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INTERVIEW

BRAHMAN

2017.04.05UPDATE

2017年04月号掲載

BRAHMAN

Member:TOSHI-LOW(Vo)

Interviewer:石角 友香

-それは震災直前ごろからの自分の歌へのコンプレックスと向き合ったり、向き合って解放されたぶん、きっと強くなってるんだと思うんですけど。

なんか上手に諦めてるとこも自分の中にあって。万能じゃない、若ぇとき思ってたみたいに"なんでもできんじゃねぇか?"とか"もっと高く行けんじゃねぇか?"とかって、今でも思ってる部分があるんだけど、万能じゃない。生き方として不器用だし、不器用なりに特化したものしかできないということに、やっと体感上で気づいた。それに40年かかって、やっと俺、こんなもんなんだってことが本気でわかり出したというか、実感してる最中なので。でも、そうなってくると捨てたもんじゃねぇなってところもあるわけですよ。

-そして「ラストダンス」(Track.2)にはTHA BLUE HERBのBOSSことILL-BOSSTINOが参加してますが、ほぼBOSSのラップで構成されていて。

BOSSはもともと書く物量が全然違うし、それはもうわかっていて、BOSSがやりたいだけ、やりたいぶんだけ乗っけてもらいたかった。でも、いわゆるサビみたいなところは、逆に俺はキュッと絞った方がBOSSと俺がいる役目が際立つと思った。だって俺は今、漢字何文字かだけで表現することができるんだから。それを叫ぶだけで、表現できる。逆に言えば、長い文章が必要ないことをやってる。物量じゃない、熱量だと思ってるので。BOSSは熱量があるうえであんだけのスペースが必要っつうか。それだけのことだと思います。

-「ラストダンス」も「不倶戴天」で歌われていることと近しい印象を持ちました。

BOSSも同じことを感じてたんじゃないですか? やっぱり社会がくそったれで、政治がくそったれであることは重々わかったうえで、くそったれの原因がどこにあるのかわかってるわけであって。"おめぇだろ?"、"俺だろ"っていう。じゃあ何も言えねぇじゃない。

-だからこそ言わないと。

そう。だからこそそうじゃなく、なりたい自分でいなきゃいけない、ならなきゃいけないわけであって、それを言葉にする、それを生き様にするっていうのがラッパーとしての生業なんだっていうのをここでも出してくれてるんだと思うし、それに見合うだけのリリックだし。自分たちでやっといてなんだけど、「ラストダンス」に関しては"おぉっ!"て思ったね。

-そして「怒涛の彼方」(Track.3)のビートはツーバスなんですか? 面白いアレンジですね。

ツーバスだけではなくてフロアタムとか、そのへんも使ってますね。そう、ウケてほしい。"そこ行くの?"みたいな(笑)。さっきの一辺倒の話に戻るんですけど、単純に、顔に傷のあるごつい人がほんとに怖いことしか言わなかったら、ただの怖い人じゃないですか。でも、ミッフィーが好きとか、甘いものが好きとかわかったら、いきなりその人のことを愛せるじゃないですか。"間抜け"とまでは言わないですけど、なんかスコンとひっくり返る、そういうびっくりすることってすごく好きで。それをちょっと、RONZI(Dr)の"ドコドコドコ"っていうビートを"それいいね"っていうとこから作っていって。でも、そのままだとヘヴィ・メタルというかハード・ロックみたいになるから、それがどうなったらスコン! ってことになるのかな? と考えて、あの展開になった。"笑っちゃうよね"みたいな、でもそれでいいっつうか。

-平歌にあのビートはほんとに意表を突かれます(笑)。

でも、笑われても最後まで見られたら勝ちだから。鼻で笑われて出ていかれたら負けだけど、笑ってて、"あ、次なにやるのかな?"と思われたら勝ちだと思ってて。それは興味だもん。すべてが手を合わせて"感動しました"っていう人じゃなくていいし。俺はもともとパンクとかって、そういう笑っちゃう部分ってあった気がして。それはお笑いじゃなくて、どこか憎めない部分っていうか、怒りだけじゃなくて面白い、ほんとは茶化してる部分もあったと思うのに、それがいつの間にか精神性として真面目なものだけが切り取られてしまうとなんか違う気がするから。