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INTERVIEW

J

2021.11.02UPDATE

J

インタビュアー:杉江 由紀

雷(いかずち)にでも打たれたかのような衝撃。ロック・ミュージックと出会った頃に感じたというその初期衝動を、Jはここにきてコロナ禍という壁と対峙したとき、改めて音楽と自分というものについて見つめ直すことにより、強く感じることになったのだという。LUNA SEAのベーシストでありコンポーザーでもあるJが、約四半世紀にわたりここまで積み重ねてきたソロ・ワークスの最新形。今作『LIGHTNING』で彼は自身のルーツ・ミュージックたちに対するリスペクトを踏まえながらも、さらに磨き抜かれた純度の高いロック・サウンドをもって、熱きヴァイブスとグルーヴの塊をここに具現化してみせることに成功したのだ。


相変わらず暴走していたいな、という思いは詰まってますね


-前作『Limitless』から2年3ヶ月ぶりとなる、待望のアルバム『LIGHTNING』がここに完成したわけですけれども。この2年3ヶ月という月日は、その大半がコロナ禍であったとも言えるのではないかと思われます。具体的には、Jさんが今作の制作に入られたのはいつ頃からのことだったのでしょうか。

もともと曲はいつも作っていて、それをデモという形で残しているんですけど、このアルバムに関して言えば、アルバムを作るにあたって新しく書いた曲も多くて。やはりこれだけ2年3ヶ月のインターバルが空いたというのは、自分自身のタイミングと、パンデミックの影響もあったかもしれませんね。そもそも、2020年の冬にLUNA SEAがツアー("LUNA SEA 30th Anniversary Tour 2020 -CROSS THE UNIVERSE-")を始めたタイミングでパンデミックが始まった結果、早々にスタックしてしまったんです。

-無事に行われたのは最初の2会場だけだった、という状況でしたものね。

当時はまだ何もコロナウイルスの実態がよくわかっていなかったし、とにかく"何が起きたんだろう?"とか"これからどうなってしまうんだろう?"という感じで、僕たちだけではなくて世の中全体が混乱していたと思うんですよ。日常でもいろんなものが制限されたり。結局そこから次のアルバムを目指して進み出すことができるようになったのは、去年の夏前くらいからでした。

-だとすると、2月から夏前までの約半年の間Jさんは何を思い、どのようなことをされていたことになるのでしょう。

たぶんそこもみなさんと同じで、実際問題としてそれまでの日常とか、いろいろな活動を止めなければいけないような状況になりましたからね。僕もここまで音楽活動をしてきたなかでまったく初めてのことだったし、それまでのノウハウとか前例とかが通用しない状況になり、故に静観するしかなかったっていうところもあるし、今まで普通にできていたことができなくなったぶん、自分自身の中で"音楽とは自分にとってどういうものなんだろうか?"ということを改めて見つめ直す時間にもなりましたね。

-そうしたプロセスを経たからなのでしょうか。今作『LIGHTNING』は音像がまずソリッド且つ徹底的にロック然としていて、ある種の初期衝動に近い力強さを感じます。また、一方で歌詞の面では"夢"という単語を各曲の中に散見することができます。それらの要素をこのアルバムが擁することになっていったのは、思うにJさんの中での"音楽とは自分にとってどういうものなんだろうか?"という問い掛けに対する、ひとつの回答である可能性がありそうです。

あぁ、そういうところはあるかもしれませんね。最近は特に歌詞に関しては無意識だったり、音から受けるインスピレーションで難しく考えずにだったり、自然に出てきた言葉たちを尊重するようにしているんですよ。そして、音に関して言えば自分がやりたいのはやっぱりロックで。もちろん、ロックといってもいろんなスタイルはあるけれど、ストレートに、誰もが投げれないど真ん中を投げたいといつも思っていて。それから、とにかく音楽を"楽しむ!"っていうことがすごく大事なんだって、最近はより強く思うようになっていて。しかも、そこはバランスが重要なんですよ。

-といいますと?

ひとつの曲として聴いたときに、思いや言葉だけが重くなっちゃったり、音のほうだけが過剰に重くなっちゃったりするのは僕にとってはNGなんです。それが僕の絶対的なロック感なんです。すべてが絶対的なバランスで存在する曲が欲しいんです。

-では、ここからは個々の曲についてのお話もうかがって参りましょう。今作におけるリード・チューンは1曲目の「Wake Up!」になるわけですが、このシンプルなタイトルといい、冒頭には"もう一度始めよう そう限界の向こう"、最後には"目覚めの時が来た Just Now!"という率直なメッセージが込められている歌詞といい、荒々しく硬派に響くロックンロールと相まって、初級からいきなりストレートの剛球が飛んでくるような印象になっておりますね。

いつも探し続けてるのは自分自身をワクワクさせてくれるものなんですよ。それを追っかけ続けて、今に至るというか(笑)。今この年齢になっても未だにやんちゃな連中とロックできてるっていうのは本当に最高なことですね。そして、この曲を作ったときはほんとに自然と"Wake Up!"っていうこの言葉がふと浮かんだんです。目覚めろ、気づけ、みたいなイメージでね。みなさんの中でも知ってる人はいるかもしれないですけど、僕のベースには昔から"WAKE UP! MOTHER FUCKER"って書いてあって。そういう意味では、この「Wake Up!」というタイトルのあとにどんな言葉が続くかというのは(笑)、みなさんきっとすぐ想像がつくんじゃないかなと。

-先ほど、今作の中からはある種の初期衝動に近い力強さを感じると申し上げたのですけれど、この「Wake Up!」にはJさんのロック・ミュージシャンとしての原点に近い部分が凝縮して詰め込んであると言えそうです。いい意味で、最高にオトナゲナイです(笑)。

あはは(笑)。相変わらず暴走していたいな、という思いは詰まってますね。出会ったときからロック・ミュージックは僕に自由を与えてくれたものだった。今でも"自分がドキドキできるような音を作りたい!"という気持ちが、またここで塊になったような曲になりました。

-もとをただせば、パンク・ロックなどはかつての英国で抑圧された労働階級の人々の間で、自由を求めるひとつの手段として生まれたものだったという経緯がありますし、コロナ禍によって自由を奪われてしまった状況下で生まれた曲だと考えると、「Wake Up!」から感じるロック魂からはリアルな反骨精神を感じます。

そうですね。自分の聴いて育ったロック・ミュージックたちが抱えていた背景というのは、たしかにそういうものが多かったんだと思います。僕はSEX PISTOLSもそうだし、いろんなレジェンドになっているロック・バンドたちの音楽が大好きだし、これはそういう音楽を栄養としながら育ってきた自分が、今の時代にその精神を背負いつつギラギラした音楽をやれたらいいな! と目指しながら突っ走ってる、そんなヤツが作ったものなんですよ。つまり、レイドバックとかクラシック・ロックっていう言葉では片づけられないような今の時代に存在感を持たせたものにしたかったんです。

-そんな「Wake Up!」をリード・チューン、そしてアルバムの1曲目に据えた理由についても教えてください。

アルバムを作っていったなかで、行程でいうとちょうど半ばくらいだったかな。この曲の全貌がイメージできたときに、直感的に"これがオープナーになったら面白いだろうな"って感じたんです。ちなみに、レコーディングしていたときは、メンバーの間でZZ TOPとMOTÖRHEADを掛け合わせた"ZZ head"っていう仮タイトルを付けてました。"今、意外とそんなスタイルの音楽ってないよね。カッコ良くない?"って言いながら(笑)。

-ましてや、イマドキこの音は非常に希少ですし贅沢ですよ。さらに言えば、今作はこの曲に限らずアルバム全編を通してある意味ではDTM全盛の時代に逆行する、生音至上主義的なサウンドに仕上がっている印象です。

そうそう、これは"あえて"なんですよ。僕らの世代はとても幸せなことに、アナログの時代を経験したうえで今のデジタルな時代を生きてますから。だって、昔デモ・テープを作るときなんて最初はカセット・テープを使ってたんですよ。楽器始めた頃はラジカセの前で歌ったり、楽器弾いたりしてましたもん(笑)。そのあとにアナログのMTRが出てきて、MDが出てきたり、DATが出てきたり。そこからいろんなときを経て物理ではないMP3とかのデータ・ファイルになって、DTMで音楽を作れるようになって。"プロ・トゥールスっていったい何??"ってときだってあった。そういうアナログとデジタルの良さの両方知ったうえで今こうして音楽を作れているので、そこはすごくありがたいなって思います。

-裸一貫での生音勝負なこのアルバムの世界は、実にエキサイティングですよ。

同時に、みなさんもミュージシャンのインタビューなんかで"グルーヴ感"っていう言葉をよく目にすることがあると思うんですけど、このアルバムで重視したのはそこでした。そして、このグルーヴ感というのは人間が作り出すタイミング。要は音のズレのことなんですよね。

-DTM的な解釈をすれば音がグリッドに合っていない状態こそが、グルーヴの生まれている状態であるということになるのでしょうか。

グリッドに合っていてもグルーヴするものもあるから一概には言えないけど、人と人との間に生まれるノリとか揺れとかズレがバンドのグルーヴ。例えば会話をしていてもノリが合う人と合わない人っているじゃないですか。音楽も要はあれと一緒なんです。仲間であるメンバーと楽しく演奏して"ノリが合ってるな、気持ちいい! 最高!!"っていうその感覚をアルバムの中にパッケージしたかったんです。だから、レコーディングしててもすごく楽しかったですね。

-メンバーと言えば、今作では「Starrrrs」をギターのmasasucks(the HIATUS/FULLSCRATCH etc.)さん、「Day by Day」をもうおひとりのギターのKazunori Mizoguchi(ex-ヌンチャク)さんが作曲の面でも参加してくださっているそうですね。

masasucksとごっちん(Kazunori Mizoguchi)はずっと一緒にやってきてるメンバーなんでね。"なんか作ってよ"ってお願いして作ってもらいました。「Starrrrs」はmasasucksに"例えばダンサブルなビートでもカッコいいロックって作ってみたいんだよね"っていう話をしていたら出てきた曲ですね。ごっちんの「Day by Day」はもう結構長い付き合いでもあるし、そういうなかで感じてきたであろう僕の変化も踏まえながら、今の俺たちがバンドとしてやったときにカッコいいもの、っていうイメージで作ってくれたと思います。

-個人的には、インパクトの強いギター・リフが曲を派手に牽引する「FLASH」にも痺れました。

まさに「FLASH」はリフからできた曲でしたね。これはちょっと今までにない新しい作り方をした曲で、このリフをひたすら追いかけていきながら、曲構成はあとで決めていった感じだったんですよね。そういう意味でいったら、これは昔からいろいろと曲を書いてきたなかで感じていた、ひとつの呪縛みたいなものから解き放たれることができた曲でもあるかな。

-その呪縛というものについて、もう少しうかがってもよろしいですか?

例えば、聴きやすい曲構成の呪縛、自分のスタイルとしての呪縛、自分はそういったものにとらわれている人間のひとりであるような気がしてならないときがあるんですよね。

-古くは初期LUNA SEAの「TIME IS DEAD」や「PRECIOUS...」から感じられた、ロックでいてキャッチーさも兼ね備えたあの作曲クオリティが相当に印象的でしたし、そのあともコンポーザーとしてのJさんは「ROSIER」、「TRUE BLUE」など多くのヒット曲を作られてきております。そのキャリアが呪縛になっているとは因果なものですねぇ。

そこに縛られているつもりはなかったんですが、曲を作っているとつい無意識に同じ型にに行きがちなところはあるというかね。まぁ、それが自分のスタイルなので、なんの問題もないことなのですが。当然壊してみたくもなる(笑)。根本的にはポップな人間で、最初にSEX PISTOLSとかを聴いてロックを始めたので、ああいう強烈なフックのある曲が好きなんですよ。ただ、時々"気がつくとそこにとらわれてしまっているのかもしれない"と感じることがあって、今回この「FLASH」では意図的にいつもと違う曲の作り方をしてみたわけです。

-もっとも、この「FLASH」のギター・リフもフレーズとしてはなかなかキャッチーだと思いますよ。ポップな雰囲気とはまったく違いますが、とても耳に残ります。

嬉しいです。そこは当然そうあるべきだと思っているんですよ。自分のスタイルとか作風として"耳に残るもの"っていう特徴は間違いなく必要なものだと思いますし、だからこそ壊したくもなれば、進化させていきたくもなるということですよね。今回の「FLASH」では実験的なことができたので、とても達成感がありました。