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LIVE REPORT

AA=

2014.02.09 @LIQUIDROOM ebisu

Writer 吉羽 さおり

2013年11月に『#』、翌月には『4』というスプリット・アルバムをリリースしたAA=。これまでのキャリアで上田剛士が追求してきたエレクトリックかつ攻撃的なサウンドを極めた『#』、そしてシンプルなバンド・サウンドを基軸にエモーショナルに曲を紡いでいく『4』と、それぞれ内容をわけることで、振り切った深化を遂げたアルバムである。それだけに、その作品でのツアーがどういうものになるのかは、非常に楽しみなところだった(ましてや、普段のライヴも少ないだけに)。
大阪、名古屋、仙台とを回って、東京・恵比寿LIQUIDROOMでツアー・ファイナルを迎えたこの日。前日は、都心で20年ぶりとなる大雪となり、街中は真っ白で、いつもよりもだいぶ静かな夜だったが、会場に入るや凄まじい熱気に襲われた。みっしりとフロアを埋める観客の期待感が、会場に充満している。どんな登場となるのか、どんなスタートになるのかと開始前から高いボルテージを迎えている観客にじっくりと火を灯していくかのように、ライヴはスタートした。

ステージは薄いヴェールをまとったまま、メンバーのシルエットだけが、照明にゆらりと浮き上がる。そして『#』のオープニング曲「DRONE」の美しく繊細なメロディ、ヴォーカルが発せられ、Minoru Kojimaによる硬質で、爆音が轟くようなギター・サウンドが会場を軋ませるように響く。Takayoshi Shirakawaによる咆哮から、続けざまにミニマルなデジタル・ビートが鳴りわたり、スピード感あふれる「WARWARWAR」へと突入していく。ヴェールがはがされ、露わになったステージに観客は歓声を上げるが、その歓喜の雄叫びをもさらっていくように、スピードで攻め、フル・スロットルでぶっ飛ばしていった。「VICIOUSNESS」、「WILL」と、『#』の収録曲を上から順にプレイ。アルバムを聴き込んでここにきている観客にしてみれば、速効性抜群の、無敵の流れ。身を委ねる他ない状況だ。

本ツアーでは、ドラマー・金子ノブアキがスケジュールの都合上不参加ということで、代わりにZAX(Pay money To my Pain/The BONEZ)が屋台骨を務めている。昨年のライヴにも参加していることもあり(金子自身がZAXにオファーし、AA=のドラムを託した頼れる存在だ)、『#』『4』の世界観を壊すことなく、かつ新たな息吹も注入されたステージとなった。

『4』からの「II:Repeat:II」などは、まさにリズムやドラムのグルーヴが肝となる曲。高速の2ビートから、ダンス・ビート、スカ・ビートへと軽やかにシフト・チェンジして曲の明度をダイナミックに変える役割を担い、次いでプレイされた「The Jam」もアグレッシヴで、変化自在なバンド・アンサンブルのかじ取りをする。ライヴとなるとよりわかるが、『4』の曲は、シンプルには聴こえるけれど、曲の構成も、アンサンブルの密度も、かなり濃い。もちろん、一気に盛り上がるようなトラップもばんばん仕掛けられているし、AA=らしいと言えるアンビバレントな質感が共存している。ステージから迫りくるサウンドは、様々な情報を内包していて、それによって様々な感情を呼び起こす。ツアーでの各地の反応もすこぶるよく、作り上げたアルバムの良さを再確認したと、上田は語っていたけれど、こうしてライヴで体感することで観客も改めて作品の濃さを感じられたと思う。

ライヴ中盤は、『#2』、『#3』からの曲を中心にしたセットリストで、ド派手にぶちあげていく。まずはハイパーな高速ビートとデジタル・サウンドでカオスを生む「GREED...」や、「sTEP COde」でジャンプさせ、また『4』からのキャッチーな「Path of the arrow」や、「HUMANITY2」で、コブシをあげさせ、シンガロングを誘う。高揚感と、どこか多幸感にも包まれているようでもあって、後半のクライマックスとなった。
しかしまだまだ終わりじゃないとばかりに、さらに初期の『#1』からの曲をお見舞いすると、ラストに選んだのは「KILROY WAS HERE」。収まりよくエンディングを迎えるというよりは、さらに混沌で引っ掻き回していくような曲。重たいハンマーで地を打ち鳴らしていくパワーで、圧巻のラストとなった。この日はさらに、アンコールもたっぷりと披露され、AA=の現在の充実ぶりを伝えるツアー・ファイナルとなった。

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