INTERVIEW
AYATOMO(MAYSON's PARTY)× 猪狩秀平(HEY-SMITH)
2021.08.10UPDATE
2021年08月号掲載
前月に引き続き、MAYSON's PARTYのセルフ・タイトルを冠した1stミニ・アルバムを徹底特集! 前回はメンバー7人に今作の魅力をたっぷりと語ってもらったが、今回はプロデュースを手掛けたHEY-SMITHの猪狩秀平を迎え、AYATOMOと対談を行った。旧知の間柄であり、音楽的な嗜好も近く、ホーン・セクションを入れたバンド・サウンドという意味で共通点の多いふたり。スカ・パンクの醍醐味をギュッと凝縮した今作について、バンドとプロデューサー視点の両方から話をうかがうことで、このデビュー・ミニ・アルバムを多角的に楽しんでもらえるのではないだろうか。
MAYSON's PARTY:AYATOMO(Vo/Gt)
HEY-SMITH:猪狩 秀平(Gt/Vo)
インタビュアー:荒金 良介 Photo by 上坂和也
取材場所:The Shake & Chips Tokyo
ほんまに現時点で最高到達点やと思いますね(猪狩)
-AYATOMOさんと猪狩さんとの出会いから教えてもらえますか?
AYATOMO:SKALL HEADZ(※前身バンド)結成1年目にデモCDを作って、初めて大阪に行ったとき、ライヴハウスの新神楽に出ていたのがHEY-SMITHだったんです。男ヴォーカルのスカ・パンクをやっているバンドが当時少なかったこともあり、すぐに仲良くなったんですよ。
猪狩:俺らは新神楽を拠点に活動していて、東京から音楽の趣味が合いそうなやつらが来ると店長に言われて。で、出たら速攻で仲良くなったな?
AYATOMO:2バンドで終わったあとに飲みに行きましたからね。
猪狩:俺らもデモCDを1枚出すか出さないかあたりのときなんで、"どのバンドが好き?"って初々しい会話をして、5個ぐらい言い合って、どれも最高! って。
AYATOMO:あと、東京でFEELFLIPとも仲良くなり、大阪に俺らみたいなバンドいたぞって。それでその3バンドで一緒に(ライヴを)やろう! という流れになりました。
-お互いのライヴの印象は覚えてますか?
猪狩:覚えてないですねぇ(笑)。
AYATOMO:僕はHEY-SMITHというバンド自体のファンなんですよ。
猪狩:マジで(笑)?
AYATOMO:デモの頃からかっこいい! と思ってたし、先輩というより仲いい友達みたいな感覚で、お互いのツアーでは実家に泊め合ってましたからね。
猪狩:で、AYATOMOの親父に酒で潰されました(笑)。バンド仲間以前に友達感が強いかもしれない。
-SKALL HEADZ、HEY-SMITHどちらも結成が06年と同じなんですよ。当時の音楽シーンはどういうふうに映っていました?
猪狩:スカをやっているけど、僕らはパンク・バンドをやっている意識のほうが強くて。スカのイベントに行ったら踊ってもらえないし、パンク方面に行くと、ホーンが入っているから、"なんやこれ?"みたいな反応で、自分たちはハミ出しているのかなと。俺はどのシーンでやったらええんやろって。
AYATOMO:僕も似たような感覚ですね。スカのイベントはたくさんあったんですよ。でも、女の子ヴォーカルのスカ・バンドが多くて、僕らが出ると女の子を撮りに来たおじさんたちがスッと後ろに下がるという(笑)。
猪狩:どのライヴにもそういう人おったな!
AYATOMO:スカのイベントに出ても、男ヴォーカルかよって。それはHEY-SMITH、FEELFLIPも似た境遇だったので、俺らだけでやろうぜって。で、SKALL HEADZはメロディックのシーンでやりたいと思い、"Kick Rock MUSIC"(※レーベル)に入ったんですよ。
猪狩:全部じゃないけど、文化祭みたいなノリのバンドが多くて、中途半端な演奏して帰るやつばかりでしたからね。
AYATOMO:厳しー!
猪狩:はははは(笑)。これは自分たちでシーンを作ったほうがいい、と当時は思いましたね。
-お互いの活動に関してはどういうふうに見てました?
AYATOMO:ツアーで一度回るとHEY-SMITH、SKALL HEADZの状況が変わり、それからはベタベタしなかったので、売れたなぁと思いました。悔しさもあったけど、それよりも、すごいなぁ、どんどん行くなぁと。俺らも頑張らなきゃっていう指針にはなりましたね。
猪狩:僕はもうちょい売れると思ってました、正直(笑)。でも、自分がやりたいことができる範囲で売れたいから、その意味では納得しているというか。
AYATOMO:お互いの状況は変わったから、対バンは減ったけど、会う機会はありましたね。
猪狩:オフ日は普通に飲むしな。もっとこういう曲を作ったほうがいい、こういうバンドと対バンしてシーンを広げようとか、毎回話すんですよ。自分の感覚と同じやったんですよね。
AYATOMO:SKALL HEADZ解散のきっかけは猪狩君の存在が大きくて。
-あっ、そうなんですか。
猪狩:なんて言ったっけ?
AYATOMO:メンバーが3人いなくなるときに、"新しいバンド名のほうがいいんじゃない?"と言われて。
猪狩:そうや! 3人抜けて、3人入ると言ったから、それなら新しくチャレンジして、まだ見たことがない景色を見に行くほうがいいんちゃうかなと思って。ただ、MAYSON's PARTYというバンド名には最後まで反対しましたけどね(笑)。
-このバンド名の由来というと?
AYATOMO:ライヴを初めてやったのが5月だったから、"MAY"を入れて、そこに子供の"SON"を繋げて、"MAYSON's"じゃおかしいから、"PARTY"を付けようという。
猪狩:ね? 意味わからないでしょ。
AYATOMO:でも、その前は"ジャストインフィーバー"になりそうでした。
-はははは(笑)、Justin Bieberに引っ掛けて。ここで本題に入りたいんですが、今作は本当にいい作品ができましたね。楽曲のクオリティ、曲調のバラエティ具合といい、いい意味でツルッと聴ける1枚に仕上がりました。
猪狩:偉そうですけど、今メンバーが持っている最大限のものを出せたと思います。ほんまに現時点で最高到達点やと思いますね。歌、ホーン、ドラムのテイクとか一音一音いいものが録れたんですよ。ただ、その最高到達点のさらに上に行かないと、これ以上のものは難しいのかなと。これからのリリース・ツアーに集中することも大事なんですけど、次の大きな壁に気づかないとあかんのかなと思います。
-その言葉を受けていかがですか?
AYATOMO:その通りだと思います。
猪狩:はははは(笑)。こいつね、ずっと友達で普段も"お前"とか呼ばれるんですけど、レコーディング中は敬語で、"はい! はい!"、"もう1回やってもいいですか?"って軍隊みたいになるんですよ。
AYATOMO:それはそうなるよ。レコーディング現場でプロデューサーの猪狩君がいて、自然と"はい!"ってモードになるというか。アドバイスを貰う側なので、"なぁ、猪狩~"という雰囲気は違うかなと。