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LIVE REPORT

AIR JAM 2012

2012.09.15 @国営みちのく杜の湖畔公園 『風の草原』

dustbox

この時をどんなに待ち望んだことか。"伝説"と言われ続けたフェスAIR JAMの復活から1年が経ち、本来の目的である東北での開催が実現。これは、現代を生きるロック・ファンにとって感慨深いことだ。その記念すべきイベントのトップ・バッターを務めたのはdustbox。ステージのスクリーンに映し出される会場は、あっという間に人で溢れ返っていた。初っ端は「right now」。ぶた鼻になるくらいに顔面をマイクにくっつけ、顔をくしゃっとさせ全力で歌うSUGA(Vo/Gt)。サビになるとまわりが一斉に人差し指が掲げた光景に、セキュリティのスタッフもステージを背にしながら心なしか口角が上がっていた。SUGAとJOJI(Ba/Cho)の美しいハーモニーが、東北の澄んだ空気中にふわっと飛んでいきそうだった「try my ruck」。この曲が始まると会場には前にも後ろにもサークルができている。見ず知らずのファン同士が肩を組み合ってはモッシュで離ればなれとなり、ぶつかり合っては笑顔を交わす。非常に多幸感に溢れた光景に胸が熱くなる。"15年前にAIR JAMみたいなイベントに出たいと思ってバンドを作った――"そんなdustboxは今、トップ・バッターとして堂々とAIR JAMのステージに立っているじゃないか。人の夢が実現する特別な場に立ち会っている気分だった。"ここは自由だぞ!今日という日は1日しかないからね"という印象的な言葉を聞き、私もしっかり地に足をつけて生きていこうと思った。その後に放たれたのはハイ・スピードで駆け抜ける「tomorrow」。そしてセットリストの最後を飾るのは「next story」。ユニゾンで演奏がピタッと止まった時、会場の四方八方から大勢の歌声が聴こえてきた。そこで私は、予想を遥かに超えた声援に、全国各地から集まった約2万人という会場の規模を感じたのだ。

(羽村 萌)


MONGOL800

のっけからラヴ&ピースな1曲、Louis Armstrongの「What a Wonderful World」でMONGOL800のライヴは始まった。もう9月も半ばだというのにこの日は炎天下で、超混みの大会場を移動するだけで汗が出る。そんな会場で流れる沖縄の風を感じることのできるMONGOL800は、心安らぐようなパワーを持っていた。お次は「あなたに」だ。初めてこの曲を聴いたのはいつのことだろうか、私が学生時代様々な場所で流れていたこの曲は、いつの間にか全国で"青春の1曲"となった。当たり前のように聴いていた曲が、体内にすっと自然に入っていく感覚はとても不思議なものであった。そしてまさかのHi-STANDARDの「New Life」をカヴァー。不意打ちで演奏されたハイスタのナンバーに会場は驚き、そしてみんなの顔から笑みもこぼれる。他のアーティストの曲ではあるが、沖縄ならではのリズムだったり、上江洌清作(Ba/Vo)のやわらかい歌声だったり――モンパチの色がしっかり出ているカヴァーに仕上がっていた。そしてその次に披露されたのはどこかで聴いたことあるこのイントロ......Roy Orbisonの「Oh Pretty Woman」だ。本来のベースのフレーズが沖縄三線のぺんぺんというあたたかな音色に変わる。そして、思わず踊り出してしまいそうなハイ・テンポなバージョンに。「DON'T WORRY BE HAPPY」では前方で、華麗なるスカ・ダンスを披露するお父さんに、それを真似するお子さん。それを見てほっこりしながら、自分も手を振って足でリズムを刻んでいた。そしてこちらも彼らの代表曲の1つ「小さな恋のうた」。何度も繰り返されるサビでは、その度にヴォーカルが聴こえなくなるほどの大合唱であった。MC中、"太り過ぎ〜!!"と、当時に比べすっかりふくよかになった上江洌への愛のムチが飛び交う(笑)。北の晴れた空に、南から暖かな風が吹いた。全国各地からのエールが聞こえた気がした。

(羽村 萌)


マキシマム ザ ホルモン

昨年に続いての出演となったマキシマム ザ ホルモン。彼らが"ハイスタキッズ"であったこともあり、昨年の出演では "ファン代表"といったニュアンスの強いものであった。今年はどんなテンションのステージを見せてくれるのかと期待して見ていたが、"いつもの" 日本屈指のライヴ・バンドとしてのマキシマム ザ ホルモンだった。1曲目の「恋のメガラバ」から会場は凄まじいモッシュ、ダイブの嵐。前方のスタンディング・エリアは早々に入場規制がかかってしまっていたのだが、そこに入れなかった"腹ペコ"たちもそこらじゅうで踊り狂う! 曲終わりでナヲ(Dr/Vo)から昨年のネタを引っ張った出演の経緯(セフレ枠(笑))の発表からの「シミ」そして「F」と怒涛の如く攻め立てる。演奏もさることながら今日のステージで強く感じたのはダイスケはん(Vo)の喉のコンディションの良さだ。野外という音が流れやすいロケーションながら私が見ていた後方までパワフルな声が轟いていた。 「包丁・ハサミ・カッター・ナイフ・ドス・キリ」「人間エンピ」を経て、老若男女、日本人も外人も数万人が体を反らせ、凄まじい光景を作り出した定番の"麺カタコッテリ"から、"去年の約束だ!"とナヲが叫び演奏されたのは光GENJIの代表曲のカヴァー「勇気100%」。恐らく踊り狂うキッズはリアル・タイムで知らないだろうと思いながら、その中でリアルタイムで聴いていたであろう年配層がモッシュしている姿を見て、思わず歌いださずにはいられなくなる。そして最後は「maximum the hormone」。まだ中盤にも関わらずシンガロング&ヘドバンを続けるキッズと、理屈抜きで痛快且つ素晴らしいステージを見せてくれたマキシマム ザ ホルモンに、心から感服した。

(伊藤 啓太)


AA=

マキシマム ザ ホルモンの激アツなライヴ且つ9月の東北にしてはあまりの暑さであったこともあり演奏終了後、かなりの数のキッズが疲労困憊しスタンディング・エリア付近から退避していってしまった。 そんな中ステージに現れたのはAA=だ。彼らが音を鳴らし始めると、まばらであった会場の状況がどんどん変わっていく。最新鋭のデジタル・ロック・サウンドが爆音で響くと、彼らのことを知っているのか初めて目にしたのかは分からないが、今まで流出していた流れと同じかそれ以上の流れが彼らのステージに集まり始める。ステージ上をメンバーが縦横無尽に飛び交い、地面が揺れるほどの音を鳴らし、それに応えるべくモッシュ・ピットでは屈強な男たちにまぎれて若い女の子も一緒に体をぶつけあう。大自然とデジタル・サウンドとの調和が非常に面白い。 個人的なハイライトは最新作である「The Klock」だ。カオティックな音像とまだ日が暮れていない開放的な環境、そして踊り狂うモッシュ・ピット、会場が揺れるほどのシンガロング――全てが合わさり、壮大な映画のワン・シーンのようだった。 このプロジェクトの張本人である上田剛士は"困難に立ち向かう東北の人たちを、心から尊敬しています"と語った。この言葉に彼がこのAIR JAMで、東北で演奏する意味の全てがこめられているのだろう。そしてラストはやはり、彼が東北のために捧げた「We are not alone」をプレイ。彼からの力強い東北へのストレートなメッセージは、確実に会場全体に響き渡っていた。この楽曲と共に、多くの記憶が風化されずに伝わっていくことを望む。

(伊藤 啓太)


Dragon Ash

不思議なことに、私が彼らのステージを観る時はいつも憎いほどに快晴なのだ。そして、今日も真っ青な空に飛行機雲がくっきりと見えて奇麗だった。まずは「Ambitious」からスタート。このの音色をのびのびと気持ちよく聴けることにありがたみを感じる。「Bring It」では体いっぱいにメッセージを詰め込んだかのように表現力に富んだ2人のダンサーが、ステージを煽る。「Run to the Sun」では誰もがいつか経験する、身近な者との別れを歌い、「Walk with Dreams」では、今日を生きる私たちに、明日を生きる勇気をくれる曲だ。"泣くな!"Kj(Vo)のその一言のおかげで、余計に涙が止まらなくなったじゃないか。切ないはずなのに、この曲を聴き終えた後は清々しい気持ちになっていた。あの緑色のギターは......そう、この日Kjは、Hi-STANDARDの横山健(Gt)のギター"イグアナ"を手にしていた。そしてHi-STANDARDのナンバーから「Endress trip」をカヴァー。Dragon Ashがライブでカヴァー曲を演奏するのは珍しい。昨日のMONGOL800に続いて、AIR JAMならではのスペシャルなパフォーマンスに心高まる中、「百合の咲く場所で」の前奏が始まると同時に大きな歓声があがる。この曲はDragon Ashが持つ"静"と"動"が共存するナンバーで、ゆったり聴かせるメロディ・ラインに激しくて力強いサビが刺激を与える。そしてもはや定番中の定番、「Fantasista」へ雪崩れ込む。大自然で奏でられるあのイントロは壮大すぎて鳥肌モノだ。いつまでも色褪せない名曲は、こういう音楽のことを言うんだなと実感。喜怒哀楽で表してみると、最後の曲、「Viva La Revolution」はまさしく"楽"のハッピー・エンディングに相応しい。彼らのライヴを通して感じたことは1つのストーリーとして完成されているということだ。だがしかしDragon Ashの物語はまだ続いてゆくのだ。

(羽村 萌)


HUSKING BEE

HUSKING BEEが12年ぶりにAIR JAMへ帰ってきた。SEが流れ出すといやおうなくテンションが高まる。「#4」のイントロのギターが紡ぎ出されると会場は"Oi!Oi!"とそのスタートを煽り"Music begin.."と歌いだされた瞬間に一気に会場のテンションは爆発。そこから「LIFE」「BY CHANCE」、そして叙情的なメロディが秀逸な「SUN MYSELF」をプレイするのだが、この楽曲辺りから磯部(Vo / Gt)のヴォーカルが、後期HUSKING BEEのような言葉を重視した柔らかな歌いまわしから、初期のように荒く、パワフルな歌いまわしに変わったように感じた。彼らとしてもHUSKING BEEとしてAIR JAMに戻ってくることには並々ならぬ思いがあったに違いない。 平林(Vo / Gt)の伸びやかな声が光る「NEW HORIZON」の後、磯部が"あの曲やるから、みんな歌ってね"といってプレイされたのは、解散ライヴの最後の最後に演奏された「QUESTION」。これには往年のファンも狂喜乱舞し、"QUESTION!!"と大合唱。一旦ブレイクし、磯部の工藤への"いつもの"じゃがいもイジりからの「A SMALL POTATO'S MIND」、そして「The steady-state theory」「摩訶不思議テーゼ」といった後期のキラー・チューンを一気にプレイ。"東北に新しい風、吹いているよね"という磯部のMCからの「新利の風」。そして最後にプレイされた曲はその場にいる誰もがわかっていたし待っていたであろう「WALK」。この曲のリフが流れると同時に地鳴りのような歓声が巻き起こり、会場にいる数万の観客全員による大合唱で幕を閉じた。途中、磯部からHUSKING BEEとしての活動の再開と、オリジナル・メンバーである工藤(Ba)の不参加がアナウンスされた。今後また彼らをステージで見ることができるのであれば、素直にそれを喜びたい。

(伊藤 啓太)


Hi-STANDARD

昨年幸運にもチケットを手に入れたファンも、今年に全てをかけていたファンも、この場にいるスタッフ、バンド、全ての人々がこの瞬間を待っていただろう。ハイスタの登場がアナウンスされると凄まじい歓声が会場に響く。あまりの歓声で途中まで何を演奏しているか聴こえないくらいだったが、1曲目に演奏されたのは『Making the Road』から「turning buck」、そしてアルバムの流れのまま「standing still」、難波(Vo / Ba)の"夏は終わらないよー、恋しちゃってますか?"のMCから「summer of love」、"ここに来れなかった人たちにもさ、届けようぜ"と難波が空に向けてMCをした後の「dear my friend」では私の周りのキッズの多くが涙ぐみながら大合唱。そして「sunny day」のギター・リフが響き始めるとここまで静観を保っていた往年のファンも、初期の代表曲とあってここぞとばかりに一気にダイブ、モッシュに参加する姿が見られた。そして難波と横山健(Gt / Vo)による"やっぱり愛だよね、大切なのはさ"というMC。彼らは次に演奏する曲に関係するMCをはさむことが多いだけに"あの曲"かな? といろいろ考えていると演奏されたのは「california dreamin」という嬉しい肩透かし、横山健の泣きのギター・ソロが冴え渡る。そして今回のAIR JAMへの思い、これからのことを話す。彼らはAIR JAMをやるために頑張ってきたわけではなく、東北を、日本を元気にするための手段が"AIR JAM"だったのだ。 そして本編最後に演奏したのは「brand new sunset」、この曲で会場全体が一体となって大合唱が巻き起こる。"cause I'm tough boy!"と力強く拳を挙げ続ける会場の暖かさは言葉に代えがたい美しい光景だった。アンコールの1曲目に演奏されたのは言わずと知れた彼らの代表曲である「stay gold」。今までも輝き続けたし、何よりもこれから先も輝き続けなければいけないのだと強く感じさせた。そして「mosh under the rainbow」で初日は幕を閉じられた。

(伊藤 啓太)


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