DISC REVIEW
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コロナ禍が生んだバンドの新たなライヴ表現として、"静"のベクトルの楽曲を有観客、着席スタイルで実施した"Tour 2021 -Slow Dance-"の映像作品とツアー・タイトルでもある「Slow Dance」の双方で現在のBRAHMANを掴むことができるコンセプチュアルな作品。「KAMUY-PIRMA」に始まり、緊張感に満ちた演奏が続き、「霹靂」では圧倒的な演出で引き込まれ、震災からの10年の変化を「鼎の問」では現在の福島の映像で映し出す。ライヴ映像で感じる新曲「Slow Dance」と、音源でのそれで感じることはもしかしたら異なるかもしれない。自分の内面に起こる反応を確かめることで成立する多角的な音楽作品。音像は違えども、これぞBRAHMANらしい試行錯誤なのだと思う。 石角 友香