INTERVIEW
AA= × BALZAC
2019.08.01UPDATE
2019年08月号掲載
今年2月に7thデジタル・シングルとしてリリースされた「DEEP INSIDE」は、BALZACのHIROSUKEをゲストに迎えたコラボ楽曲第4弾となった。シンガロングやコーラスでアンセミックに彩られた硬質なハードコア曲であり、歌詞はHIROSUKEと白川貴善(AA=)が手掛け、AA=とBALZACがせめぎ合い爆発する強力な1曲となっている。この「DEEP INSIDE」は最新アルバム『#6』にもアルバム・バージョンで収録されるが、このアルバムには他にも多数の曲でBALZACメンバーがコーラスで参加しており、両者の関係性が見えるかつてない作品にもなっている。今回は20年来の親交があるHIROSUKEを招き、上田剛士との対談を敢行。互いへの信頼が窺える時間となった。
AA=:上田 剛士(Ba/Vo/Prog)
BALZAC:HIROSUKE(Vo)
インタビュアー:吉羽 さおり
-まず「DEEP INSIDE」でHIROSUKEさんをゲストに迎えたきっかけから教えてください。
上田:一番のきっかけは、今年2月のAA=の対バン・ライヴ企画"AA= VERSUS LIVE ~X-FADER #666~"にBALZACに出てもらおうという話があって。そのときに、どうせ来てもらうなら何か一緒にやりたいし、やるなら曲を作りたいなというのが最初でした。
-そのときにBALZAC、HIROSUKEさんとやるならこういう曲がいいというイメージもありましたか。
上田:俺らとHIROSUKEとだったら、共有できるものが多いから、いろんなものが作れちゃうと思うので。それこそ、どういうものにしようかという話をふたりでしましたね。やっぱりアーメン・ブレイクを入れようかとか、そういう話をしていて。
-この曲では作曲段階からふたりで話していたんですね。
HIROSUKE:僕は剛士さんの大ファンで、作る曲も好きなので、剛士さんが作る曲に自分の歌が乗るというのが、最高の形なんですよね。BALZAC色もあって、剛士さんからの僕への愛を感じるというか(笑)。
上田:そう、HIROSUKEへの愛が詰まってるから(笑)。やっぱりHIROSUKEが歌うなら"WOO"のコーラスは入れないとだめだなとか、まずそういう形から入りましたね。曲として、最初に決めごとをして作ることがあまりないので、面白かったですね。
-まさに相手があってできることですね。
上田:HIROSUKEを呼ぶからにはあれもやらせなきゃ、これもやらせなきゃということでした。
HIROSUKE:ありがとうございます。
-歌詞をHIROSUKEさんにお願いしようというのも最初の段階からだったんですね。
上田:歌詞はHIROSUKEに丸投げでした。僕が決めた歌詞は、さっきの"WOO"の部分だけですね。
HIROSUKE:正直、ここまで歌詞を書くことになるとは思わなかったんです。最初は、何か剛士さんから歌詞のテーマがくるのかなと思っていたら、"歌詞は書いてね"、"あ、はい"という感じでした。自分が書いたものが剛士さんの曲に乗せてもらえることは僕としては最高のことなので、楽しくやりました。
-これまでも、お互いのアルバムに参加するということはありましたが、こういった制作、一緒に曲を作っていくということは初ですか。
上田:コーラスで参加してもらうというのはTHE MAD CAPSULE MARKETS時代からあるし、BALZACの方にちょっとお手伝い的な感じで参加したことは今までもあるけど、一緒にというのはないのかな。
HIROSUKE:以前、AA=が遠藤ミチロウさんのトリビュート・アルバム『ロマンチスト~THE STALIN・遠藤ミチロウTribute Album~』(「先天性労働者」をカバー)に参加したときに僕がちょっと歌で参加させてもらったことはありましたね。
-そういうことで今回の制作では刺激などありましたか。
HIROSUKE:刺激と言えば刺激だらけですよ。どんな曲ができるんだろうという楽しみとか。あとは、散々僕が注文をつけたので。あまり高いキーはダメですとか(笑)。ちゃんとそのあたりも考えて作ってくださったので。
-レコーディングはどんなふうに行っていったんですか。
上田:基本的な部分は自分のところで作って、歌に関してはHIROSUKEの方で録ってもらった感じでした。
HIROSUKE:歌える状態のトラックを送ってもらって、そこに歌を入れて、これでいいですかっていうので聴いてもらって。"ここはこんな感じで"というふうに行ったり来たりは何度かありましたね。前に剛士さんに僕らのプロデュースをやってもらったときにも、こういったやりとりをしたことがあったのでスムーズにいきました。
上田:今の時代は簡単にデータでやりとりができるし、会話もしようと思えばSkypeとかでできちゃうので。あまり距離感を感じないでできるんですよ。お互いに自分のやりやすい環境でレコーディングができるので、かえっていいくらいじゃないですかね。
-そうなんですね。制作期間としてはどのくらいだったんですか。
上田:どのくらいやってたっけ?
HIROSUKE:一緒に曲をやろうという話になって、曲ができてくるまで1ヶ月くらいでした。すごく早かったですね。
上田:で、仕上げにまた1ヶ月くらいかな。対バンのライヴで一緒にやりたいというのがあったから、締め切りがちゃんとあったということでした。
-実際に曲ができあがって、対バン・ライヴでやってみてどうでしたか。
HIROSUKE:それはもう感動というか、感激というか(笑)。僕は剛士さんのいちファンからスタートしているので。剛士さんと同じ向きでお客さんの方を向いてステージに立てるというのが、僕の中では、すごいことなんですよね。20代のころから変わらず剛士さんへのリスペクトは常にあるので、一緒にやれることはこの上ない感激なんです。
-そうだったんですね。HIROSUKEさんが上田さんに最初に出会ったころのことは覚えていますか。
HIROSUKE:もちろん、めちゃくちゃ覚えてますよ! 僕と剛士さんの共通の友達がいるんですけど、その人は僕が昔からTHE MAD CAPSULE MARKETSが好きなことを知っていて。その友達と一緒にライヴをやることになったときにその人が、"今日はHIROSUKEがすごく会いたい人に会わせてやるから"っていうのでフロアに行ったら、剛士さんがいて、"本物や!"って。すかさず、自分のバンドの音源──僕らはそのとき、アナログのシングルとCDを1枚出していただけだったんですけど、それを"聴いてください"って剛士さんに渡したんです。
上田:川崎のCLUB CITTA'だったよね。真っ黒ででっかいやつが、腰を直角に曲げて挨拶してくれて(笑)。
HIROSUKE:1996年の11月です。
-そんなに細かく覚えているんですね。
HIROSUKE:覚えてますよ、それは。自分の人生が変わった日ですからね。