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LIVE REPORT

"CAFFEINE BOMB TOUR 2022~2023"

2023.03.19 @川崎CLUB CITTA'

Writer : 吉羽 さおり Photographer:HayachiN、NAOTO IWABUCHI(dustbox)

HEY-SMITHやDizzy Sunfistらが所属するレーベル"CAFFEINE BOMB RECORDS"が20周年を迎え、5年ぶりとなるレーベル・ツアー"CAFFEINE BOMB 20TH ANNIVERSARY~CAFFEINE BOMB TOUR 2022~2023"を開催。その最終日が3月19日、川崎CLUB CITTA'で行われた。所属バンドと、ゆかりのあるバンドを招いたツアーのファイナルを飾るのはDizzy Sunfist、SUNSET BUS、HEY-SMITH、dustboxの4組。トップバッターは、dustboxだ。


dustbox


SUGA(Vo/Gt)によれば、CAFFEINE BOMB RECORDSのオーナー、MOPPYとは彼が以前やっていたバンド、DOM DOM FIRE時代からの旧知の仲だという。JOJI(Ba/Vo)が"20周年、盛大に祝おうぜ"という言葉で頭から「Riot」、「Try My Luck」とキラーチューンを連投すると、声出しが解禁となったフロアは一気に沸き立った。コロナ禍の数年分の思いが炸裂した観客の熱量は凄まじい。MCをしようにも観客から声やら愛あるヤジが上がったり、歓喜の叫びや拍手が上がったりという懐かしい光景が戻ってきて"お前ら、聞け!"と叫ぶJOJIもどこか嬉しげだ。

「Jupiter」ではHEY-SMITHイイカワケンが登場して、ピンスポットのもとでエモーショナルにトランペットを奏でるコラボレーションをしたり、またJOJIが"もう1曲いい?"と言って、ベースをDizzy Sunfistのメイ子に託すと、ラストは「Neo Chavez 400」で大暴れしていく。軽やかなスピード感で会場の隅々までブライトなメロディを注いで、笑顔で満たしていくライヴは祝宴にぴったりだ。


SUNSET BUS


グリーンのサンバイザーを被り、ヤシの木を担いでステージに登場したのは、SUNSET BUS。2017年の活動休止以来、3月11日の大阪公演とこの日が6年ぶりのステージとなる。SATOBOY(Ba/Vo)は"6年ぶり。アゲていこうぜ。ついてこい!"と声を上げると、「My-My-Mine」で勢い良くビートが走り出し、ギターは軽快な裏打ちのリフを刻んでいく。

サビでは大合唱とともに手が上がって、ここだけが常夏の様相だが、さらに前身の3.6MILK時代の陽性のレゲエ・チューン「GO TO JAMAICA」を畳み掛けて、観客のボルテージを引っ張り上げる。西海岸レゲエ・スカ・パンクに根づいたそのサウンドは、CAFFEINE BOMB(CAFFEINE BOMB RECORDS)のレーベルのカラーを一段と濃くする存在であり、前身のバンド時代からMOPPYやHEY-SMITHなどと交流があった。このアニバーサリー・イベントになくてはならないバンドだろう。ラスト、世良公則&ツイストの「銃爪」から「Tonight」へと繋げ(ヤング世代はこれ、わかるのだろうか)、歓声の中"また会おう"(SATOBOY)、"生きとけよ"(TEPPEI/Gt/Vo)と笑顔を見せた。


HEY-SMITH


"暴れろ! 踊れ! 歌え!"という猪狩秀平(Gt/Vo)の声と、ソリッドなギター・リフによる「Be The One」でスタートしたのはHEY-SMITH。5年ごとに開催しているこのレーベル・ツアーだが、"5年後は俺ら「PIZZA OF DEATH(PIZZA OF DEATH RECORDS)」に行ってると思うのでこれが最後のツアーだ"(猪狩)とジョークを飛ばすが、今やレーベルの顔と言っていいバンドだ。

また次に出るDizzy Sunfistに向け"どっちがレーベルの一番か、ここで決めよう"(猪狩)と「2nd Youth」、「Skate Or Die」、「Fellowship Anthem」と飛ばしていく。数年ぶりに声出しが解禁された威力を知る、会場が震えるような叫びやシンガロングが起こる。中盤では「This song is for united」から「Inside Of Me」など新旧の曲を織り交ぜる。四方八方から音が飛び出してくるアグレッシヴなホーンズと、馬力ある重厚なバンド・サウンドに、さらに観客の熱が上がっていくライヴハウスならではのライヴ。久々のこの体感で、フロアの声も大きくなった。そしてラスト2曲は"俺たちの曲で一番激しい曲"と「Drug Free Japan」、「Endless Sorrow」を連投。スカやパンク・ロック、メタルなど様々な音楽が交じり合うHEY-SMITHの音楽について、過去にはもっと踊れるものにしたいらいいんじゃないかと先輩に言われたこともあったが、"森さん(MOPPY)はこれを貫けと言ってくれた"(猪狩)と言う。バンドとレーベルの信頼関係で走ってきた時間の濃さを感じるステージとなった。


Dizzy Sunfist


この日を締めくくったのはDizzy Sunfist。あやぺたが弾き語りで「SHOOTING STAR」を歌い始め、moAiが高々とドラム・スティックを天に向けると"うちらが一番だから"とあやぺたの宣言で、ビートを加速させていく。"MOPPYの好きな曲を"とさらなるファスト・チューン「The Magic Word」をフロアに投下。続く「Someday」で跳ね回る観客に、"うちらの好きなライヴハウスが帰ってきた"とあやぺたは歓喜の叫びを上げる。フロアの密度が濃く、その熱気がじかに肌身に感じられるのだろう。いつにも増してあやぺたは興奮気味にまくし立て、横にいるメイ子は"ずっとヤバいしか言ってない"と笑う。そんなヤバい空気をパッケージすべく、次に披露する5月リリースの新曲「Punk Rock Princess」のMVの映像をここで撮るという。どんなMVに仕上がっているのか楽しみだ。

またアルバム『Dizzy Land -To Infinity & Beyond-』ではGARLICBOYSのPETAとLARRYをフィーチャリングした「N.i.n.j.a」は、この日MOPPYをフィーチャーしてのスペシャル・バージョンで披露。拍手喝采を浴び袖へと戻ったところを猪狩に捕まり、ステージ・ダイブ(というより落下した)MOPPYにさらなる拍手が送られた。あやぺたは妊娠したとき、メンバーが脱退したとき、常に親身になってくれたのはMOPPYだったと語る。そして"HEY-SMITHがPIZZA OF DEATHに行っても、CAFFEINE BOMBはうちらが守るので"と先輩が放ったネタをしっかり回収するうまさも見せて、「Tonight,Tonight,Tonight」、「New World」と大きな手拍子とジャンプを巻き起こしていった。移り変わりの激しい音楽シーンや世の流れの中で、20年、独自の軸を持ってレーベルを続けるのは並大抵のことではない。それぞれの人間力とバンド力で培ってきた20周年と、続いていく未来に向けた快音を飛ばしたツアー・ファイナルとなった。

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