、LUNA SEAやBRAHMANが世に出てきた90年代には、まったく交流がなかったんですか?

SUGIZO:なかったんですけど、もちろん存在は知ってました。俺は、LUNA SEAのイメージにはないかもしれないけど、重要なルーツのひとつがハードコアなんです。CHAOS U.KやDISCHARGEなど。もしかすると、バンドマンとしてそっちの方向にいってた可能性も十分にあったんで、BRAHMANを聴いて"俺もこういうことやりたかったな"って、密かに思ってたんです。

TOSHI-LOW:知ってくれてたんだ。びっくり。俺らが結成したころには、LUNA SEAはもうめちゃくちゃ売れてたから、もはや比べてどうこうじゃなかったなぁ。

SUGIZO:当時、Hi-STANDARDとか、メロディック・ハードコアが台頭してきた時期だったじゃない? その中でBRAHMANはちょっと印象が違って、より硬派で簡単には歌わせない雰囲気があったように思う。リズムも変幻自在で、あの感じが好きなんだよね。

TOSHI-LOW:俺はパンクから入ったの。SEX PISTOLSとかBAZZCOCKSとかTHE JAMとか。そこからハードコア。そういえば、スギちゃんとこういう話ってあまりしたことなかったよね。

SUGIZO:ハードコアの真のカッコ良さって、音の激しさと共にその意識だと思うんだよね。そこで言うとCRASSが特に好きで。ポップ性とかエンターテイメントではなく、そういうところに感動していた子供のころと近い感覚で、BRAHMANが好きなんだよね。当時のLUNA SEAの見られ方とは真逆だった。

-LUNA SEAの"見られ方"とは、どういうことですか?

SUGIZO:いわゆるヴィジュアル系というところに属していて、軟派な見られ方をしてたと思うんですよ。そこに対して"俺は本当はここじゃないのに"っていうコンプレックスもあったのかもしれない。

-"ヴィジュアル系"と言われていたことへのコンプレックスについて、もう少し話を聞かせてもらえますか?

SUGIZO:カテゴライズされるのがすごく嫌だったんです。もし、そのシーンを自分がカッコいいと思えていたなら良かったのかもしれないですけど、正直なところ、周りのバンドや後続のバンドのほとんどは、まったくカッコいいと思えなかった。俺たちは、パンクの中でもハードコアの反対側にいた、当時はポジティヴ・パンクと呼ばれていたゴス、BAUHAUSやSEX GANG CHILDREN的な、ダークで過激なことをやりたくてああいうメイクとかケバい格好をしてたんですけど、それが軟派な鎧みたいになってしまって。

-ニュー・ウェーヴやポスト・パンクを吸収して、90年代だとSUEDEのような、ダークサイドからグラム・ロックを解釈したようなバンドともリンクしているという評価も、LUNA SEAに対して少なからずあったと思うんです。

SUGIZO:その音楽的な部分が、自分たちの表層的なイメージで妨害されていたんですよね。だから、純粋に音楽だけを聴いてほしいと思ってたんですけど、それでメイクをやめるのも癪に障るというか違うというか。

TOSHI-LOW:当時のああいう見た目のバンドの人たちって、漠然と"やっちまえ"みたいなことを言う人が多いイメージだったんだけど、スギちゃんがテレビのインタビューかなんかで、格好に対するアイデンティティとか、"それはあなたの生き方と変わらない"みたいな感じでちゃんと喋ってて、他の人たちとはイメージが全然違って、今振り返ると"この人面白いなぁ"って思ってた。

-2017年にリリースされたSUGIZOさんのソロ・アルバム『ONENESS M』は各曲にゲストを迎えられていますが、TOSHI-LOWさんと作られた「Garcia」についても話を聞かせてください。いわゆるポップ・ソングやロックの様式とは異なる電子音楽にTOSHI-LOWさんの語りが乗った、作品中でもっとも異質な曲です。

SUGIZO:TOSHI-LOW君の声がすごく好きで、参加してもらいたいなって思ってオファーして。それでOKの返事を貰って、音を送ったら"なんだこれっ!"って返事が来たんだよね。

TOSHI-LOW:"どうすりゃいいんだ!"って思ったんだよね。ほんとに。今までに聴いたことのない、粒々みたいな音がいっぱい入ってて、もはやいじめかと思ったよ(笑)。

SUGIZO:現代音楽や初期の電子音楽が好きで、実はそれって、過去の音楽や芸術の在り方に対する反抗なんだよね。当時の常識をぶち壊すために、ハングリー精神やある意味アナーキズムを持った作曲家たちが作ったシーンには、パンクの生き様と共通する部分がある。だからその要素を持った音に、TOSHI-LOW君の声をフィーチャーしたかった。

-歌うのではなく語る。そこはどうでしたか?

TOSHI-LOW:方法論としては使ったことはあるけど、あそこまでドープにやったことはないので、どうしていいかわからなかった。でも、聴こえてくる音の隙間を縫ったメロディやシャウトではないなっていうのはあったかな。