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LIVE REPORT

coldrain

2016.11.01 @新木場STUDIO COAST

Writer 村岡 俊介(DJ ムラオカ)

去年9月19日に新木場STUDIO COASTにて行われたファン投票でセットリストを決める一夜限りのワンマン・ライヴ"SETLIST ELECTION LIVE 2015"。そのライヴのMCでMasato(Vo)が"来年も開催します!"と突発的に放った言葉が現実となったのが今回の"SETLIST ELECTION TOUR 2016"だ。場所は再び新木場STUDIO COASTだが、去年10月リリースのフル・アルバム『VENA』、そして今年8月リリースのニュー・シングル『VENAⅡ』が彼らのプレイリストに新たに加わったことで、去年とは違ったセットリストでのライヴとなるのではないだろうか。また活動初期にホームにしていた小規模ライヴハウス26ヶ所を巡る"原点回帰全国ツアー"直後の公演ということもプレイやパフォーマンスにどういった影響を与えているか、そういうことも確認できればと思い会場へと向かった。

SEが終わると、ステージ前に張られた白い幕に"ARE YOU READY"の文字が投影され、メンバーのシルエットが白い幕に浮かび上がった瞬間、会場中から大歓声が上がる。ヴォーカル Masatoの"新木場ーー!!"というシャウトと共に『VENA』収録の「Runaway」で"SETLIST ELECTION TOUR 2016"がスタート。出だしからアッパーなラウドロック・チューンに会場も一気にヒートアップしセンターには早くも巨大なピットが出現、勢いそのままにアグレッション満載な「To Be Alive」へ。会場のボルテージがもう一段上がり、歓声が怒号へと変化。獰猛な楽曲のパワーに振り回されることなく、楽曲の持つ魅力を最大限に活かしたテクニックやグルーヴ、パフォーマンスを魅せつける様はまるで熟練の猛獣使いのようだ。曲間を取ることなく流れるように「Wrong」、「No Escape」を叩き込む。「Wrong」ではMasatoの伸びのあるヴォーカルに負けじと観客のシンガロングが会場中に響き渡り、「No Escape」では全員を一斉にジャンプさせ会場が大揺れに。開始からアグレッション全開の4曲を叩き込んだあと、Masatoが初めてMCを挟む。"買ったばかりのTシャツがヨレヨレになります。明日は身体がボロボロで声がガラガラになります。けどお前らは今日2016年で最高の1日を過ごすことになる! 行こうぜトーキョー!"。ここから再び「24-7」、「Die tomorrow」、「Given Up On You」、「The Maze」とポスト・ハードコアやラウドロック・チューン寄りのアグレッシヴな楽曲のみのセットリストで畳み掛けていく。「24-7」では観客を左右に分け、曲が始まった瞬間に左右の観客が激突する"ウォール・オブ・デス"を巻き起こす。まさに30分のセットリストを組んでいるかのごとく全力で突っ走る。筆者は2階の関係者エリアから観させてもらっているが、実際フロアでピットに揉まれているキッズからするとぶっ続けでへヴィな楽曲のオンパレードという、体力を削ぎ落とされる恐ろしく"ドS"な序盤のセットリストなのではないだろうか。

「The Maze」演奏前にMasatoが、"次の曲は大事なゲストが必要なんですが、今日来れなかったのでお前ら全員の声で完成させてくれ!"とSiMのMAHをゲスト・ヴォーカルに迎えたこの曲のMAHのパートを全員に託しプレイ。その後ようやくミドル・テンポで四つ打ち感のあるダンサブルな「A Tragic Instinct」で一旦クールダウン。"去年この場所で来年もやるって言って、今日ここに立っています。あなたたちのおかげです、ありがとうございます"と感謝を述べ、"去年俺たちが勝手にメンバー曲として入れた新曲がありました。今回のファン投票ではその曲がかなり上の方にランクインしてました。そうやって新曲も好きでいてくれることがすごく嬉しいです。その曲をやります"とMCのあとに演奏されたのが「Gone」だ。会場中の観客のクラップ(拍手)がテンポ・アップしていくなか、エモーショナルなサウンドに乗せてMasatoがラウド・シーンきっての歌唱力で堂々歌い上げる。4thアルバム『VENA』収録のリード・トラックだが、リリース直後は既存のcoldrainの楽曲と趣を異にする雰囲気に戸惑うファンが多かったが、今ではすっかり受け入れられているようで会場中が大合唱に。彼らのターニング・ポイントになった重要な1曲であることは間違いないだろう。カバー・ソング「Stuck」を挟んでそのあとにプレイした、ポスト・ハードコアとエモーショナルなモダン・ロックが融合した名曲「The War Is On」もそうだが、こういった押し引きのある楽曲は、完成度、演奏力、表現力すべてにおいて力技で押し切る凡百のメタル、ラウド・バンドとは一線を画していることを再認識させられる。"激しい曲は好きですか、頭振るのは好きですか?"とMasatoが観客を煽り、ダイバー続出なカオティックでブルータルな「Fire In The Sky」などをプレイ。

10月31日に開催したZepp Nagoyaのハロウィン・イベントで仮装していたMasatoのズラが2曲目で取れてしまった話から、アルバム全曲再現ライヴやcoldrain主催の名古屋でのフェス開催、オーケストラ・バックのライヴの実現など、彼らの思い描いている夢の話を優しく語ってくれた。そんなリラックスしたムードのなか、暗転したステージで柔らかいピンスポットライトをY.K.C(Gt)とSugi(Gt)、そしてMasatoの3人が浴びながら「Miss You」、「8AM」と2曲のアコースティック・セットを披露。目を瞑って聴いていると繊細であたたかいアコースティック・サウンドの1音1音が胸にスッと沁み込んできた。
アコースティックでリラックスした心地いい空間を作った流れを壊すことなく会場全体のシンガロングが感動を誘う「The Story」へと。「Gone」もそうだが、こういった彼らの新機軸である壮大なスタジアム・ロック・サウンドは本当に心地よい。ここから再びトップギアに入れ直し、アグレッション全開なセットリストで突き進んでいくことになる。まずはY.K.Cのフラッシーな即弾きが体内のアドレナリンを即アゲする「Six Feet Under」で会場のボルテージは再びピークを迎え、火に油を注ぐかのごとく、"Sugiもう一発見せてやれ!"というMasatoの合図と共にSugiのグルーヴィでタフなリフが特徴の「Adrenaline」、そして「Rescue Me」をプレイ。Masatoが"新木場、まだまだ元気なようだからヤバい奴呼んじゃっていいですか"という掛け声でCrossfaithのKoieがサプライズ・ゲストとしてステージに登場し、coldrainをネクスト・レベルへ押し上げた名曲「The Revelation」をツイン・ヴォーカル・スタイルで披露。Masatoに代わってKoieがスクリーム・パートを担当したり、ふたりで獰猛さを競うかのように同時にシャウトをかましたりと、へヴィネスが倍増したハードコア・スタイルに変貌を遂げた、まさにこの公演でしか体験できないスペシャルなパフォーマンスで本編の幕を閉じた。

アンコールを求める拍手のなか、突然不穏なSEが鳴り始めるとメンバーが再びステージに登場。Katsumaのテクニカルなドラミングが堪能できる「Behind The Curtain」、「Aware And Awake」、そして会場中でヘドバンが繰り広げられた「Evolve」とアンコールでも容赦なくアグレッシヴなセットリストで攻め立て、ラストにプレイした初期の代表曲「Final destination」ではブレイクのタイミングで本日一番のリフトが登場し、あたり一面無数のダイブが繰り広げられ大団円を迎えた。



[Setlist]
1. Runaway
2. To Be Alive
3. Wrong
4. No Escape
5. 24-7
6. Die tomorrow
7. Given Up On You
8. The Maze
9. A Tragic Instinct
10. Gone
11. Stuck
12. The War Is On
13. Fire In The Sky
14. Persona
15. We're Not Alone
16. Miss you
17. 8AM
18. The Story
19. Six Feet Under
20. Adrenaline
21. Rescue Me
22. The Revelation

[Encore]
23. Behind The Curtain
24. Aware And Awake
25. Evolve
26. Final destination

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