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INTERVIEW

BRAHMAN

2015.08.21UPDATE

BRAHMAN

Member:TOSHI-LOW(Vo)

Interviewer:石角 友香

-20周年を迎えたバンドがベスト盤を出すのは珍しくないですけど、まさかBRAHMANがそういう作品をリリースするとは思ってもいなかったです。

これ、ベスト盤ではないんだけどね。

-(笑)聞くことなくなりました。

(笑)今までに作った曲は全部ベストだと思ってるんで、今回のアルバムが"ベスト盤"って言われるとすごく違和感がある。ただ、バンドを20年やってきたなりの流れもあって。ライヴでは20年前の曲も今年の曲も同じように直列で演奏しているから、スタッフから"ライヴのように聴ける音源が欲しい"って提案が出たときに"だったら自分が聴きたいと思う曲順でアルバムを作ってみればどうだろう?"って発想が生まれてきて。

-なるほど。例えば、2013年発表のアルバム『超克』以降にBRAHMANを聴き始めた人たちがインディーズ時代の音源を入手するのは難しいでしょうから、そういった意味では今作を待望している層もいるでしょうし。

そうだよね。また買い漁れみたいな話じゃないと思うし。ライヴで聴いてるような感覚でこれまでの楽曲を聴いてもらえて、20年の片鱗がわかってもらえたら、それは面白い作品になるんじゃないかなと思って。

-こうして42曲を並べてみて、バンドにとって音楽的なターニング・ポイントはいつだったと思いましたか?

いや、時系列で並べたわけじゃなくて、あくまでも"こういう流れで目の前でライヴをやったら観ている側は嬉しいんじゃないか?"って発想で作ったから、ターニング・ポイントって言われても、ちょっとわからない。自分たちの音楽が明確に変化したとは思ってないし。なぜかと言うと、自分たちの音楽は始めから変わった音楽だったと思ってるから。へんてこりんな音楽をやってるので、何がどうなっても結局へんてこりんじゃない?って認識があって。"BRAHMANらしいってどういう楽曲ですか?"って問われたら、ファンもスタッフも、たぶんみんな違うことを言うだろうし。

-バンドを始めるときに、こうなりたいというヴィジョンはあったわけですよね。ハードコアに民族的な要素を加えるという。それを一番始めに達成できた曲と言えば?

1曲目に作った「TONGFARR」で達成してると言えばしてるしね(笑)。......"達成"の意味はちょっとよくわからないけれど、コンセプトは「TONGFARR」のときからブレていないし、これで成し遂げたっていう感覚もない。それからずっと試行錯誤を続けているし。

-すごく異色なところから始まってると。

うん。めちゃくちゃ異色じゃないかな。自分たちのジャンルがわかんないし、音楽的なフォロワーもいない。初期のころから遅い曲も速い曲もいっぱいある。そう考えると、どこでどう変わったのかなんてポイントはあんまりない。毎曲、毎曲、大変だなって感覚だけで。そうやって苦労して生み出しているから、1曲1曲に対する思い入れもあるし。そうすると必然的に、ベスト盤なんか出せないと思っちゃう。

-時系列に沿わず楽曲を並び替えていって、面白いなと思ったことは?

うーん、これをライヴでやるのは大変かな、と(笑)。特に『THE EARLY 10 YEARS』を再現しようとするとキツいだろうしね。細かなことは考えないで作ってるので、声がもつかどうかもわかんないし。

-勢いで曲を作っていたということですか?

若さってつまり"勢い"ってことでしょう? 高さがわかっちゃったら誰も飛び降りない。わかってないから飛び降りるわけであって、だからこそそこにマジックが生まれる。バンドの初期って、マジックが生まれることが多いんだよね。でもバンドを続けていくと、大抵"初期のほうがいい"って言われる。続けていけばいくほど、そう言われることも増えていく。だからと言って俺は"今の作品を今やるのが一番いい"って言いたいわけじゃなくて。自分たちができる最高の状態で昔の曲を演奏すれば、すごく良いものを見せられるんじゃないか、今の自分たちによって過去をも変えられるんじゃないか、と思っていて。過去の曲を聴いて"恥ずかしいな"とか"こんなことやんなきゃよかったな"と思うんじゃなくて、今の自分たちにとって最高の状態でパフォーマンスすることで、"これすごくいい曲だったんだね"みたいな発見ができるんじゃないかなって思ってる。

-話が変わるんですが、映画"ブラフマン"の中でRONZIさん(Dr)が「其限 ~sorekiri~」の制作過程について"妥協"という言葉を使っていて。

"妥協"って言葉じゃねぇだろうとは思った。でもRONZIにとっては"妥協"って言葉がしっくりきたんだろうとも思うし、それはそれで正直でいいなと。それだったら俺だって妥協してるよ?って考える部分はあるけど、だからといってケンカにはならんのですよ。

-それは4人がバンドに近づくためにやってるから?

みんな自分を押しつけたいわけじゃなくて、最終的にBRAHMANになるためにやってるからね。BRAHMANは4人組のバンドだけど、5人目みたいなものが存在して、そいつが一番良いと思えるように試行錯誤を重ねている。バンドって、4人でひとつに合体するロボットみたいなもんなんだから、手だけ動いてもしょうがない、足もしっかりしなきゃいけないし、必殺技を繰り出すんだったらみんなで一斉にレバーをぐいって引かなきゃいけない。心が離れていると怪獣にやられてしまう。曲を作るって、そういう作業だと思う。

-「其限 ~sorekiri~」のレコーディングはずっと4人で、最終的に楽曲があるべき形が出てくるまで自分たちを追い込んでいました。アルバム『尽未来際』の中には、違う角度から見てみるといった、「其限 ~sorekiri~」とは異なる作り方をした曲もあるんですか?

もうちょっとメロディや進行をかっちり決めてきて、"こういうのやりたいんだけど"って出す曲もある。あと、歌メロから作った曲は、メロディだけ俺が歌ってバンドでアレンジしていく場合もあるし。「其限 ~sorekiri~」は一番効率の悪いパターンだったというだけで。