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INTERVIEW

AA=

2025.04.22UPDATE

2025年05月号掲載

AA=

Member:上田 剛士(Ba/Vo/Prog)

Interviewer:吉羽 さおり

"#"のシリーズとしては前作『#6』から約6年ぶりとなる、AA=のニュー・アルバム『#7』。歪みのエフェクターをモチーフとしたアートワークそのままに、ハイボルテージなサウンドで貫かれたアルバムは、AA=、上田剛士の音楽的な歴史、作り上げてきた独自の音をブーストさせ、2025年という現在進行形の感覚で鳴り響かせるものとなった。よりハードコアでアグレッシヴな曲から、ポップ性の高い曲も磨き抜かれ、また同時代を共に走ってきた盟友、SHIGE(WRENCH)や新世代ラッパー、JUBEEとのコラボでは柔軟にその化学反応を楽しむ。自分の音楽を楽しみ、作り上げる、そんな透徹した思いを感じる1枚となった。アルバムの制作について、そのモード等を上田剛士に訊いた。

-ニュー・アルバム『#7』は、"#"シリーズによるオリジナル・アルバムとしては、前作『#6』(2019年)から5年以上の時を経た作品となります。曲作り自体はずっと続いているものと思いますが、作品としてはいつぐらいからアルバムを意識してスタートした感じですか。

曲作りはずっと続いていたんで、いつからかというと結構前からとなるんですけど。アルバムとしてちゃんと作るというスイッチを入れたのは、"SPRING HAS COME TOUR"後ですね。その後にデジタル・シングル『FIGHT & PRIDE』(2024年)のリリースなどもあったので、なんとなくそこで行きたい方向は見えてきた感じでした。

-シングルとしてリリースされた「FIGHT & PRIDE」や「CRY BOY」の他にも、「BLUE & YELLOW」は以前からライヴで披露していた曲ですよね。

そうですね。「BLUE & YELLOW」は結構前から作っていた曲です。テーマになっているのがロシアのウクライナへの侵攻でそれがあったときに作っているので。

-ライヴでも1曲目に演奏されていましたが、アルバムもここをスタートにしようという感じですか。

基本的にはイベントのときにしかやってなかった曲だったんです。この間初めてワンマン"AA= LIVE THE NEXT"でもやったんですが、1曲目にいつもやっていたので。アルバムでも収録するとしたら1曲目しか入れようがないよねという感じはありましたね。

-この曲が入ることでアルバムのテーマ性も印象付けられる感じです。現在の世界の有り様や、それぞれの人の人生や日常等がいろんな面で戦っていることが描かれている作品だなと。

自分が作ってきている作品では、このアルバムに限らずずっとこのようなテーマで続いてきているんですけど。中でも「BLUE & YELLOW」はだいぶ重苦しい曲になっているんですが、アルバムのトーンとしてはあまり重くなりすぎない感じはあるんじゃないかなと思います。

-そうですね。アルバム前半のアグレッシヴな内容から、後半、さらにラストの「ALL ARE UNITED」で前進していくパワーに溢れていて、ストーリーが流れているようにも感じました。曲作りとしては長く制作を行ってきた作品ですが、最近になってできた曲というとどの曲になりますか。

一番新しいのでいうとSHIGE(WRENCH/Vo/Syn)との曲かな。これはレコーディングしながらSHIGEと作った曲で。

-「BE LOST... feat. SHIGE(WRENCH)」ですね。WRENCHとは90年代から親交がある感じですか。

そうですね、THE MAD CAPSULE MARKETSのときからツアーに来てもらったり、リミックス的なものをやらせてもらったりで付き合いはずっとありますね。

-それがここに来て一緒に曲をとなったのは、何かきっかけがあったんですか。

これはいろんなインタビューでも話をしているんですけど、SHIGEがライヴで使っている機材が壊れてしまったというのを、ベースのまっちゃん(MATSUDA)がSNSで上げていて。それが現行のものではない古めの機材だったので、誰か持ってる人いないかなみたいなことだったんですけど、それをちょうど持ってたんです。自分では使ってなかったし、それがないとたぶんライヴもできないだろうから、じゃあSHIGEにやるよっていう。その代わりに、今度何かやるときにうちに参加してねっていう感じで(笑)。

-交換条件だったんですね(笑)。

そういうノリで始まってます。

-こうして一緒に曲を作るのは初めてですか。レコーディングしながらということですが、実際どのように進んでいったんですか。

SHIGEにスタジオに来てもらってやるのは初でしたね。曲自体はあったんですけど、そこにSHIGEをどうやって乗せていくかは最終的にはその場で決めていった感じでしたね。まずは、自分が思うSHIGE、WRENCHの世界観をイメージして曲を作ったんです。それが曲としては不思議な曲というか、あまりしっかりと"曲"みたいな感じにしたくなくて。インストというとまた違うんですが、そういうニュアンスの上で、SHIGEが浮遊してるというか。SHIGEがそこに存在しているみたいなイメージがありましたね。それで実際SHIGEにスタジオに来てもらって、レコーディングしながら"どうしようか"って感じで、その場で歌詞とかを考えていきました。

-その歌詞もWRENCHっぽい、SHIGEさんらしい歌詞でもありますね。

そうしてほしかったのはありました。その場でババババっと考えていって、SHIGEに"何か言葉ちょうだい"みたいに言われて、俺もアイディアは出したんですけど、そこからまたSHIGEが作っていってという。

-普段のAA=とはまた違った制作方法ですかね。

そうですね。その場でフリーで作るというのはあまりないですしね。

-勝手知ったる仲だからこそできる制作ですね。

自分が全部を作って、こうしてほしいって言うのも違うと思ったし、前もって曲を渡して"じゃあ考えてきて"って言うのも、そんなタイプでもない気がしていて(笑)。なんとなく話をしながら、そのときの雰囲気で作っていけばいいねという感じで、レコーディング当日を迎えたので、その感じがバンドマン同士って感じで良かったですね。

-90年代、2000年代当時、WRENCHというバンドについてはどうご覧になっていたんですか。ハードコアやロックのルーツを感じさせつつ、レイヴ等ダンス・ミュージックも取り入れたバンドですね。

好きでよくライヴも観に行ってたし、ずっといいバンドだなと思っていました。当時THE MAD CAPSULE MARKETSは同期とかシーケンスとバンドとの融合というものでしたが、WRENCHは人力な感じがあって、そこがまたかっこいいじゃないですか。

-そこから親交は続いていた感じですか。

連絡を取り合って遊びに行くのはなかったんですけど、遊びに行く場で会ったり、誰かのライヴを観に行くといたりというのはありましたね。ここ数年はまっちゃんとは何かのライヴで会って楽屋とかでちょっと話をするくらいだったんですけど、SHIGEとは全然会ってなかったんです。

-それがこうして機材がきっかけではありましたが、2025年に引き合って作品を作ったというのは面白いですし、今作ならではで。これをきっかけに対バン等も観てみたいです。

そうですね。WRENCHも新しい作品を作っていて、それもめちゃめちゃかっこいいので。特に激ロック読者には刺さる人もたくさんいると思うのでチェックしてほしいですね。WRENCHは自分等の同時代をずっと走ってきて現役でやっている、多くないバンドの1つで。そのなかで今もかっこいいものをやれていて、尖っていてというのは少ないので、いいコラボができたんじゃないかなと思っています。