INTERVIEW
"CAFFEINE BOMB TOUR 2017"座談会
2017.09.20UPDATE
2017年09月号掲載
HEY-SMITH:猪狩 秀平(Gt/Vo)
Dizzy Sunfist:あやぺた(Vo/Gt)
SHIMA:EGACCHO(Vo)
CAFFEINE BOMB RECORDS/CAFFEINE BOMB ORGANICS:MOPPY(社長)
インタビュアー:荒金 良介 Photo by ゆうばひかり
今年、創立15周年を迎えたパンク・レーベル"CAFFEINE BOMB RECORDS/CAFFEINE BOMB ORGANICS"。レーベル名はイギリスのTHE WILDHEARTSの超名曲から命名されているとおり、もともとCDショップで働いていた経歴を持つレーベル社長 MOPPY氏の根っからの音楽好きが窺える最高のネーミングだ。そして、今回は5年ぶりにレーベル・ツアー"CAFFEINE BOMB TOUR 2017"を決行! それに伴い、ヘッドライナーを務めるHEY-SMITHの猪狩秀平、Dizzy Sunfistのあやぺた、SHIMAのEGACCHOの3人に社長を交え、4者による座談会を行った。
-今年15周年を迎えるレーベル"CAFFEINE BOMB RECORDS/CAFFEINE BOMB ORGANICS"が、5年ぶりに行うレーベル・ツアー"CAFFEINE BOMB TOUR 2017"を中心に話を訊きたいと思います。まずこの15年を振り返って、どんな感想を持ちますか?
MOPPY:みんなに助けられた15年ですね。いろんなバンドと仲良くなって、そのバンドたちにも助けられたから。出会いがすべてですね。
猪狩:お肉も付いたでしょ?
MOPPY:体重はね、徐々に......。
猪狩:儲かってる証拠でしょ?
MOPPY:違うわ! 安いもの食べてるから太るんじゃ!
-ははははは。
MOPPY:何もない人間だし、ただの音楽好きですからね。
猪狩:異常に詳しいっすもんね。レベルが違いますもん。
MOPPY:そこだけは負けない気持ちがあります。
-MOPPYさんから教えてもらったバンドもいたり?
猪狩:めっちゃありますよ! それこそメタル系もそうだし、普通に生きてたら、絶対出会わないバンドも教えてもらって。MOPPYさんの家にCDだけの部屋があって、よく泊まっていたから聴いてました。
MOPPY:猪狩に貸して、なくなったCDもありますね。
猪狩:ははははは。
あやぺた:私もめっちゃ聴きました。いろいろ薦めてくるから、早く寝たいのにって。
MOPPY:ははははは。
猪狩:あと、MOPPYさん家のリビングで音楽のDVDを観てましたね。『The Big 4』(※METALLICA、SLAYER、MEGADETH、ANTHRAXが行った合同ライヴの模様を収録した2010年リリースの映像作品)を観て、ほかのメンバーが"前奏、長い!"って。
MOPPY:あのDVDは革命的だったもんね。あやぺたにもパンクをめっちゃ教えたよね?
あやぺた:女ヴォーカルのパンクとか。
MOPPY:ほかにMichelle Branch、Shania Twain。NO DOUBTも教えたもんね。
猪狩:NO DOUBT、聴いてなかったん?
あやぺた:はい(笑)。
-『Tragic Kingdom』は名盤です。
MOPPY:ですよね? 懐かしいですね。
-EGACCHOさんは?
EGACCHO:僕は基本的にMOPPYさんとはラーメンの話しかしないです。
MOPPY:ははははは。EGACCHOは年間300杯以上食べますからね。
あやぺた:歩く"食べログ"ですからね。
MOPPY:ほんとそう。EGACCHOにラーメンのこと聞くバンドマン多いですからね。
-そもそもMOPPYさんが2002年にレーベルを立ち上げた動機は?
MOPPY:自分のバンドを出すために適当に作りました(笑)。
猪狩:あの、最高のバンドでしょ?
MOPPY:やめてください。
あやぺた:ドムドムバーガー?
MOPPY:うるさい(笑)。ちゃんと話すと、みんな事務所にデモとか送るじゃないですか。正直、それがめんどくさくて。僕はCD屋さんで働いていたんで、流通のシステムも勉強してたんですよ。じゃあ、自分でやっちゃえって。かっこよく言うと、DIYです。勝手にレーベル作って、勝手にロゴを作りました。
猪狩:ちなみに俺はMOPPYさんが出したSCREAM、FAITHが自分の中でバコン! と来て。めっちゃ洋楽やったし、特にFAITHはメロディックだけど、フレーズはメタルで、自分にとってこんなにど真ん中のバンドがいるんや! って。それで"CAFFEINE BOMB RECORDS/CAFFEINE BOMB ORGANICS"というレーベルを知りました。
MOPPY:FAITHでレーベルを知ってくれた人は多いですね。うちでリリースできなかったら、FAITHは解散するつもりだったみたいで。で、聴いたら、めちゃくちゃかっこいいじゃん! って。これをリリースしない意味がまったくわからなかったですね。
-FAITHはMOPPYさんの事務所で取材した記憶があります。このへんで、3バンドとの出会いを聞かせてください。
MOPPY:忘れもしない、AUTHORITY ZEROの初来日公演(※2007年開催)です。大阪に3.6MILK(現SUNSHINE DUB)のSATOSHI(現サトサンシャイン/Ba/Vo)がいて、"大阪にいいバンドいない?"と訊いて、紹介してもらったのがHEY-SMITHで。AUTHORITY ZEROの大阪公演に出てもらったのが初対面ですね。猪狩も"レーベルどうしよう?"って、SATOSHIに相談してて、SATOSHIが"MOPPYのところがいいんちゃうん"って。
猪狩:(声を大にして)すごくたくさんオファーがあったので。
MOPPY:いや、そうなんですよ。十数社からあったもんね。
-それはすごいです!
MOPPY:今でも覚えているけど、梅田のマルビルのスターバックスで、ふたりで2時間くらい話して。そのときにね、衝撃的なことを言うんですよ。
-なんと言われたんですか?
MOPPY:"僕らちゃんとやるんで、一番面倒をみてください"って。あっ、こいつは普通の奴とは全然違う! と思いました。
猪狩:まず出してあげるよとも言われてないのに、"俺のバンドをプライオリティ高くやってくれ!"と言ったんですよ(笑)。
MOPPY:売り言葉に買い言葉で、"ファースト・プライオリティでやる!"と言ったんですよ、なぜか。
一同:はははははは(笑)。
MOPPY:ぶっちゃけ、このバンドを売らないと、俺もレーベルやってる意味がないと思いましたからね。
-MOPPYさんはHEY-SMITHのどこに惹かれて?
MOPPY:めちゃくちゃなところですね。ライヴでも裸だし、インパクトがズドーン! ときて。デモをもらったときにも、かっこいいなと思ったし。
猪狩:SCREAM、FAITHがいたし、SATOSHI君とか、思いっきり信用している人たちがMOPPYさんを薦めるから。"なんで?"と訊いたら、とにかくいい奴やからって。いい奴、熱いなぁと思って(笑)。会社のサイズどうこうじゃなく、人で選びました。
-そして、2009年にHEY-SMITHと契約して、Dizzy Sunfistと2013年に契約するので、少し間が空きますよね?
MOPPY:そうなんですよ。FAT PROP、HEY-SMITHをやるので精一杯で、新人をやろうという気になれなくて。で、どこで出会ったんだっけ?
あやぺた:FAT PROPのインストア・ライヴ。
MOPPY:あぁ~、そうだ!
あやぺた:猪狩さんがPAをやってたんですよ。
猪狩:あっ、一度だけやったことある!
あやぺた:そこでMOPPYさんに出会って、『3rd DEMO』(2011年リリース)を渡したんですよ。
MOPPY:で、"東京に来たら、観に来てください!"って。そういうバンドは多いけど、東京に来るたびに必ず連絡くれてたんですよ。それでF.A.D横浜に観に行ったのかな。そこでスターバックスに行って。
猪狩:好きやなぁ、スターバックス。
MOPPY:ははははは。直接、"入りたいです!"という言葉をもらって、それから1年ぐらい考えたんだよね。
あやぺた:そうですか? わりとすぐやった記憶があるんですけど。
MOPPY:いや、俺の中ではわりと泳がせた記憶があるんだけど(笑)。
-MOPPYさんが即決しなかった理由は?
MOPPY:俺がやるべきかどうか、わからなかったんで。関わったら、そのアーティストを成功させなきゃいけないプレッシャーがあるから。それで考えちゃうんですよ。アーティストの人生がかかってますからね。100パーセント売れるなんてことはないけど、最大限やってあげたいから。