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LIVE REPORT

AA=

2019.11.17 @渋谷TSUTAYA O-EAST

Reported by 吉羽 さおり Photo by 西槇太一

上田剛士のソロ・プロジェクト AA=のアルバム『#6』を携えた"TOUR #6"の最終公演が、渋谷TSUTAYA O-EASTで行われた。ベスト・アルバム『(re:Rec)』、また10周年を経て、オリジナル・アルバムとしては3年ぶりとなる『#6』。新たなタームへと突入しサウンド的に洗練や進化を遂げながらも、ラディカルに心の拳を突き上げ続けるそのスピリットは普遍であり、さらに熱を帯びた作品だけに、フロアを埋めている観客の体温もその音を渇望するエネルギーも高い。グリッドでグラフィカルに描かれた真新しいブタとバンド・ロゴ、そしてAA=のテーマにあるジョージ・オーウェル"動物農場"の"七戒"にバツ印をつけたバックドロップが、フロアの興奮をさらに煽る。歓声と拍手が湧き起こるなか、まずマニピュレーターの草間 敬が登場し会場にノイズを響かせ、続いて登場した上田による掛け合うように攻撃的なブレイクビーツ合戦を繰り広げて、会場の興奮を急ピッチで引っ張り上げる。金子ノブアキ(RIZE/Dr)、児島 実(ex-THE MAD CAPSULE MARKETS/Gt)、そして白川貴善(BACK DROP BOMB/Noshow/Vo)がステージへと現れ、そのブレイクビーツから「THE FLOWER」へと突入した。この1曲目から、続く「NOISE OSC」、「PICK UP THE PIECES」、「UNDER PRESSURE」、そして「AD SONG」とアルバム『#6』の流れ通りにセットリストは進んでいったのだが、ライヴという場、フィジカルなバンドで表現されるサウンドは、精錬された音源での攻撃性とはまたひと味ちがうボリュームがある。白川が鬼気迫るヴォーカルで"刮目してみよ"と観客に肉薄する「NOISE OSC」では、エマージェンシーな赤い照明のもと、ステージがスモークに煙り、サイレンのような電子ノイズが跋扈する。次々と場面が変わっていくようなバンド・アンサンブルもスリリングで、あっという間にフロアがこのAA=のショーの真っ只中に飲み込まれていったのがわかる。「PICK UP THE PIECES」では、自ずと雄叫びのようなシンガロングが巻き起こり、「UNDER PRESSURE」、「AD SONG」で金子のダイナミックなドラミングが観客の上げる声を束ねていく。バンドも観客も、頭からボルテージが高く、互いにエネルギーをぶつけ合う。それがこのアルバム『#6』でのツアーだ。

"渋谷、解放されているか"。上田のこの言葉で「FREEDOM」へと続き、ここからは新旧の曲を織り交ぜたターンへと突入する。ライヴ定番の曲が並ぶが、ここに新曲が加わることで新たな緩急が生まれている。上田が"混沌とした狂った世界、渋谷、俺たちだけでも繋がっていようぜ"と語り掛け、「Such a beautiful plastic world!!!」をメロディアスに紡ぎ、かと思うと「GREED...」のカオティックなアンサンブルで観客をかき乱す。ブレイクビーツと人力ドラム、ノイジーなギター・リフがいびつに並走する「POSER」では、歌詞にある"Prime Minister"を現総理大臣の名に替えて歌い、ライヴならではの攻撃性を露わにする。続く「MONEY GRUBBER」では天井から大量のお札(AA=マネー)が降り注ぎ、フロアが狂喜乱舞する。そのお札には"ZERO DOLLARS"と記されていたが、まさにこの場には数字や金額では表せない価値や自由な開放感があった。

中盤には、"この男がやってきました"とスペシャル・ゲストでBALZACのHIROSUKEを紹介し、コラボ作である「DEEP INSIDE」を披露した。BALZACらしいコーラスをふんだんに散りばめた曲でもあり、フロアのシンガロングの声も一段と大きい。HIROSUKE、白川、上田の3つの声がせめぎ合い、そこに応戦するような観客の野太い声が掛け合わさって、アグレッシヴなハードコア・ナンバーがよりカタルシスたっぷりに轟いた。ラストに互いの拳を突き合わせたHIROSUKEと上田。ここで一気に笑顔が広がる。

そしてここからは怒濤。ライヴのキラーチューンが並ぶ中で、『#6』の中でも、またAA=としても異色の曲である「SO BLUE」が映える。アルバムのインタビューで、この曲を白川に歌わせたかったと語っていた、スロウでメロウなこの曲ではミラーボールが眩く輝いて、AA=のライヴとしても新たなシーンを生んでいた。音源での甘美なハーモニーはもちろんのこと、生での歌心やハーモニーもまたいい。......と言いつつここに浸らせることなく、「posi-JUMPER」、「LOSER」とで、フロアには前方へダイバーが押し寄せて、場内も空気が圧縮されたような密度となっていった。この沸騰した会場に最後に見舞ったのが「そして罪は赦された~ACQUITTAL」だ。ラップというよりも、淡々とまたシアトリカルにもうねっていく自問自答のモノローグは、同時に聴き手に問いを突きつける。本編を締めくくったのは、何かが心を鋭く射抜いていったざわつくような余韻だった。

アンコールに応えたAA=。"いろんなことがあると思うけど、俺たちの闘争はまだまだ続きます。いけるところまでいきましょう"と上田は語り、フロア中が前のめりなピースサインで埋め尽くされる「PEACE!!!」で"TOUR #6"最終公演は幕を閉じた。12月には下北沢SHELTERでのスペシャルなライヴ"AA= eXTRa19"開催が発表となったが、もう1周、2周くらいこの"TOUR #6"を回ってほしいくらいの充実感、高揚感に痺れる。その音で身体にエネルギーが満ちていくようなライヴとなった。

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