DISC REVIEW
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"ロック・バンドにとっての日本武道館公演"という意味を繋ぐこと、東日本大震災、さらには阪神淡路大震災からの人々の痛みと前を向く意志を繋ぐこと、そしてニュー・アルバム『梵唄 -bonbai-』を世に送り出したばかりのBRAHMAN自体を繋ぐこと。"繋いでいく"ことが際立った約100分ノンストップのあの日のライヴを作品として完璧に捉えたチームの尽力に、まず最大限の尊敬を送りたい。武道館の天井をスクリーンに使うという前代未聞の演出、コラボ・アーティスト総出演など、この日限りの見どころも満載。だが、現場では知り得なかったメンバー4人の表情や、細部にわたる演奏への真剣な態度は、今作が新たにもたらしてくれる発見だ。何度でも原点に戻り、何かを始める勇気を得られる真実の記録である。 石角 友香