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LIVE REPORT

coldrain

2014.10.08 @Zepp Tokyo

Writer Reported by 山本 真由  Photo by HayachiN

昨年、BULLET FOR MY VALENTINEやBRING ME THE HORIZONも所属するUKの大手マネージメント会社、Raw Power Managementと契約、今年に入ってから単独、そしてBULLET FOR MY VALENTINEとのヨーロッパ・ツアーを行い、Download Festivalを始めとした海外フェスに出演......さらには、THE USEDやALL TIME LOWといった多くの人気バンドを抱えるアメリカのレーベル"Hopeless Records"との契約も決まり、海外リリースも果たすなど、目覚ましい勢いで国境を越えていったcoldrain。そんな彼らが、最新作『Until The End』を引っ提げ、1ヶ月弱で全14個所を巡る怒涛のツアーを敢行。そのファイナル公演が10月8日、Zepp Tokyoにて行われた。

当日会場に入った瞬間から、"今夜はすごいライヴになるな"という確信があった。というのも、当然ソールド・アウトとなった会場は超満員で、ライヴが始まる前からフロアの熱気は凄く、2階席までその熱量が伝わってくるほどだった。ファイナル・ワンマンということもあり、バンド自身気合いが入っていることはもちろんだが、それを迎えるオーディエンスのパワーが拮抗していないと、爆発的なライヴにはならない。そういう意味でも、今回のライヴは、ハイ・レベルなショウになるだろう空気感がすでに出来上がっていたのだ。
照明が落ち、SEが鳴るとものすごいどよめきが沸き起こった。拡声器を持ったMasato (Vo)が、イントロを歌い始める。バンドが、その日の1曲目に選んだのは、最新作の冒頭を飾る「Aware And Awake」だった。爆発的な曲の展開に合わせて、花火やレーザー・ライトのド派手な演出が飛び出す!いきなり100%のテンションでスタートしたライヴに、フロアのオーディエンスも全身で応える。そこから、畳み掛けるように「Evolve」、「To Be Alive」と続き、Masatoは最前のバーに乗り出して"かかって来い!"と挑発!もちろん"To Be Alive!"のシンガロング・パートは大合唱だ。そこから王道ラウドロックでバンドの演奏力が際立つ「Time Bomb」で躍らせ、"力を貸してくれ、TOKYO!"と短めのMCが入り、そのまま「Behind The Curtain」へ。激しいシャウトとメロディアスなクリーン・ヴォーカルが息つく間もない、coldrainらしい楽曲だ。海外のメタルコア系バンドに負けないタフさをもちながらも、繊細なメロディを操る彼らの楽曲は、唯一無二の存在感を放っていると言っていいだろう。
そして、「Voiceless」で再び大合唱が巻き起こると、さらに"前から後ろまで、誰1人つっ立ってんじゃねえぞ、飛べ!"と促し、ライヴでも定番の「Rescue Me」でフロアに巨大な波を作り出す。

海外へ活動の幅を広げつつも、国内でも例年のごとく精力的に各地の夏フェスに出演し、様々な大舞台でのライヴを経験したcoldrain。今年の夏は、京都大作戦でも彼らのライヴを観ることができたが、野外で悪天候の中でも終始突き抜けたエネルギーの放出っぷりにかなり驚かされた。もはや環境には左右されない、自分たちらしいパフォーマンスを確立したということだろう。この日も派手なステージ演出や、自身最大規模のワンマンというプレッシャー、3000人ものファンによる圧倒的な期待感に、負けないどころか完全に制圧し、それを証明してくれた。

まるで息つく暇もないエネルギッシュなパフォーマンスに、オーディエンスの疲れも見えてきたところで、"3000人もってしてもcoldrainには勝てませんか?"と再びMasatoが挑戦的なMCを繰り出す。これには、オーディエンスも体で答えない訳にはいかないだろう。ステージの演出には炎も飛び出し、「No Escape」「Adrenaline」で、またもやテンションMAXなモッシュ&ダイヴの嵐!これだけMCも少なく畳み掛けるように激しい楽曲ばかりを続けるとドラマーには相当の負担だと思うが、正確さと力強さを保ったまま、むしろ曲が続くごとにパワー・アップするかのような限界を超えたKatsuma (Dr)のプレイには、世界のラウドロック・ファンが感嘆するだろう。

そして、ここでやっと少しクール・ダウンのMC。"バンドを始めて、Zepp Tokyoでやることなんて1度も目標としたことはありませんでした。夢みたいで、人ごとみたいで、今朝も全然緊張してなかった。これは達成したあとのボーナス・ステージなんだと思う。"と、Masatoが正直な気持ちを語り出す。ライヴを観ている側からすると、当然大きなステージや海外進出を考えて、野望を確実に叶えてきたバンドの自身たっぷりなパフォーマンスに見えていたのだが、本人たちの気持ちはもっとシンプルなのかもしれない。自分たちが作りたい音楽、目の前にあるライヴ、その1つ1つに正直に真剣に取り組んだ成果がいつの間にか、自分たちでも実感の湧かないほど巨大なものになっていたのだろう。

"(自分たちのライヴにお客さんが)30人いれば喜んでたころの曲"といって、「8AM」をMasatoが独唱で歌い始める。そのままMasatoのヴォーカルをメインとした静かで感動的なアレンジに仕上げ、しっとりとこの初期のシングル曲をオーディエンスと分かち合った。そこから、ヘヴィながらもじっくりと聴かせる「Chasing dreams」、初期スクリーモの色気も感じさせる「Stuck」と徐々に盛り上げるように続けていき、"明日死ぬかもしれねえからな、やりきるぞ!"と「Die Tomorrow」でまたテンションを一気に上げていく。Masatoは"ここ楽しいな。オレここでやるわ。"と言って、フロアの最前に乗り出したまま歌う。もみくちゃなモッシュ・ピットとダイバーがガンガン押し寄せる中、オーディエンスと一体になろうとするその姿は、非常に感動的だった。

さらに、曲調の変化が目まぐるしい「Persona」、キャッチーながらも激しい「The Maze」、最新作から「You Lie」、そして圧倒的なスケール感を持った「The War Is On」と続ける。ステージ上を動き回り、自身のベースと一体化したかのような、激しくも安定感のある演奏で、コーラスまでこなすRxYxO (Ba)は、クールに見えるが実は、かなりアツい人なのかもしれない。そして、大きなアクションで盛り上げるSugi (Gt)、美しいアルペジオからヘヴィなパートまで抜群の表現力を持ったY.K.C (Gt)、2人のギタリストのコンビネーションと対比もcoldrainの魅力の1つだろう。

そこからライヴも終盤、クライマックスの予感がしてきたところで、Masatoがウォール・オブ・デスを促す。「Fade Away」でフロアの各ブロックの激しいぶつかり合いがそのままモッシュ・ピットになり、「24-7」では一斉にジャンプ!しかし、それでもまだ足りないとばかりに、Masatoは"次の1曲だけを聴きに来たように、全部残してけ!"と「The Revelation」で極悪シャウトを轟かせ、バンドもオーディエンスも最後の力を出し切った。

ここで本編が終了するが、まだまだ熱気冷めやらぬ会場のアンコールに答えて、再びメンバーがステージに登場する。会場全体がカラフルなレーザー・ライトで彩られた中、スタートしたのはダンサブルでメロディアスな「You」。軽やかに躍らせた後は一転して、「Six Feet Under」でモッシュとダイヴを巻き起こす!そしてラストを飾るのは、彼らの初期の代表曲「Final Destination」!ライヴをやる毎に鍛えられてきたこの楽曲のパワーは凄い!日々進化し続けるバンドを最もわかりやすく表している楽曲と言ってもいいだろう。

この日、"バンドとファンは、カップルみたいなものだと思うけど、coldrainにとっては婚約相手みたいなものだ"と、Masatoが語っていた。ここまで大きく成長したバンドだが、これからも前進し続けるためには、末長くサポートし続けるファンの力が必要だ。今回のツアー、そしてこの日のライヴで彼らが受け取ったオーディエンスのエネルギーは、凄まじいものだったに違いない。ライヴ終了後、"これからも音楽を愛し続けてください!"とマイクを通さずMasatoが叫び、会場はそれに答える温かい拍手に包まれた。そしてメンバー全員、最高のライヴを共にした仲間=オーディエンスとの別れを惜しむように、手を伸ばしてハイタッチしながらステージをあとにした。

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