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INTERVIEW

BRAHMAN

2017.04.05UPDATE

2017年04月号掲載

BRAHMAN

Member:TOSHI-LOW(Vo)

Interviewer:石角 友香

映画"ブラフマン"主題歌の「其限」から約1年9ヶ月ぶりとなるニュー・シングルには"不倶戴天 -フグタイテン-"というタイトルが冠された。"ともにこの世に生きられない。また、生かしてはおけないと思うほど、恨み・怒りの深いこと。また、その間柄"という意味を持つ言葉だが、ここで表現されているのはそれでも同じ空の下に生きるという"戴天"も強く意識することになる歌詞や曲の構造である。結成20周年を経て、バンドが向かう先、そして今現在の地平とはどこか。ユーモアを交えながら、年々、バンドは楽しくなっていると語るTOSHI-LOWに、新曲についてじっくり訊いた。

-結成20周年イヤーを過ぎてリリースされる今回のシングルは、3曲全部でひとつの印象を残す気がしました。

そうですか? 制作時期が近いので、共通で持ってるものはあるかなぁって気はしますね。

-ぶっちゃけ、ここ数年で、TOSHI-LOWさんが近づきやすい人になったと思うんですよ。でも最近のライヴではあまりMCもせず、ひたすら演奏しているとか。

別にMCが自分たちの重要な構成物ではないから。ライヴで叫んで叩いて弾きまくればそれで伝わるし、MCは伝わってるうえでのおまけだと思ってるので。あくまでおまけはおまけでしかないっていう考え方。だけど、おまけはおまけで大事じゃないですか? おまけだからって、ちゃっちいものはいらんじゃないですか。それだったらついてない方がいい。だから、なんかつまんねぇMCのバンドとかを見ると......。

-(笑)どういうのがつまらないと?

場所名を連呼して"行くぜ!"、"かかってこい、お前らそんなもんか?"とか言ってるのが象徴的です。"お前らそんなもんか"って、お前がそんなもんだろ、この程度にしてんのはお前がそんなもんだからだよ! って思う(笑)。エンターテイメントとして、ある程度のクオリティを出すために決まり事がしっかりあることはもちろんなんだけど、俺が見たいのはその日にしかできないその瞬間のライヴ。だから、俺は別に演奏を間違えたとしても、そのバンドがいいと思えばいいかなと。それはその人たちのライヴでしか見れないことだから。自分がチケット買ってライヴハウスに通ってたころも、そういうのは逆に"お、いいもん見れた"とか、あたふたしたところも面白かったから。で、そのトラブルをどうやっていい方向に変えていくのか? ってところにその人の本当の力量が見えるし。マイクの音が出なくなってしまったときに、それで諦めてしまうんじゃなくて、お客さんに歌わせるとか機転の利く人もいるだろうし、そういうのがほんとのエンターテイメントだと思ってるから。

-今回はこれまでライヴのMCで話していたようなことも、曲の中に非常にわかりやすい言葉で表現されているので、すごくストレートに伝わるなと思ったわけです。

おぉ、よかった。

-そもそもどういうモチベーションで始まっていったんですか?

そろそろシングルを出さないとっていうのがありまして(笑)。追われるのは嫌だけど、作ろうと思わないと作らないっていうのもあるし。「守破離」(2016年12月配信リリース)は格闘技イベント(キックボクシング・イベント"KNOCK OUT")のテーマ曲として作って、そういう縛りがあると目的がはっきりしてるから、"だったら強そうな音はどうかな?"って考えられることが楽しかったので。そういうのもあって、"シングル、久しぶりに出そうか"みたいな話になったときに、自分でギターを弾いてたら、バッて「不倶戴天」(Track.1)ができちゃって。

-"バッ"てですか?

"バーッ"とか"わーっ"とできたとか、久々に擬声語だけで成り立ってる感じをみんなに説明したんですよ。"ドラム? ダーッて感じ"、"ドドドドドッて感じ"とか。それをそのまま伝えたかったんですよ(笑)。だから言葉としては、人によっては重かったり、強かったりするんだろうけども、もうこれぐらいじゃないと音に乗らないんですよね。

-たしかに1回目に聴いたとき、いつの時代のなんだったっけ? っていうぐらい音像がストレートでしたね。

うん。30年前に未発表になってしまったバンドの新譜を聴いたかと思うでしょ(笑)?

-(笑)ギターを持ったときにコードやビートが出てくるってことは、表現したいことの種類がはっきりしてたんじゃないですか? 怒りによってなのか、焦燥感なのか。

意外とこれまで、ああいうスピード感の曲って自分たちの中になかったんですけど、ああいうスピード感を出したいなと思って。俺、Lemmy(Lemmy Kilmister/※2015年末に急逝)がいたときの最後のMOTORHEADを感動しながら観てたんですよ。あの演奏って、ビートが速いとかそういうことじゃないじゃないですか?

-速いのに重い。

そう、そういうこと。しかも、ドライヴしてる。ああいうのをやってみたいな、と。でも俺らはストレートにやるバンドでもないし、ストレートにできる技量もないしと思いながら、自分の中で消化したああいう音楽ってなんだろう? と思って、なんとなくギターを弾いてて、あの重いスピード感を出したくて。