INTERVIEW
AA= × BALZAC
2019.08.01UPDATE
2019年08月号掲載
AA=:上田 剛士(Ba/Vo/Prog)
BALZAC:HIROSUKE(Vo)
インタビュアー:吉羽 さおり
-両者ともこだわっているなと感じるのは、アートや音楽周りのカルチャーを大事にしているところだなとも思います。今はなかなか、そういうカルチャーの面やその人を形作っているカルチャーが見えることが薄れてきているような気がしますが、ふたりは受けてきたパンク・カルチャーの影響、ハードコア・シーンのあり方っていうのは大きいですかね。
HIROSUKE:そうですね。でもパンクってスピリッツの部分ももちろんあるので、パンク・ファッションじゃないからこいつはパンクじゃないとか、僕はそう思わないんですけど。その人の持っているものっていうか、パンクってその人の根本にあるものかなって思うし。剛士さんのライヴを観ていても、未だにこの人はパンクだなって思って観ているんですよね。昔、尖っていたころはあまりステージで喋られることはなかったですけど。
上田:尖ってたころ(笑)。
HIROSUKE:今AA=のライヴで、"俺は今でも中指を立てて生きる"とか発言されることもあると思うんですけど、そういう姿を見ていると俺たち10代、20代のときから変わってないんだなと思うことがありますね。
-音楽だからこそより強く、込められる想いもありますしね。
上田:特に自分は本当に音楽ばかりなので。逆にヴィジュアル面とか、それこそTシャツに至るまでのこだわりは、HIROSUKEとかに教わることが多いんですよ。今、AA=のグッズとかもHIROSUKEに協力して作ってもらっているんです。そういう面でも、追求の仕方が本物なんですよね。
HIROSUKE:僕は、いろんなアーティストのデザインの仕事もしていて剛士さんのグッズのこととかも全般的に手伝わせてもらっているんです。あとはライヴやツアーのステージ衣装も、剛士さんと相談して作ったりするんです。それは剛士さんから、"こんなアイディアがあって、こうしたいんだ"っていうのを聞くんですけど。
上田:そういうのを投げて作ってもらうんです。
HIROSUKE:それをなんとなく僕が形にして、こんなのどうですかってやるんです。稀に丸投げで、僕に"何か字を書いて"ってくることもあるんですけど。剛士さんのライヴ衣装でツアーのグッズTシャツにもなった"全テノ動物ハ平等デアル"や、OIOベスト盤の限定セット(2018年4月リリースの『(re:Rec) - SPECIAL BOX「OIO」』)になった"ALL ANIMALS ARE EQUAL"Tシャツは僕の書いた字ですね。
上田:HIROSUKEの書く文字、HIROSUKEフォントはすごくいろんなところで需要があって。知らずに見ていることも多いと思いますよ。めちゃかっこいいので。
HIROSUKE:これも相手が剛士さんだからこそですけど、僕の中で剛士さんにこういうのを着せたいというのもあるんですよね。BUCK-TICKの今井 寿(Gt)さん、minus(-)の藤井麻輝さんのSCHAFTとライヴをやるというときも、剛士さんのステージ用の衣装を僕が作ったんです。
上田:たくさん"軸"ってプリントしてある衣装で。
HIROSUKE:あれは、どのメンバーの方よりも剛士さんが目立つにはどうしたらいいかっていうのを考えて作ったものでしたね。
上田:考えて、あれが出てきたんだ(笑)。
HIROSUKE:そういうのが楽しいんですよね。ファンの方から"軸様"って呼ばれていたらしいんですけど(笑)。そのくらい、ステージを観た人から剛士さんが少しでも目立つようにというのは、裏方として、自分が半分楽しんでやっていますね。ステージ映えすることを考えながら服を作るのって面白いと思うんですよ。ベースを下げたときに、ここに字が見えるのがいいとか、背中を向けたときにこれがちらっと見えるのがいいとか。そういうことを剛士さんのステージを観せてもらいながら、ここでこうくるなら、こういうのがかっこいいんじゃないかって、いつも考えていますね。
-AA=としても、デザインというのは大事にしてるところですよね。
上田:そうですね。自分の音楽の取っ掛かりとしても、最初にイメージをされる部分でもあるので。そこは、自分の音をちゃんと表現できているような感じにしたいと思っていますね。BALZACは特に、すべて自分たちで完結して作れるから、あのクオリティができていると思うしね。その形を作り上げるというところがパンクなバンドですよね。生き方からそうしていないとできないことだから。
-一本筋が通っていますね。BALZACとしては最初から自分たちですべてを手掛けようということだったんですか。
HIROSUKE:まぁ、パンク好きな人はね。鋲を打つこととかシャツにスプレー振ったりするとかは剛士さんもやっていたと思うので(笑)。
-自分でカスタマイズして作る面白さですね。
上田:そうそう。
HIROSUKE:髪の毛を立てるのも含めてね。そういうことをやっているのが楽しいし。僕に関して言えば、そういうことがやりたいっていう欲求がある以上は、自分のバンドは続くかなと思うんです。
-まだまだこういうことをしたいというのが尽きないんですね。
HIROSUKE:ひとつのことをやると、また別のものが出てくるというか。なんでもそうですけど、その積み重ねというのが大事だし、剛士さんはそういうのを体現している人だと思うんですよね。剛士さんとこうやって衣装やグッズを作るのもそうですし、これをやったから次にあれをやってみようとか、こうしたら面白いかなというのが出てくるものなので。
-「DEEP INSIDE」が生まれるきっかけとなった対バン・ライヴは終わりましたが、また今後共演するというのもどこかで観れそうですか。
HIROSUKE:ライヴはまたどこかでやれたらいいですね。
上田:ツアーもまた回れたらいいですよね。しかも最新アルバム『#6』が、BALZAC全員がコーラスで参加しているという贅沢なところもあるので。
HIROSUKE:はははは(笑)。
上田:これも突然頼んだんだよね、HIROSUKEに。
HIROSUKE:はい。6月2日の"AA= TOUR THE NEXT 2019"大阪でのライヴで。
上田:それこそ打ち上げの帰り際に、"そういえば思いついたんだけど"っていう感じで。コーラスは自分たちでやるのももちろんなんだけど、BALZACがやれるのであればそれがいいなと思って、すぐに聞いてみたんです。
-つい最近の話じゃないですか。それで3曲分もコーラスが入っているという。
上田:"コーラスと言えばBALZACのコーラスでしょう"という。最高なので。
HIROSUKE:打ち上げの帰りに、"もしさ、BALZACのみんなでちょっと歌ってって言ったら、いける?"って言われて。僕らもアルバム『HYBRID BLACK』(2019年1月リリースの12thフル・アルバム)のレコ発ツアーが終わったあとだったので、"やりますよ!"って言って。で、剛士さんからデモが送られてくるのをみんなで待っていたら、1曲くらいかなと思ったところ、3曲も来てですね。
上田:この曲も、この曲も、あとこの曲もかなっていう感じで増えていって。
HIROSUKE:自分たちが作る感じの曲とは、コーラスの入れ方とかがまた違うので、これはなかなか難しいなと言いながらも、普段僕らバンドのメンバーみんなで同じ仕事をしているので、仕事の手を止めて送られてきたデモを全員で聴いて、コーラスの練習ができるっていう(笑)。
-アルバムはBALZACのコーラスがふんだんで、またそこが新鮮さを呼んでいます。
上田:そうですね。HIROSUKEとのコラボ曲も入ってるし、しかもBALZACがコーラスで参加してくれているという。自分的にも特別なアルバムですね。