FEATURE
AA=
2019.03.20UPDATE
2019年03月号掲載
Writer 荒金 良介
AA=史上最高と言えるスペシャルなライヴであった。
上田剛士のソロ・プロジェクトとして2008年に始動したAA=が、昨年めでたく10周年を迎えることになった。そのアニバーサリー・イヤーの記念すべきタイミングで、10月20日にTSUTAYA O-EASTにて"THE OIO DAY"という名を冠したライヴを決行。その内容はまさにAA=の10年の歩みを総括しながらも、その先の未来さえも提示してくれるような驚くべきものだった。AA=の屋台骨を支えるのは、当初ドラムを務めていた金子ノブアキ(RIZE)に加え、ZAX(THE BONEZ/Pay money To my Pain)、YOUTH-K!!!(ex-BATCAVE)の3人。これまではその都度シチュエーションによって組み合わせを変えていたが、今回は本来ならば一緒に顔を合わせることのないドラマー3人が集結、つまり初めてトリプル・ドラム編成にチャレンジした画期的なライヴとなったのだ。それで思い出すのは、昨年末にジャパン・ツアーを行ったプログレッシヴ・ロック・シーンの大御所 KING CRIMSON。彼らもトリプル・ドラム編成を組み、我々日本のファンを大熱狂の渦に巻き込んだ。今回はそれと比較しても、迫力という意味ではそれを凌駕するような超パワフル・ドラムの響宴が大きな目玉のひとつとなっている。ほかにも白川貴善(Vo/BACK DROP BOMB/Noshow)、児島 実(Gt/ex-THE MAD CAPSULE MARKETS)、草間 敬(Mani)の計7人のメンバーが集まり、AA=史上最もスペシャルと言えるライヴが映像化される運びとなった。
大熱狂のライヴ本編を完全収録! インタビューなど豪華コンテンツも必見!
この"THE OIO DAY"はより多くのリスナーの要求に応えるべく、デジタル・アルバムとして全12曲を厳選したライヴ音源もリリースされ、今回のBlu-ray/DVDには当日のMCやアンコールを含めて全編を完全収録している。しかも映像作家 番場秀一が、2011年に公開された"the short film AA= #3"以来約8年ぶりにAA=の作品監督を務めており、この日の会場には20台以上のカメラを仕込んで撮影が行われた。その意味では、ただ単にライヴ映像を収めたものというニュアンスからははみ出した、重厚な作りになっている。とはいえ、何よりその場の空気感や臨場感が伝わる作りになっているので安心してほしい。映像を観ている人も実際にライヴに参加しているような雰囲気をしっかりと感じてもらえることだろう。時にステージから、時にフロアから、時に宙空から様々なアングルで迫りくる映像は、AA=の生身の姿をヴィヴィッドに捉えている。照明の雰囲気も効果的に生かし、簡潔に言うと、めちゃくちゃかっこいい仕上がりになっているのだ。ファンはもちろんのこと、今回の映像を入口にAA=の音楽的な魅力やライヴの破壊力を十二分に知ることができる入門作としても有効なアイテムと言っていい。
今作は冒頭から意表を突いてくる。「4LEGS GOOD, 2LEGS BAD」、「DR3 ~THE OIO DAY special performance」の2曲でAA=のトレードマークであるブタマスクをかぶったメンバーが登場し、トリプル・ドラムを含む計7人の演奏が幕を開けると、そのド迫力のプレイに、耳も心もいきなり鷲掴みにされてしまった。序盤からカオスな熱気が渦巻き、「posi-JUMPER」では観客が拳を突き上げ、大合唱する画が一気に広がる。続くマシナリーなビートを配した「憎悪は加速して人類は消滅す ~Hatred too go fast, Vanishing all human~」も抜群に映え、この時点でフロアを完全掌握するパフォーマンスを展開。
ライヴ本編の前半は金子ノブアキがドラムを務め、「2010 DIGItoTALism」ではTSUTAYA O-EASTに雷鳴を轟かせる切れ味鋭いビートで観客の耳目を釘づけにしていく。中盤はZAXがドラムを担当し、前のめりの熱情的なビートで押しまくる。"これからも気に入らないことには、中指を立てていく"と上田が宣言したあとに「HUMANITY2」を披露するなど、キャッチーにしてヘヴィネスと形容したくなるAA=サウンドの真骨頂を見せつけ、観客は興奮のるつぼと化していた。後半はYOUTH-K!!!にドラムをバトンタッチし、緊迫感漲る「WARWARWAR」を皮切りにスリリングな演奏が繰り広げられていく。そして"暴れる準備はいいですか?"と上田が呼び掛け、本編を「NEW HELLO」、「SAW」の2連打で締めくくった。背筋がゾクゾクするような高揚感を映像からも感じ取れることだろう。
アンコールでは、再びトリプル・ドラム編成により「BATTLEFIELD」で曲名どおり演奏バトルに突入する場面も必見だ。最後はファンに馴染みの深い「FREEDOM」「PEACE!!!」繋げ、大団円を迎えた。全22曲、AA=フル・メンバーで挑んだショーは10年目にして辿り着いた最新型サウンドであり、ここからまたどういうふうに進化と変化を遂げていくのか、楽しみにさせてくれる内容となった。今回のライヴは大きな節目には間違いないが、さらなるステップのための通過点と言いたくなる凄まじい爆発力を見せつけている。ぜひともその目でAA=のかっこ良さを確認してもらいたい。
なお本編のライヴ映像のほかに、リハーサルの模様を追った[AA= DOCUMENTARY "THE OIO DAY"]、上田が自らの歩みを振り返った単独インタビュー、またAA=に関わるメンバー6人のコメントもあり、そちらも大変興味深い内容になっている。さらに「SAW」のミュージック・ビデオや、ボーナス・コンテンツとして、昨年4月にリリースした全曲再録のベスト・アルバム『(re:Rec)』のレコーディング・ドキュメンタリーと「PEACE!!! (re:Rec)」のミュージック・ビデオがひとつの映像になった"(re:Rec)Recording Document + PEACE!!!(re:Rec)"も追加されているので、そちらも必見!
AA=を多角的に捉えた貴重な映像集という意味でも、観応え十分である。デジタル・アルバムと、このBlu-ray/DVDのどちらもゲットして、この革新的なサウンドを骨の髄まで味わってもらいたい。
▼リリース情報
AA=
LIVE Blu-ray&DVD
『THE OIO DAY』
2019.03.27 ON SALE!!
[SPEEDSTAR RECORDS]
【Blu-ray】VIXL-263/¥7,000(税別)
amazon TOWER RECORDS HMV
【DVD】VIBL-937/¥6,500(税別)
amazon TOWER RECORDS HMV
・リバーシブルポスター封入(B3 変形サイズ)
1. 4LEGS GOOD, 2LEGS BAD
2. DR3 ~THE OIO DAY special performance
3. 2010 DIGItoTALism
4. posi-JUMPER
5. 憎悪は加速して人類は消滅す ~Hatred too go fast, Vanishing all human~
6. Such a beautiful plastic world!!!
7. ROOTS
8. GREED...
9. WORKING CLASS
10. Dry your tears
11. The Klock
12. HUMANITY2
13. LOSER
14. WARWARWAR
15. DREAMER
16. I HATE HUMAN
17. ALL ANIMALS ARE EQUAL
18. NEW HELLO
19. SAW
-ENCORE-
1. BATTLEFIELD
2. FREEDOM
3. PEACE!!!
<収録映像>
・AA= DOCUMENTARY "THE OIO DAY"
・「SAW」MUSIC VIDEO
【Bonus Video】
・(re:Rec)Recording Document + PEACE!!!(re:Rec)
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