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INTERVIEW

BRAHMAN

2015.08.21UPDATE

BRAHMAN

メンバー:TOSHI-LOW(Vo)

インタビュアー:石角 友香

-効率の悪いやり方になる必然があったんですか?

必然か偶然かわかんないことを生み出すために、効率の悪さを選んでしまう場合もあるんじゃない? 簡単なことばかり選んでしまったら、生み出せるものは少ないから。あの映画も、偶然を必然にしていく作業の連続で作られていった作品だと思うので、曲と映画が呼応していくのがたぶん正しい形だったんじゃないかな。ノープランから始まって、何もないところから画を撮っていって。"どうしよう? どうするのか?"っていう思いが常に箭内道彦(※映画"ブラフマン"の監督)の中にあったと思うし。それに対して"主題歌をこういう形でつけます"って頭から決めてしまうやり方では良いものはできなかったわけであって。

-なるほど。

映画がどういう形になるのかもわからなかったしね。でも、何にもないところから何かを生み出すときには、みんな直感に頼ると思うの。そして、そういう直感って、実はすごく当たっていることが多い。今まで培ったその人なりの経験や相手を見通す力が無意識のうちに有効に機能して......お互いの関係性がある程度しっかりしていると、相手が喜ぶアウトプットを互いに出し合うような作用が働いて。結果、生み出すものがだんだん必然性を持った作品として仕上がっていく。曲作りも、最終的には一緒だと思うんだよね。妥協だって感じる部分ももちろんあるんだけど、じゃあなぜそこで妥協をしなきゃいけないか?って理由は今話したような直感に基づいているわけであって。だから、やっぱりできあがる曲には必然性があるんだと思う。

-映画の中で、TOSHI-LOWさんは"ちょっと今までに書いてないような歌詞を書きそうだ"って、ポツポツ話していましたよね?

"書きそうだ"とは言ってないかな。歌詞に関しては箭内からある程度示唆があったので、自分の手癖だけで作るわけにはいかないと考えていたから。もちろん、自分が使いやすい言葉だったり今までのパターンだったりはあるけれども、今回はみんなが自分なりに新しいことに挑戦していたから、俺もメロディや詞に関して能力かけて苦しんで生み出さなければ意味がないなと思っていて。ただ俺は、普通の人と逆のことをやってきた人間で、みんなが普通にやることが苦しいから、苦しんで生み出すっていう方向が逆かもしれないけど。でも大体、ふたつの物事に相対したときに"こっちのほうが苦労するんだろうな"って選択肢のほうが自分にとっては意味があるので、そこに関する直感はいつも間違ってないと思ってる。......やっぱり、自分に押し潰されるんだよね。自分の才能のなさなんて自分でわかってるんだけど、それでも何か自分に期待してしまう部分がある。それから、ギリギリじゃないと良いものが出てこなかったり、じゃあどうやってそこまで自分の気持ちを高めるかって苦心したり、そうしているあいだに集中力が切れてしまったり......変な話、諦めてしまうんじゃないかと思ってしまう自分もいるし。

-そして『THE LAST 10 YEARS』は文字通り最近の10年の楽曲から構成されています。 BRAHMANは震災後の振る舞いがそれまでの10年と大きく違ったにもかかわらず、『超克』収録曲やそれ以降の楽曲を過去のアルバムの楽曲と混在させても違和感なく聴けるんだなと思いました。

根本的には変わってないから。ただ、自分の中にあるものを表出させる方法やその出し方の割合が違ってきたのと、これまで自分があえて出さないでいいんじゃないかと思った部分をあえて出しているだけの話で。自分の中にないものを作品にすることはできない。自分の中に1%もないものはそもそも外に出てこないから。そう考えていくと、昔の曲がただ寒々しいのかというと、そうでもなくて。すごく突き放してるように聴こえる曲でも、実は愛情の裏返しだったりして。ただ、自分も若かったし、そういう......ただ切れ味だけで進んでしまっている部分もあったので、作品から心の機微みたいなものは見えづらかったんだと思うんだよね。なので、詞を読むと、自分でも薄々わかってたんだなって感じられるものは昔の曲にもある。

-映画の中でも話してましたけど、2年前にオリジナル・アルバムが出たときとはまた違って、この『THE LAST 10 YEARS』からは、心の中に変わらずにある孤独と前を向いている気持ちの両方が感じられます。

話したっけ?

-たしか。

年齢が20歳違うからね、単純な話。0歳だったら20歳で、20歳だったら40歳。だから、変わらないほうがおかしいわけであって。とは言っても、時代に呼応して自分を合わせていったらただの若作りおじさんみたいになってしまうし。そういうことをしたいわけではなくて、その都度、勝負していきたいと思っている。自分でも最後の直線に入ってきてるとも感じているしね。ラスト・スパートだと思ってるよ。

-それは何年ぐらいの?

わかんない。それが10年続くのか20年続くのか、ゴールだと思ってた先に何があるのかはわかんないけど、思いっきり走りたいとは思ってる。バンドを始めたころから、突っ走ってぶっ倒れたところがゴール、それでいいって思ってるのはあまり変わってないんだよね。だからいろんなことが変わったのも事実だけど、自分のバンドに対するやり方や思い、もっとゴチャゴチャにしていいって気持ちは、そんなに変わってないんだなぁって正直感じてる。映画や震災以降のヒューマニズムみたいな一面に触れてもらったことで、違う側面から語ってもらえる機会も増えて。人間的には両面から照らしてもらえるのは嬉しいんだけど、かと言ってじゃあその"いい父親ですね"みたいな評価はバンドとしてはなんの意味もない。いい人間とか悪い人間とかじゃなくて、ステージに立ったときにどうなのか、それだけがやっぱり問題であって。もちろん、被災地での活動とかも続けているけど、それはステージに立つときにはどうでもいいことだし。ただ、ステージに立つための、男としての力量を上げてくれることだとは思っているから、もちろんどれも一生懸命やりますよ。......なんかやっぱり、全部バンドに返ってくる気がしてる。

-独特のヴィジョンの元に20年やってきて、でもいい意味で遠大になってないのがBRAHMANのユニークなところで。

4人だけでやるっていう枠が決まってるからね。オーケストラを入れてとか考えないし、民族楽器そのものを使ったらダメだと思ってるから。一番初めのコンセプトで決まってるんですよ。偽物をどうやるかっていうのが始まりだから、"おまえら偽物じゃん"って言われてもそりゃ当たり前じゃんって思うだけで。20年かけて"本物の偽物"になった気がする。

-なるほど。BRAHMANをずっと聴いてきた人も、このアルバムで42曲を通して聴くとまた違う流れを発見できるんじゃないかと思います。

そういうふうに聴いてもらえたら、嬉しいよね。