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LIVE REPORT

HEY-SMITH

2022.10.21 @Zepp Haneda(TOKYO)

Writer 藤坂 綾 Photo by HayachiN

10月1日に会場限定シングル『Inside Of Me』をリリースしたHEY-SMITHが、その新曲を引っ提げた15周年全国対バン・ツアー[HEY-SMITH "15th Anniversary TOUR -Inside Of Me-"]を全国10ヶ所で開催。ここではKen Yokoyamaを対バンに迎えた10月21日Zepp Haneda(TOKYO)のライヴをレポートする。

ステージに現れたKen Yokoyamaの第一声は"よく入ってるね"。満員の客席を見渡し"胸に迫るものがある"と続け、"でも久しぶりにライヴハウスに来た人に怖い想いはさせたくないから俺らはシンガロング、モッシュ、ダイブは勘弁してもらおうと思う"と告げるとフロアからは大きな拍手が。猪狩秀平(Gt/Vo)からこのツアーに直接誘われて嬉しかったことを口にし、熱いステージを展開。途中バンド・メンバーに耳打ちをし、Hi-STANDARDの「THE SOUND OF SECRET MINDS」を演奏した。「Come On,Let's Do The Pogo」を終えると"Congratulation HEY-SMITH 15th Anniversary!"と叫び、ヘイスミ(HEY-SMITH)へと繋ぐ。

SEと手拍子、そして大歓声の中登場したHEY-SMITHのメンバー。ステージ上に全員が並ぶと「Dandadan」でスタートを切る――と思いきや、音響トラブルのため途中で演奏をストップするというハプニングが発生した。せっかくだから最初からやり直そうということで、いったんステージ袖にはけるメンバー。そしてちょっと照れくさそうな仕草でメンバーが再度登場すると、会場は1度目のときよりも大きな歓声に包まれる。そして「2nd Youth」で再スタートを切り、"ようこそ! ロック・ショーへ"と「Over」、「WE ARE...」と新旧織り交ぜ飛ばしていく。"トラブルがあるとテンションが上がる"という猪狩の言葉通りそのテンションは凄まじく、それと同時にこの15年、きっとこうしてすべてをチャンスに変えやってきたのだろうと、このバンドの底力を思い知る。

"今日はまだまだやるぞ!"と、中盤戦では新曲の「Inside Of Me」をダブ・バージョンと通常バージョンで立て続けに披露。インストのタブ・バージョンはリバーブが心地よく、まんまとその世界へと引き込まれ、続く通常バージョンもまたリズムが気持ち良く、なんとも贅沢な時に。

対バンのKen Yokoyamaが"呼んでくれて嬉しい"と言っていたことがまた嬉しく、グッときたと話す猪狩。そして"俺たちは俺たちのライヴをやるし、パンク・ロックで繋がっていればいい!"とライヴに対する今の想いを正直に告げる。"Ken Bandは俺の光だけど、Ken Bandも俺たちもお前たちの前からいつかいなくなる。そんなとき、次の光になるのはお前たちだぞ!"と「Before We Leave」へと続けた。間髪入れず「Truth Inside」、「Download Me If You Can」、「I Will Follow Him」と畳み掛け、会場をこれでもかというほど揺らす。"生きてまたライヴハウスで会おうな!"と「Goodbye To Say Hello」、「Living In My Skin」で本編を終えると、客席からは大きな拍手とともに"ありがとう"という声が聞こえた。

アンコールでは、猪狩がKen Yokoyamaと出会ったときのエピソードを話し、再び今日の感謝を述べる。そして改めて、"俺は進めるほうを選びます"とライヴへの覚悟を語った。自由には責任が必要なように、覚悟にもまた責任が必要だ。それは決してステージ上だけの話ではなく、そこに集まる全員に関わる話で、つまりはここへ集まる人を信頼しているからこその覚悟でもある。"ライヴハウスは自由な場所だし、ここにいる間だけはお前らに自由でいてほしい"、そして"俺が絶対守るから、お前ら心配すんな"と「Don't Worry My Friend」を演奏。そして"大いに羽ばたけ"と「DRUG FREE JAPAN」、「Endless Sorrow」を激しく熱くドロップして終了する。それぞれがそれぞれのスタイルで自由に羽ばたく景色に、心が震えた。

"目指すところは同じ"――この言葉はきっとどのバンドにも、そしてどのライヴハウスにも言えることなのだろう。考え方は人それぞれで、そこで意見がぶつかったりももちろんするだろう。誰もがもどかしい日々を過ごすなか、少しずつではあるが前に進んできたライヴのかたちがこの日ここにはあった。お互いがお互いを尊重し、それぞれがそれぞれのスタイルで楽しんだ見事なライヴ。素晴らしい一夜を築き上げ、HEY-SMITHはまた確実に前へと進んだのだ。

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