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LIVE REPORT

AA=

2024.03.07 @代官山UNIT

Writer : 吉羽 さおり Photographer:Yoshifumi Shimizu

昨年5月より横浜、大阪、名古屋を回るツアー"AA= SPRING HAS COME TOUR_Chap1"を開催したAA=。その第2弾が11月に仙台と東京で予定されていたが、最終日を目前に上田剛士(Ba/Vo/Prog)が新型コロナウイルスに感染し開催を延期。年を跨いだ2024年3月7日、代官山UNITで満を持してのツアー・ファイナル"AA= SPRING HAS COME TOUR_Chap2"が開催となった。

今回のツアー・タイトルは、2022年にリリースしたコンセプチュアル・アルバム『story of Suite #19』のラスト曲「Chapter 9_SPRING HAS COME、取っ手のない扉が見る夢、またはその逆の世界」からきている。コロナ禍の世界をインスピレーションに、閉塞した世界で生きる人々の様を寓話的に描いたこのアルバム。作品を作ったときから、いつかちゃんとしたライヴができるようになったときはこの"SPRING HAS COME"を冠したツアーをしたいと思っていたと、上田はこの日のMCでも語っていた。コロナ禍にも、2022年の『story of Suite #19』の完全再現ツアー"LIVE from story of Suite #19"をはじめ、ライヴやツアーを行ってきたAA=だが、いわゆるコロナ禍での様々な制限がなくなったライヴの喜びをステージで、フロアで享受するのがこの"AA= SPRING HAS COME TOUR_Chap2"となる。ライヴはその「Chapter 9_SPRING HAS COME、取っ手のない扉が見る夢、またはその逆の世界」でスタートした。

上田剛士、白川貴善(BACK DROP BOMB/Noshow/Vo)、児島 実(ex-THE MAD CAPSULE MARKETS/Gt)、YOUTH-K!!!(ex-BATCAVE/Dr)というお馴染みのメンバーによるハイボルテージなアンサンブルが会場に響き渡るや、フロアの熱気が勢いを増す。冒頭からスモークがガンガンに上がる演出となったが、瞬く間に場内の温度が上がり靄がかかっているのは、そのスモークのせいなのか、高まり続ける観客の興奮によるものなのかが最早わからない。さらに序盤から、「WORKING CLASS」、「BASS JUNKEES」と攻撃的な曲が連投され、「PICK UP THE PIECES」では頭から大きなシンガロングを巻き起こしてフロアの歓喜も爆発させた。存分に拳を振り上げ、合唱し、暴れることができるライヴ。この瞬間を待っていたオーディエンスが多かったのだろう。ちょっとした曲間も以前のように、ファンの熱いコールが飛び交う。

今回のセットリストはより、AA=の中でもハードコアでアグレッシヴな曲が中心になった。切迫感のあるリフと高速ビート、ヴォーカルの応酬が凄まじい「GREED...」、また「sTEP COde」や「UNDER PRESSURE」、『story of Suite #19』からも「Chapter 6_BORDER」など、迫力のあるアンサンブルがフロアの密度を高める。アンコール時に上田が語っていたが、やはり「GREED...」などはコロナ禍のライヴではセットリストに入れたくてもなかなか入れられなかったのだという。コロナ禍の公演は映像を用いたりAA=というバンドの持つストーリー性をより高めた新しい表現でのステージにもなった。そしてこの試行錯誤の時期(アーティストもオーディエンスも)を経たからこそ、シンプルだが、人間の放つエネルギーに直に触れるようなライヴ、音で直にぶん殴られるライヴの楽しさが増している。まさに"SPRING HAS COME"、春や新たなる世界を迎えた感覚だ。

"ぶっ壊れていきましょう"(上田)という後半は、彼とYOUTH-K!!!による「BATTLEFIELD TvsK!!!」に加え、ライヴ定番の曲が並ぶ。いつにも増して自由に、ダンサブルにと会場が晴れやかに揺れる「ROOTS」、その時々で新たな意味合いにもアップデートされていくのを感じる「NEW HELLO」と続き、「posi-JUMPER」でメンバーの声を凌ぐようなシンガロングが上がる。そして、ラストはお決まりの「ALL ANIMALS ARE EQUAL」で、晴れやかで一体感のある「ALL ANIMALS ARE EQUAL」のシンガロングで締めくくった。アンコールでも、「GREED...」同様にコロナ禍ではなかなかできなかった「LOSER」などをプレイした。そして上田は改めて今回のツアーのファイナルを迎えられたことにホッとしたと心境を語った。 コロナ禍からのひとつの願いでもあった今回の"SPRING HAS COME TOUR"を完結し、6月には早くも東名阪ツアー"AA= FIGHT & PRIDE TOUR"がスタートする。また新たな気持ちで臨むツアーとなることは間違いない。

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